今年もまた暑い季節の足音が聞こえてきました。いつもよりも汗をかきやすくて汗疹で悩まれている方、日焼けで皮膚があれたりする方、はたまた、海やプールなどに入った後に乾燥してしまう方、虫が多く発生してくるので虫刺されに悩まれる方など、意外と肌トラブルが多い季節でもあります。今回は外用剤の一つである軟膏剤の塗り方のポイントについて復習してみましょう。

軟膏剤とクリーム剤の違いとは?

まず、意外と忘れがちな軟膏剤とクリーム剤の違いについて復習します。

軟膏剤は油脂性の基材(主にワセリン)をもとに作られたものです。肌の水分の蒸発を強力に防ぐ作用があります。他方、クリーム剤に関しては、水と油が混合されて作られています。この特徴から、軟膏剤の方が塗り方を間違えるとベタベタしてしまう一方、クリーム剤の方が伸びやすくベタつきも少ないです。

よく患者さんの中で、自分はクリーム剤を塗っている気になっているが、実際には軟膏剤を塗っているという事例も結構あるので、まずは2つの違いをきちんと理解することが大事です。

使い分けの目安としては、手あれやひび割れなどひどい乾燥が見られる際には軟膏剤の方が適しています。クリーム剤に関しては、普段比較的さらさらしている部位(顔、腕、足など)に塗る際や、化粧をする方などで適しています。

塗り方のポイントとは?

塗り方としては、基本的には、軟膏剤もクリーム剤もほぼ同じと思って大丈夫です。よく大量を強く擦り込むように塗っている方を見かけますが、あれは逆効果です。擦り込もうとして力を入れると摩擦によって肌にむしろダメージを与えてしまうことがあるからです。どちらもまずは肌にゆっくりと置いたのち、やさしくなでるように広げていくと良いです。肌は意外と敏感なので、「力を入れずに」という点がポイントとなります。

つまり、力を入れないで広げようと思うと、使用範囲にもよりますが、量としてはそれなりに必要となります。また、軟膏剤に言えることですが、あまり涼しいところに置いておくと硬くなってしまって塗りにくくなるので、冷房の下などにあまり置きっぱなしにしない方が良いです。

注意点としては意外な面もある?

注意点としては前述したポイントと類似する点もありますが、意外な点もあります。まず、例えば、手あれ用の外用剤を塗るという際に、医療関係者や飲食関係者などのように、よく手を洗う仕事の方や消毒用エタノールをよく使用する仕事の方では、クリーム剤よりも軟膏剤の方が向いています。軟膏剤の方が水などに強く、肌のベールが長く持つからです。

また、これは近年の問題ですが、スマートフォンをよく使う方の場合、特に軟膏剤を手に塗っているという方だと、画面が油分で汚れるだけでなく、そこにゴミや有害物質などが一緒にくっつきやすくなるため、軟膏剤を塗ってからすぐにスマートフォンを使うということは避けた方が良いでしょう。

また、もっと効果を出したいという理由で、かなり厚めに塗るという方もいらっしゃいますが、厚く塗ったからといって効果が増大するわけでは必ずしもないことを説明しましょう。

加えて、軟膏剤とクリーム剤をいくつか併用しようという方で、面倒だから一度で済ませようとして混ぜるという方もいらっしゃいますが、これも問題です。薬剤師であればご存じのように、本来は水溶性のクリーム剤を先に塗ってある程度馴染んでから、油脂性の軟膏剤を塗るというのが正しい順になります。この2つを混ぜて一気に塗ってしまうと、むらになってしまい効果が正しく発揮できないという可能性が出てきます。自己判断で混ぜて使わないようにきちんと説明しましょう。

そして一番盲点なのは、一部ネットの情報で、「軟膏剤やクリーム剤を塗った後、ラップで覆うとよく効く」というのを参考に、実際そうやって使っている方もいらっしゃいます。これは密封療法(ODT)と呼ばれるもので、よく美容クリニックでの脱毛において、麻酔の外用薬をそうやって使用するように指導するという場面もあります。しかしながら、これは医師の指導の下で行う特殊なものなので、一般の方が自己判断でやってしまうと、薬の吸収が増えすぎて副作用が出やすくなるということも想定されるため、医師の指示の下、詳しい説明を受けない限りは自己判断で行うのは危険と覚えておきましょう。

軟膏剤やクリーム剤は身近なもので、OTCとしてもたくさんの種類が手に入るようになってきたため、注意点を忘れがちになりやすいものです。ぜひ今一度、薬剤師からもきちんと説明できるようになってください。

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