超高齢社会の日本においては、今後介護福祉系施設の重要性が増してくると予想されます。薬剤師も今後はこれまで以上に介護分野への参画が求められるようになるでしょう。今回は介護福祉系施設の種類と違いについてみてみましょう。
介護保険施設を見てみよう!
介護保険における介護給付サービスの中に「施設サービス」がありますが、これは、介護保険施設に入所して受けられるサービスになります。この介護保険施設は大きく、(1)福祉系の施設と(2)医療系の施設に分類されます。
(1)福祉系の施設にあたるものとしては、介護老人福祉施設だけになります。具体的には、老人福祉法によって認可を受けた「特別養護老人ホーム」です。施設名の中にこの文言が入っていれば介護老人福祉施設として指定を受けていると理解できます。また、この指定を受けることができるのは地方公共団体か社会福祉法人だけになります。
他方、(2)医療系の施設は介護保険法に規定されていて、<1>介護療養型医療施設、<2>介護老人保健施設、<3>介護医療院の3種類になります。
この中で、<1>介護療養型医療施設に関しては、2024年3月末までに廃止されることが決定しています。
<2>介護老人保健施設は病院から自宅へ戻る前に一時的に入所し在宅復帰を目指すための施設で、リハビリテーション等が行われます。
<3>介護医療院は一番病院に近い施設になり、長期療養のための医療と日常生活上の世話を一体的に提供するところになります。この<3>介護医療院は廃止される<1>介護療養型医療施設に代わって用意された施設であるという側面もあります。これらも営利目的での設置は許されず、開設認可を受けることができるのは地方公共団体、医療法人、社会福祉法人、その他厚生労働大臣が定める者に限定されています。
薬剤師が活躍できる施設は?
前述した各施設の人員配置には特徴があり、薬剤師としてもきちんと把握しておきたいところです。
まず(1)福祉系の施設では、医師、看護職員、介護職員、生活相談員、機能訓練指導員、栄養士、介護支援専門員を置かなくてはいけないですが、薬剤師や放射線技師は置かなくてよいとなっています。そのため、薬剤師としてはあまり馴染みがない施設とも言えます。
(2)医療系の施設の<2>介護老人保健施設に関しては、医師、看護職員、介護職員、支援相談員、PT等、栄養士、介護支援専門員に加えて、薬剤師も置かなくてはいけません。ただしここでも放射線技師は置かなくても大丈夫となっています。
(2)医療系の施設の<3>介護医療院に関しては、一番病院に近い施設ということもあり、医師、看護職員、介護職員、PT等、栄養士、介護支援専門員に加えて、薬剤師、放射線技師も置かなくてはいけませんが、支援相談員は置かなくてもよいとされています。(2)医療系の施設は薬剤師が置かれるという点でも薬剤師としてはきちんと把握しておきたい施設と言えます。
他にもこんな施設が!
介護保険のサービス関連の施設は他にもあります。2006年の介護保険法改正で「地域密着型サービス」が新たに新設されました。これは介護が必要になった際にも住み慣れた地域で生活できるように地域ぐるみで支援する仕組みです。そのため、市町村が指定を行い、原則としてその地域に住民票のある方しか利用できないものになります。
この地域密着型の施設として認知症に特化した認知症対応型共同生活介護(グループホーム)があります。この施設の運営自体は医療法人、社会福祉法人、NPO法人のほか、民間企業等も可能です。
また、在宅介護の特定施設として、有料老人ホーム(介護付き、住宅型等)やサービス付き高齢者向け住宅があります。これらは前述してきた施設とは異なり、主に民間が運営する施設となり、サービス内容、規模、入居者等が多種多様となりますが費用が高めという側面もあります。しかし、特に有料老人ホームに関しては、施設数が多いため、入居待ちになることがほぼないという大きな利点もあります。
その他、ケアハウスと呼ばれる社会福祉施設があります。これは低所得者でも入居できる施設で、自治体や国の助成金で運営されているものです。入居者全員に個室が与えられるという点では他の施設よりもよりプライバシーが確保しやすく、低料金で利用できる反面、入居待ちが多いという側面もあります。
さまざまな施設があって混乱しやすいですが、今後きっと必要となる知識ですので、ぜひ覚えておいてください。
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