在宅医療業務に薬剤師が本格的に参画するようになり、介護サービスという言葉をよく耳にする方も多いと思います。介護サービスには医療とは違った複雑な仕組みがありよくわからないという方も少なくないでしょう。今回は介護サービスの種類について復習しましょう。

介護サービスを大きく分けると?

介護サービスは、施設サービス居宅サービスに分類されます。施設サービスは何らかの施設に入所することで利用するもので、居宅サービスは自宅で(施設に入所していても居宅と見なされる場合もある)利用できるものです。以前は要介護者の方が専用の施設に入所することが多かったですが、近年は自宅で過ごしたいという要望も増えてきており、居宅サービスの種類が多様化してきています。利用者にとってはメリットが増えてきたといえます。

施設サービスを細分化すると?

施設サービスを分けると、次のようになります。

(1)介護老人福祉施設
(2)介護老人保健施設
(3)介護療養型医療施設

(1) 介護老人福祉施設は特別養護老人ホーム(老人福祉法に規定)が都道府県知事の指定を受けて介護保険施設になったものです。利用者各人に合わせた各種介護サービスを提供します。(2) 介護老人保健施設は医療と福祉の両方を提供する病院と家庭の中間に位置し、医学的管理のもとで、介護サービスを提供します。(3) 介護療養型医療施設は長期療養が必要となる方に医療サービスをメインに提供します。具体的には、療養専門の病床を持っている病院などが該当します。

居宅サービスを細分化すると?

居宅サービスを分けると、次のようになります。

(1)訪問介護
(2)訪問入浴介護
(3)訪問看護
(4)訪問リハビリテーション
(5)居宅療養管理指導
(6)通所介護
(7)通所リハビリテーション
(8)短期入所生活介護
(9)短期入所療養介護
(10)特定施設入所者生活介護
(11)福祉用具貸与
(12)住宅改修
(13)居宅介護支援事業

(1)訪問介護はホームヘルプサービスとも呼ばれるもので、訪問介護員(ホームヘルパーなど)が行います。訪問介護はさらに、身体介護(食事介助など)と生活援助(掃除など)に分類されます。(2)訪問入浴介護は、訪問入浴介護は看護師などが巡回入浴車で自宅を訪問して行うものです。寝たきりのままでも入浴車の浴槽に入れてもらえるようなサービスになっています。

(3)訪問看護は医師の指示のもと、看護師などが自宅を訪問して医療に関する管理などを行うものです。医師に訪問看護が必要と認定された要介護者だけが利用できます。(4)訪問リハビリテーションは医師の指示のもと、理学療法士などが自宅を訪問してリハビリテーションに関するサービスを提供するものです。(5)居宅療養管理指導は医師や薬剤師などの医療従事者が自宅を訪問して、療養上のサービスを提供するものです。薬剤師が一番関わることが多いのが居宅療養管理指導です。

(6) 通所介護はデイサービスとも呼ばれます。大規模な施設から小規模な施設までいろいろな規模の施設が行っており、家族だけでやっていた介護の一部を外部に任せられることで家族の負担が減るというメリットがあります。(7) 通所リハビリテーションはデイケアとも呼ばれるもので、医療的なケアなどを受けることができます。利用者は要介護者、かつ、医師が認定した方のみに限定されます。

(8) 短期入所生活介護(9) 短期入所療養介護はショートステイとも呼ばれるもので、短期間(数日〜1週間ほど)で行われるものになります。短期入所生活介護では介護サービスの提供が、短期入所療養介護では医療サービスの提供が各々行われます。(10) 特定施設入所者生活介護は特定施設(介護保険の指定を受けている有料老人ホームなどで法律上は居宅となっている)に入所している要支援者・要介護者が受ける介護サービスです。

(11) 福祉用具貸与は車椅子など介護に必要なものを貸与するサービスです。なお、腰掛便座など衛生上貸与が実質不可能なものに関しては、購入費が年間10万円の範囲で支給されるというサービスもあります。(12) 住宅改修は段差の解消など規定されている設備などのためのリフォームに対して、住宅改修費が支給されるサービスになります。(13) 居宅介護支援事業はケアプランの作成などの介護支援サービスを提供するもので、介護支援専門員(ケアマネジャー)が担います。

今回紹介したサービスの他に、地域密着型サービスなどもあります。
ぜひ、ご自身でも勉強し理解を深めてみてください。

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