食べ過ぎたわけでもないのに吐き気がする場合もあるかと思いますが、吐き気は軽視できないものもあるのです。今回は吐き気について見ていきたいと思います。

吐き気とはそもそもどのようなもの?

吐き気とは、吐きそうな感じのある不快感のことを指します。めまいや食欲不振などを伴うこともあります。体に有害なものが入った場合、それを排除して体を守ろうと脳の嘔吐反射中枢が刺激され吐き気が起こるのは防御反応の一種です。
急性胃炎や食中毒などの明らかな病気の場合だけでなく、特に異常がないのに吐き気がするという場合もあります。乗り物酔いや妊娠中のつわりなども防衛反応とは少しばかり異なるものといえます。明らかな病気がある場合には治療できますが、異常がない場合はその対処が難しいです。

異常がない場合の吐き気の種類とは?

前述したように、特に疾患がないのに起こる吐き気は非常に厄介です。これは大きく分けて「嘔吐反射」、「機能性ディスペシア」の2つに分類されます。
多くの方が経験する嘔吐反射は、喉の奥に異物感を感じることで吐き気が起こる現象です。例えば、歯磨き中に吐き気がしたり、タートルネックなどで首が圧迫され吐き気がしたりすることなどが該当します。特に口呼吸をする癖がある人は口が乾きやすく、口にものが入った際、突然鼻呼吸に切り替わることで吐き気が起こりやすくなります。鼻呼吸を心がけることや、口腔内が乾燥しないようにすることが対策です。
また、吐き気が起こりそうになった場合には腹筋に力を入れると抑制することができます。加えて歯磨きの際には歯ブラシを舌先や頬に接触させないようにするとよいです。

より厄介な吐き気には注意!

前述した機能性ディスペシアは、嘔吐反射よりも厄介なものです。10人に1人がこれに悩まされているともいわれています。以前は神経性胃炎、ストレス性胃炎などと呼ばれていましたが、内視鏡検査の進歩により名前が変わりました。このディスペシアとは「胃痛などの腹部の不快症状」を表す専門用語です。特に異常が見当たらないにもかかわらず、慢性的な不快症状が見られるものです。
胃が弱い体質、ストレスを感じた際に胃に影響が出る傾向にある、普段から飲酒・喫煙の習慣がある人に起こりやすいと考えられています。環境的要因だけでなく遺伝的要因も関わっていると考えられているので、診断や治療が難しいです。
対策としては、お酒や香辛料などの刺激物を胃に入れないようにする、消化の良いものをゆっくり噛んで食べる、十分な睡眠をとる、日常のストレスを軽減することなどが有効です。

原因が分からない吐き気には漢方薬が有効!

原因がよく分からない場合には、漢方薬が有効な場合が多く、吐き気に関しても同様です。
ストレスなどで胃が痛みがちな人には安中散(あんちゅうさん)が、胃がもたれて消化不良気味の人には平胃散(へいいさん)がよいです。
胃もたれがひどく食欲不振気味の人には六君子湯(りっくんしとう)が、胸部につかえた感じがある人には半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)が適しています。
なお、胃酸が逆流気味または胃酸が過多な人には止逆清和錠(しぎゃくせいわじょう)が、暑気あたりやお腹の冷えがある人には胃苓湯(いれいとう)が適しています。
そして、胃が弱い虚弱体質の人には補中益気湯(ほちゅうえっきとう)がおすすめです。
吐き気が起こると、嘔吐しなくてもしばらく不快な状態が続くため、きちんと対処したいところです。ぜひ対処できるようになってください。

リクナビ薬剤師では働く薬剤師さんを応援しています。転職についてお悩みの方はこちらのフォームよりご相談ください。