年々猛暑が長く続く中、あせもに悩んでいる方も少なくないかと思います。あせもは子どもだけでなく、大人でもできるものです。今回はあせもについて見ていきましょう。

あせもができる要因とは?

暑い季節になると多くの方があせもに悩まされています。海外の暑い国から来られた方の中にも、日本に来てあせもに悩まされるようになったという方がいらっしゃるようです。暑さに慣れているはずなのになぜでしょうか。
実はあせもの大きな要因は気温だけではないのです。ポイントは日本の夏は高温に加えて多湿という点です。海に囲まれた島国の日本は、気温が上がると高温多湿状態になりやすい環境です。この状態はまさにサウナに近く、動いていなくても汗が出てきます。
しかしこのような状況は以前からあったはずです。最近になってあせもが増えている理由としては、社会的要因も無視できません。
冷房器具が充実してから室温を低く設定・維持できるようになり、そもそも汗をかきにくい環境でした。
ところが環境負荷軽減が叫ばれる近年においては、冷房温度を高めに設定するという目標を掲げるようになったために、室温が以前より高めになってしまうという傾向にあります。それによって汗をかきやすい環境が生まれ、デスクワークなのにあせもになってしまうという方々が増えてきました。

あせものメカニズムとは?

汗をかくという現象は、外気温によって体温が上昇しすぎないように起こるため、もちろん悪いことではありません。ただし、大量に汗をかいた後にそのまま何もせず放置すると、汗を出す器官である汗腺(主にエクリン腺)の汗管に汗が詰まってしまうことで炎症が起こります。その炎症によって赤くなったり、かゆみが出てきたりするというのがあせものメカニズムです。なお、汗の詰まる深さで症状が変わってきます。
ひじの内側や下着でしめつけられたお腹周りなどの汗が留まりやすい部位にできやすいです。

症状の違いとは?

あせもは医学的専門用語では「汗疹(かんしん)」と呼ばれます。
前述したように汗の詰まる深さによって症状は異なります。一番多いのは表皮部分が詰まる場合で、赤いぶつぶつやかゆみが見られます。これを「紅色汗疹(こうしょくかんしん)」と呼びます。
皮膚の浅い部分が詰まった場合には、透明な水ぶくれが複数現れますが、かゆみなどはありません。これを「水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)」と呼び、乳幼児や発熱した方にできやすいです。
真皮などのもっと深い場所が詰まった場合には、前述した紅色汗疹を繰り返した後に、皮膚に盛り上がりが発生します。これを「深在性汗疹(しんざいせいかんしん)」と呼び、熱帯地域などでよく見られます。

あせもの治療法とは?

あせもの対処法は何より、汗を放置しないことが重要となります。ウェットティッシュなどでこまめに汗を拭いたり、下着を着替えたりすることがよいでしょう。あせもができてしまった場合は、まずは汗をきちんと落としてから治療します。
治療薬としては、抗ヒスタミン成分、ステロイド成分、抗炎症成分などが配合された薬が使われます。また、保湿を行うことで肌に汗が残りにくくなったり汗が薄まったりするため、あせもになりにくいという考えもあります。保湿剤が軟膏やクリームだと汗腺を塞いでしまいかねないため、ローションタイプがオススメです。
また、あせもをかきむしってしまったなどの場合は感染対策も必要となるため、抗生剤を配合した薬を使用するようにしましょう。
あせもは意外と奥が深くあなどれないものですが、薬局やドラッグストアで販売しているデオドラント系商品やOTCでも十分対処できるものでもあります。ぜひ薬剤師としてあせも対策のスペシャリストを目指してください。

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