常備薬を入れる救急箱は、なにかあったときのために各家庭に1つ置いておきたいものです。しかしながら一般の方ではどんな薬を入れておけばいいか、また他にどんなものを入れておいたらいいか、なかなかわからないかもしれません。薬局はセルフメディケーションの場所として機能がすることが求められる時代になりましたから、アドバイスできる薬剤師になれるように復習してみましょう。
常備薬として最低限これは欲しい!!
常備薬の役割は昔から、「病院へ行かなくても最低限の治療ができること」が原則です。かといって糖尿病などの疾患を常備薬で治そうとするのはもちろん避けるべきで、病院にいくまでもない、または病院に行くまでの間のつなぎとしての治療を本分としています。
そういった症状の中で一般的なものはやはり風邪ではないでしょうか。風邪薬といってもたくさんあって、症状も患者さんによって多種多様。そのため実際患者さんに風邪薬について相談されると、なかなか答えるのが難しいと思います。常備薬という観点からは最低限のものでよいでしょう。具体例をあげるなら、家族全員に共通して使用できる総合感冒薬(ルルなど)をまずは1、2種類置いておくとよいでしょう。
意外と盲点なのが、風邪の引き始めにはこれらの総合感冒薬はあまり相応しくないということです。ですので、これらとは別に、風邪の引き始めに適したものも置いておくと良いです。例をあげると、葛根湯がこれに該当しますが、ここでも注意点があります。葛根湯は漢方薬で通常は粉状になっています。粉状のものを常備しておいてももちろんいいのですが、震災時など水が手に入りにくい状況だと、飲むのが困難になり、結果として常備薬の意味がなくなってしまいます。そこで液状のカコナールなどがお勧めです。これなら水が必要なく、すぐに飲めます。かつ、はちみつなどの匂いを付けた商品もあり、本来苦い漢方薬も飲みやすくなっているという点でも有用です。余裕があれば葛根湯以外の風邪用の漢方薬(咳の風邪用の麦門冬湯、鼻水の風邪用の小青竜湯など)もいくつか入れておくと、症状毎に対処できて便利です。
また、風邪の日々の予防という観点でうがい薬、のど飴、マスクなども追加で入れておきましょう。
他に置いておくべきものは?!
他に置いておくべきものとして、内服薬としては鎮咳薬、解熱鎮痛消炎剤、胃腸薬、整腸薬、止瀉薬、抗アレルギー薬です。
この中で、胃腸薬としては、
- 食べ過ぎたとき用の消化薬(第一三共胃腸薬など)
- 胃もたれや胸やけなどの対策として胃酸抑制剤(ガスター10など)
の2つを各々常備しておくことがお勧めです。
一方、外用薬としては、皮膚用のものとして
- 湿疹・かゆみ止め薬(オイラックスAなど)
- 化膿治療薬(クロマイ‐N軟膏など)
- 虫刺され薬(マキロンSかゆみどめ液)
- 湿布薬
- 消毒薬
- 目薬
を置いておくといいでしょう。
また、湿布薬としては冷感タイプと温感タイプの両タイプを常備しておくと良いです。
消毒薬としては、
- 割と抗菌スペクトルが広めで汎用性が高い消毒用エタノール
- 子供でも安心して使えて傷口にしみにくいマキロン
- ノロウイルスにも使える次亜塩素酸を配合した除菌モーリス
など、違う種類のものを常備しておくとどんな感染状況にもすばやく対応できて有効です。
この他には
- 包帯
- 絆創膏
- はさみ
- テープ
- ピンセット
- 体温計
をついでに入れておきましょう。
もちろん、1年くらい毎に有効期限をチェックすることを心がけることも、併せてアドバイスするようにしてくださいね。