今回は趣向を少し変えて、資格ではなく、薬剤師が博士号を取得することの意義について紹介したいと思います。
医師においては、医師免許を取った後に医学博士を取得することは次第に普通になってきました。
医療の高度化の流れの中で、こういった流れは今後薬剤師にもやってくると考えられます。

そもそも博士号ってどんなもの?

一口に博士号といっても、薬剤師に一番身近な薬学博士や医学博士はもちろん、理学博士、文学博士など色々な種類があります。
博士号についてはよく、「足の裏の米粒」という表現がされています。

取らなければ気になるが、取ったところで食えないことの例えというのがその本意です。
実際に、博士号取得者は昔から比べると多いですが、研究職や大学教員の枠は増えていないので、結果として就職は狭き門ということが社会問題になっています。

薬剤師が博士号を取るとどうなるのか??

薬剤師の場合、現在は6年制ですので、4年制の他学部とは違い、大学院試験を受けると、修士課程を経ず直接博士課程に進むことになります。
博士課程に進学すると、いずれかの研究室に籍を置くことになりますが、研究室によっては、薬剤師としての経験を積むことも研究と同じだけ重要視していて、積極的に薬剤師のアルバイトを推奨するところもあります。

また、博士号を取った後、たとえ研究職につけなくても薬剤師としての就職はできます。
それどころか、博士号を持った薬剤師の肩書きを高く評価して、給料に反映してくれたり、また、責任ある業務を任せてくれたりする病院や薬局も最近では多くなってきました。

博士号を取得しているということは当然論文を読んだり、書いたりできることはもちろん、論理的に考える訓練ができている一つの証拠ですので、服薬指導する際にも必要になってくる論理的説明力が高い人が多いです。
そういった点でも評価が上がります。
そして医師や看護師などからより信頼されたり、一目置かれます。

大学病院を含めた大きな病院では薬局長になるために、博士号が必須であるところも増えてきました。
大手の薬局やドラッグストアーでも、博士号を持った人を昇進させようというところも増えてきています。

近年、大学では薬剤師経験があり博士号を持っている薬剤師を実務家教員として採用しています。
しかもこの教員はまだまだ不足しているのが現状ですので、他の学部出身者の博士号取得者よりも大学教員になること自体がかなり有利です。

働きながらでも大学院に通える!?

現在、どこの大学も社会人大学院制度を設けるようになってきました。
それにより、きちんと仕事を続けながら大学院にも通うことも、以前に比べたらハードルが下がってきました。

もちろん毎日実験しなければいけない研究などは難しいなど、研究テーマに制限は出てきますが、博士号を取ること自体が目標なら、こちらのほうが通いやすいとは思います。
今後のキャリアアップの一つとして検討してみてください。