最近、テレビの報道等で危険ドラッグやハーブ類による事件を数多く耳にすることが多いです。
事件を起こした直後に泡を吹いている、または逮捕されたときにハイテンションで騒いでいる常用者の姿が強烈に目に焼き付いている方も多いと思います。
化学物質の安全性と危険性の両面に精通していると社会的に見なされている薬剤師であれば、合法かそうでないかを問わず理解しておきたいものです。

そして、薬剤師一人ひとりがこういった流れを抑制できるようになれればとも感じています。
今回はこれらの動向を紹介します。

「危険ドラッグ」という名前に至るまでの経緯とは!?

元々、法律で規制されていない成分を含んでいて違法性はないということで、以前は「合法ドラッグ」と呼ばれていました。
しかし「合法」という言葉が用いられたことがプラスのイメージになり、結果として乱用につながり健康影響が増えてきているとの行政側の認識が芽生えはじめ、2000年あたりから「脱法ドラッグ」に変更されました。

しかしながら、この「脱法」という言葉も結局は違法ではないという意味に解釈されてしまい乱用が減らなかったことから、2005年に違法性をはっきりと明示する「違法ドラッグ」に変更されました。
その後、法律で規制されていないのに「違法」という言葉をつけるのはわかりにくいのではないか、という意見が出始めました。

そこで2014年に、厚生労働省と警察庁が一体となって、一般人にもわかりやすい名前を一般公募することにしました。
社会的に関心が高いこともあり、約2万件の応募があり、その中には「危険ドラッグ」の他に「廃人ドラッグ」や「準麻薬」といった過激なものもあったということです。
協議の結果、危険性がストレートに伝わりやすい「危険ドラッグ」が選ばれたということです。
ちなみに英語では一般的に「リーガル・ハイ」と呼ばれます。
余談ですが、あの人気法律ドラマ「リーガルハイ」はこれとはまったく無関係で、「法律(リーガル)でハイになる」から名付けられた造語だそうです。

包括的な取り締まりによる乱用防止に期待!

以前は液体成分を使ったものが多かったのですが、最近では煙を発生させるいわゆるハーブ系のものが多く出回っています。
このハーブ系のものはお香として売るという逃げ道がとりやすいこと、かつ手軽に使えることから乱用が広がっていきました。
吸引といった体内への摂取目的での販売は法律違反になりますが、実際のところこの解釈が非常に曖昧なため、購入者の自己判断で使われていてもわかりにくいという現状があります。
現在でも、インターネットなどで芳香剤や観賞用といった名目で販売されているのを目にすることもあると思います。

こういったことから、最近のニュースで目にしやすいのはこのハーブ系がらみの事件です。
この動向をふまえ、いたちごっこの規制を少しでも緩和しようとしています。
最近では新しく発見された成分を一つひとつ個別に調べて指定していく方法ではなく、ある基本化学構造から類推されるあらゆるパターンの類似構造物質を包括的に指定する方法が導入されています。

これにより一気に多くの物質を規制できるようになり、乱用減少が期待されています。
さらに最近、政府により閣議決定されたことで麻薬取締官を緊急採用するというニュースを見た方も多いと思います。
これも危険ドラッグ撲滅への動きの一つです。
薬剤師であればぜひこういった動向を知っておいてください。