昨年の4月から今月までの中の一年間で、様々な医療関連ニュースがありました。
年度末の節目のこの時期に、年間の医療関連ニュースの中でも是非覚えておきたいものを振り返り、そこから見えてくる今後の動向を探りたいと思います。

薬剤師にとって一番無視できないニュースといえば!?

薬剤師業界にとって何よりも衝撃的だったのは、薬剤師国家試験の難化による合格率低下だったのではないでしょうか。
全体の合格率が60%台だったことはさることながら、例年は私立が合格率上位を占めていたのに、昨年は国立の金沢大学が1位となり、唯一の90%台だったということが一番注目すべき点でした。

大学入試の際に、国公立大学のほうが広い受験科目を必要とする場合が多く、基礎力が自ずと高めであるという事実が影響しているようです。
高校レベルの化学や物理の知識まで遡って問う一部の試験内容に、現場であまり使わない基礎学力自体にそこまで力入れていいものか?との賛否を巻き起こしました。

あくまで私個人の見解ですが、やはり基礎学力は大事だと考えます。
現場の薬剤師からも、もう少ししっかりと化学や物理やっておけば良かったとの声も結構聞きます。
このことを加味すると、基礎学力を必要とする、かつ考える力を発揮できる今の国家試験の流れは、今後の薬剤師業界のために良いのではないかと思います。

もう一つ薬剤師に関する重大ニュースが!?

臨床検査技師法の一部が改正され、「検体測定室」の届け出をして検査を希望する人が自分で採血するなどの一定の条件を満たせば、薬局店頭でも血液検査を行えることになったことも大きな変化ではないでしょうか。
しかも測定可能項目は特定検診の項目である「血糖値」、「HbA1c」、「中性脂肪」「肝機能」などの8項目です。

今までは長い時間病院に並んでから検査を受けなければいけなかったのが、たとえば買い物のついでに薬局に寄って検査の数分後に結果が出る、ということも出来るようになります。
検査値による病態などの診断はしてはいけないものの、見積もりがだいたいできるという点ではかなり画期的な規制緩和です。

今後の保険適用も議論されている事柄でもあります。
薬剤師側でもこのチャンスに積極的になるべきだと思います。

やはりインパクト大だったのはあのニュース!?

この一年間で大きく報道されたのは、やはりSTAP細胞についてだったと思います。
再生医療という次世代の医療につながる大発見だったこともあって医療関係者の中でも注目度が高かったようです。
詳細はみなさんもよくご存知かと思いますのでここでは省きますが、注目したいのは再生医療という分野がそれほど注目されているという点です。
その注目度の高さから薬事法の名前と中身まで大きく変わったほどです。

また昨年の9月には、iPS細胞から作られた網膜組織を実際に患者さんに移植する記念すべき第1症例目の手術が行われたことも話題になりました。
薬剤師も今後この分野に関わっていくことは必須です。

他にも、最近になって薬局での薬歴未記載問題や院内薬局の議論が巻き起こってきています。
長いこと議論になっていた医薬品のネット販売解禁や後発医薬品使用の促進的な一年であったりもしました。
この一年は医療業界にとっても、かなりの激動の一年であったと感じています。
4月以降はこの動きがより具体的になっていくことは必須です。
乗り遅れないように薬剤師としては、いかなる職場にいようとも常に意識しておきたいものです。