カレーはインドを発祥として、今や世界中で愛されています。
世界各地で色々な種類のカレーが存在して個性的な食べ物となっています。
スパイスの種類もまちまちですが、使用するスパイスが漢方薬原料の生薬に近いことから、漢方薬っぽいイメージがある食品でもあります。
そのため、昔からカレーは健康によく、さらには頭が良くなるとも考えられてきました。
今回は、医師・医学博士の吉田たかよし先生著「なぜ、東大生はカレーが好きなのか(祥伝社)」を参考に、カレーに関する興味深い知見を紹介したいと思います。
実は、東大生はカレーが大好き!
日本で一番頭が良い人達が集まる場所である東京大学。
実は、その東京大学の周りにはカレー屋さんが多くあります。
10メートル歩くとまたカレー屋さん、ということも少なくありません。
本格インドカレー店や薬膳カレー店、はたまたカレーチェーン店などその種類も非常にバラエティに富んでいます。
加えて、カレーを提供している喫茶店、レストラン、学食などを含めるとその数は数えきれないくらいです。
こんなに多くあっても、つぶれるどころか、今でもその数は増えています。
これには理由があります。
東大の学食を眺めてもわかることですが、実は東大生にはカレー好きが多いのです。
科学的・客観的に証明できるものではありませんが、この事実をみるとカレーには頭が良くなる秘密がかくされているようにも感じますね。
カレーと脳との関係は科学的に注目されている!
世界で一番始めにカレーと脳の関係が注目されたのは、アルツハイマー病研究においてです。
インドではアルツハイマー病の発症率が極めて低いということが明らかになったのがきっかけでした。
インド人とアメリカ人を比較した疫学調査によると、インド人のアルツハイマー病の発症率はアメリカ人の発症率の約4分の1に過ぎないのだそうです。
疫学調査でこれほどまで大きな差が表れることは珍しく、注目を浴びました。
『インドといえばカレー』なので、カレーに何かヒントがあると考えて成分を詳細に調べていくと、「ターメリック」にたどり着きました。
ターメリックには「クルクミン」という成分が含まれていて、これがアルツハイマー病予防に効果があることがわかったのです。
その後、別の研究でインド人以外の人にも当てはまることがわかってきました。
クルクミンの効果で頭がよくなる?
アルツハイマー病の原因と考えられているのは、「アミロイドβ」という異常タンパク質です。
通常であればこういった異常タンパク質は免疫細胞の一つである「マクロファージ」が掃除してくれるのですが、掃除しきれず残ったものが少しずつ蓄積していくと、神経細胞が死んでいき、アルツハイマー病につながってしまいます。
クルクミンはこのマクロファージの掃除を強化する効果があることがわかりました。
さらなる研究で、クルクミンの中でも特に「ビスデメトキシクルクミン」が有効だともわかってきました。
ただ、これらは試験管やシャーレの中で行われたものであり、カレーの中の他の成分と相互作用を起こすことも考えられるので、実際のメカニズムはもっと複雑かもしれません。
ともあれ、カレーにアルツハイマー病予防の可能性があるなら、脳機能衰退予防の可能性もあり、結果として頭が良くなる可能性もあります。今後の研究に期待ですね。