咳喘息で悩まれている方にとって、ほかの疾患の薬を使用することは実は結構大変な側面があります。今回はこの視点から復習してみましょう。

咳喘息とはどういったものか?

咳喘息は、痰が絡まない乾いた咳を伴いますが、息苦しさ自体はそんなには感じない呼吸器系疾患です。比較的長引く(長くて2ヵ月程度続く)ことも多く、自然治癒すればもちろん大丈夫ですが、自然治癒しないことも少なくなく、そのまま治らず放置することで、約30%程度が気管支喘息へと移行してしまいます。

気管支喘息になると、激しい咳で息苦しさを感じるようになり、「ぜーぜー」などの呼吸音を伴うようになります。こうなってくると炎症が気道に広がっている状態となるため、完治することが困難になります。そのため、咳喘息の段階での早めの治療が重要となります。

なお、「少し動くだけで息切れしやすくなった」、「ずっと会話をしているとだんだん息苦しくなってくる」などの症状が最近見られるようになった場合には、咳喘息の前兆の可能性もあるので、そういった状態を感じた際には、早期発見できたと理解して早めに対処することも有効です。

控えたほうが良いことが結構ある?

多かれ少なかれ、炎症が呼吸器に広がってきている状態になっているため、普段何ともないようなわずかな刺激でも、咳が悪化してしまって止まらないという状態になりえます。例えば、ハウスダスト、花粉、冷気、タバコの煙、ほこりなどです。

咳喘息と言うと、ついつい薬に頼りがちですが、実は、日常生活において、刺激となるものを避けたり、ストレスを減らしたりすることで、ある程度症状はコントロール可能です。

また、一般的に2~3μmの粉じんに関しては、肺の奥まで入ってきて、結果として肺に炎症を起こしやすいので、PM2.5などの小さい化学物質の粒子に関しても、なるべく避けたほうが良いです。都会に住んでいたころは咳喘息の症状があったけれど、田舎へ引っ越しをしてしばらくすると咳喘息の症状が改善したということがありますが、この現象に関しては、相対的に化学物質などの吸入量が減ったことによって起こった可能性もあると考えられます。

また、冬場に急に冷えて乾燥してくることで悪化することも多いので、なるべく乾燥して冷えた空気を気道に入れないようにする工夫も必要です。こういう理由から、確かに適度な運動はストレス軽減にもなって咳喘息の症状軽減には有効とは考えられますが、冬場のジョギングなどのように、乾燥して冷えた空気を一度にたくさん吸入するような運動だと逆に悪化するという可能性もあります。辛味の香辛料や冷たい飲み物なども刺激が強いので避けたほうが良いでしょう。こう見てみると、控えないといけないものが意外と多いなと感じられるかと思います。

飲んではいけない薬とは?

咳喘息の方が飲んではいけない薬として押さえておきたいのは、

(1)NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)

(2)ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)

(3)βブロッカー(β受容体遮断薬)

の3つです。

(1)は風邪の際にも普通に処方されたり、または、OTCとして購入して服用することが多いものです。咳がひどくて風邪だと思ってしまい、これを飲んでしまうと逆に悪化してしまうということになります。受診の際やOTC購入の際には、「乾いた咳が結構続いている」ということをしっかりと伝えると良いかと思います。逆にそれを聞いた医療者側としては、咳喘息を疑うことが必要です。

(2)に関しては、例えば、持病として咳喘息を罹患している患者さんが、血圧が高いということで、別のクリニックへかかって処方されるという場面が想定されます。まさか患者さんは咳喘息の可能性があるなどとは考えないため、ACE阻害薬を服用していくと乾いた咳がどんどん悪化していくということにもなってしまいます。受診の際には伝えることはもちろん、ここでお薬手帳やマイナンバー情報が役に立つと言えます。

(3)に関しては、喘息治療薬としてよく使用されるβ2受容体刺激薬の真逆の作用を持つものなので、せっかく喘息の治療をしていても帳消しになるばかりか、逆に悪化してしまう可能性もあります。

薬剤師としては、薬の番人として、症状が分かりにくい咳喘息をこれ以上悪化させないようにしながら、別の疾患にも対応できるようになりたいものです。咳が長いこと続いているという訴えをされる患者さんに出会った際には、ぜひ咳喘息の可能性を考慮して対処していけるようになってください。

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