ようやく春がやってきたこの時期、新生活や新学期に胸を躍らせる方々も多いと思います。そんな中、季節の変わり目ということで、体調を崩しがちな方々も少なくないでしょう。今回はこの時期に注意すべき疾患と薬について見ていきたいと思います。

春はどういった時期か?

春は寒い時期から徐々に暖かくなってくる時期です。しかしながら、太陽が出ている日中は暖かいものの、朝夜はまだ寒いという寒暖差が激しい季節でもあります。それと同時に、気圧の変動も大きくなってきます。

このことから、前述したように体調を崩しがちな方々もいらっしゃいます。身体面だけでなく、精神的にも体調を崩してしまうこともあります。加えて、生活環境や仕事環境が劇的に変化することも手伝って、なかなか治らないという方も結構いらっしゃいます。そういう意味では、春は結構厄介な季節とも言えます。

どんな疾患があるのか?

2月ごろから始まっている方もいらっしゃいますが、春先に向けてスギやヒノキを中心とする花粉症の方がまだまだ散見されます。さらに花粉症の方が、特定の果物や野菜(桃など)などを摂取した際に口の中がかゆくなってしまう口腔アレルギー症候群になってしまう方もいます。

それに加えて、寒暖差自体がアレルギーを引き起こす寒暖差アレルギーの方も増えてきます。それと似ていますが、寒暖差によって自律神経が乱れることで、寒暖差疲労(いわゆる春バテ)が起こったり、メンタル不調(不安感、うつ症状、イライラなど)につながったりします。5月になると憂鬱になってしまうといういわゆる「5月病」も有名ですが、これは要するにこういった春特有の不調が原因なこともあります。

また、春に多い感染症としては、麻疹、風疹、おたふくかぜがまずは代表的なものとしてあります。これらは子どもがなるものと思っている方が多いですが、実は大人でも感染して、大人の場合には特に重症化してしまうことも少なくないです。

そして意外と盲点なのが、インフルエンザウイルスへの注意がまだ必要ということです。インフルエンザウイルスのいわゆる型は毎年変異しますが、この変異によっては、暖かさに強いものも出てきて、それが春先まで残っていることがあるからです。

春の疾患への対策とは?

まずは寒暖差への対策がメインとなります。上着を持ち歩き、こまめに脱着ができるようにする、いつも以上に規則正しい生活をする、睡眠ときちんととる、入浴などでリラックスするなどが有効です。

特に疲れを感じたらなるべく早めに休息をとるのが大事です。もちろん、それぞれの症状にはそれぞれのための薬が使用できます。例えば花粉症なら抗アレルギー薬、頭痛には鎮痛薬などといった感じで、春に限らず対症療法として使っているものがもちろん転用できます。

しかしながら、寒暖差による自律神経の乱れなどの場合には、漢方薬の方が向いているという場合が多いです。特に春の疾患には漢方薬がかなり使いやすいです。実際、この時期の疾患には、西洋薬に加えて、割と積極的に漢方薬が処方されます。ちなみに、漢方医学的には、春は「肝」に影響を与えることで、イライラや花粉症などの不調が起こりやすい季節と考えます。

例えば、だるくてやる気がでないという方には補中益気湯(ホチュウエッキトウ)、気分が滅入るという方には香蘇散(コウソサン)、何かイライラして怒りっぽいという方には抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)、気候が変わると頭痛がひどいという方には五苓散(ゴレイサン)、花粉症の症状が気になるという方には小青竜湯(ショウセイリュウトウ)といった感じです。

また、漢方医学の考えを応用した食生活である薬膳の観点を日々取り入れるのもいいでしょう。前述した肝の機能を整えるために、「酸味」の特性があるレモン、酢、梅干しなどを取り入れるのが有効です。春先になると酸っぱいものが食べたくなるという方は特に良いです。また、イライラする場合には気が滞っている「気滞」状態となっていることがあるので、滞った気を巡らす働きをする香りが強い食材(ハーブ類、セロリ、春菊、パクチーなど)も効果的です。胃腸が弱っている場合には、消化の良いもの(山芋、じゃがいもなど)を温かくして食べるのが良いです。もちろん、今回紹介したものは目安なので漢方医学や薬膳の専門家に相談するのが一番良いでしょう。

いずれにしろ、季節の変わり目を侮ることなく、早いうちに対処できたら、5月病も乗り越えて健やかに過ごせると思います。ぜひ薬剤師からもアドバイスできるようになってください。

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