異例のスピードで梅雨が明け、いきなり暑い夏がやってきました。全国的に猛暑になっている今年は、食事などで暑さに対処しようという方が例年よりも多いのではないでしょうか。今回は夏によく食べられている薬味について言及してみましょう。
夏は体を冷やす食材が旬となる!
猛暑が続くうえ、コロナ対策としてマスク着用も継続していることから、体内に熱がこもりやすくなっています。そんな暑い夏には、トマト、きゅうり、なす、ゴーヤ、スイカなど体を冷やしてくれる食材が旬となります。
筆者も田舎出身ですが、夏には、とれたてのきゅうりを冷たい水で洗い、そのままかぶりついていました。また、スイカを食べる際は、おばあちゃんの知恵で、塩をふって食べていました。体を冷やす効果が期待できるスイカに塩をふることで、汗で失われた水分と塩分を同時に補うことができます。先人の知恵は現代科学と一致しており、つくづく感心します。
水分を補うものも夏には一緒に摂るべき!
夏には水分が大量に失われるため、体に潤いを補ってくれる食材も一緒に摂ることが推奨されていますし、実際にメニューにも取り入れられています。具体的には、豆腐、豚肉、あさりなどが該当し、特に暖かい地域ではこれらの食材を使ったメニューが多いです。日本でも南方は一年中比較的暖かいため、体を冷やしたり、水分を補ったりするものが多く食事に摂り入れられています。
現代の生活様式の変化によって食事も変わってきた?
簡単に全国を飛び回ることができ、さらに、農業技術や食品加工技術の向上が著しい現代においては、一年中同じ食材をどこでも簡単に食べることが可能となりました。そのため、食材の旬を意識することが少なくなってきましたが、暑さに苦しんでいる時にこそ、今一度、旬を意識すると良いでしょう。
現代は、冷房器具が発達しており、比較的容易にどこでも涼むことができます。特に、オフィスで仕事をしている場合、ついつい冷房の下にずっと留まりがちになってしまい、逆に冷えすぎてしまっている方も多く見られます。また、アイスクリームやカキ氷、冷たい飲み物などをたくさん摂ってしまい、内臓から冷えてしまっているという方も多いです。
夏には体を冷やすものを積極的に食べるべき、との昔からの言い伝えもありますが、現代の生活様式にも目を向けることが大切です。
薬味って実はバランスをとるためのもの?
前述のように、「外は暑いのに体は冷えている」という厄介な現代人の悩みに対処できるのが薬味です。薬味には、ねぎ、しょうが、みょうが、大根おろし、わさび、しそなどがあります。夏にそうめんを食べる際には、ねぎ、みょうが、わさびなどを薬味として使いますし、冷奴にもねぎ、しょうがなどを添える方が多いのではないでしょうか。
ここで紹介した、ねぎ、しょうが、みょうが、わさび、しそなどの多くの薬味は、体を温める特性を持つものが多く、体を冷やす食材を中和してくれます。さらに、食事に風味を加えてくれたり、殺菌効果により食中毒の予防効果があったりします。夏は食材が傷みやすく、食中毒への不安も増すため、薬味に殺菌効果があるのはありがたいですね。まさに暑さと冷えの両方に対処したい現代人の強い味方でしょう。
なお、大根おろしには、消化を助けてくれる働きがあるものの、少しだけ体を冷やす性質もあるため、一度にたくさん摂取すると冷えてしまう人もいます。この冷えへの対策として、大根おろしに唐辛子をまぜた「もみじおろし」があります。体を温める唐辛子が、大根おろしの体を冷やす働きを緩和するのです。よく考えてみると、和食のお店などでは、冷たいメニューの薬味として、もみじおろしが添えられていることが多い気がします。
まだまだ暑い夏が続きます。冷房や冷たい食材にばかりに頼るのではなく、上手に薬味を活用して、ぜひ快適な生活をおくってください。
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