私たちは、日頃から無意識に様々な色から影響を受けていると思います。気分によって服の色を変えてみるという場面がその好例でしょう。実は、色は昔から療法としても使われています。今回はカラーセラピーと色の可能性について見ていきましょう。
色を使った療法はかなり歴史がある?
色を利用した療法のことを「カラーセラピー」と呼びます。カラーセラピーはかなり歴史がある療法で、古代ギリシャ時代の医学の祖として有名なピポクラテスも、色が心身に影響を与えることをすでに知っていたと言われています。
カラーセラピーにも様々な種類が存在しますが、最も広まっているのがオーラソーマカラーセラピーです。これは、上下2層に別々の色が入っている100本以上のカラーボトルから選んだ4本によって心理状態などを探ったりするものです。そして、このセラピーはイギリスの薬剤師ヴィッキーウォールによって生み出されたもので、我々と同じ薬剤師によって作られた点が非常に興味をそそられる点です。
実際にカラーセラピーを導入している薬局もあります。イギリスでは薬剤師は化学者の代表(かつてのイギリス英語では薬剤師は化学者と同じchemistが使われていた)とされていますので、カラーセラピーはただのスピリチュアルなものではなく、漢方医学と同様、科学的な要素が多いことが理解できます。これまでに多くの研究者が色は心身に影響を与えることを証明してきていますので、薬剤師であれば積極的に学びたいところです。ちなみに、日本ではカラーセラピーの国家資格はなく、すべて民間の資格になりますが、薬剤師にプラスして取得すると有効かと思います。
色の影響が注目されるようになったのはボルト選手?!
色が心身に与える影響が注目されるようになった1つのきっかけが、陸上競技におけるトラックの色の変更でした。中でも最も印象に残っているのが2009年世界陸上ベルリン大会です。世界的なこの大会でトラックの色が赤色から青色に変更になり、これを境に他の競技場においても青色に変更されるようになりました。世界的に色の影響に注目が集まるようになったのが何故ベルリン大会からかというと、この時にジャマイカのボルト選手が100mと200mで驚異的な世界新記録を出したからです。以降、他の競技においても赤色トラックから青色トラックになった直後に好記録が出やすくなり、記録が出るようになったのは色の影響もあったとする研究者も出てきました。もちろん、記録には競技用具の進化や栄養状態の改善になど加えて、アスリートの努力や練習方法の進歩など他の要因も関係してはいるものの、色の効果についても無視はできないと改めて見直されはじめました。
各色はどんな特徴を持つのか?
まずは前述したトラックの例で見てみましょう。
例えば赤は、興奮、情熱、怒り、攻撃的などをイメージする色です。また、とても自己主張が激しい色、かつ、血の色を彷彿させ危険と感じやすい色でもあります。その一方で青は、鎮静、抑制、クール、爽やかなどをイメージする色です。また、心身を落ち着かせることで、集中力を乱さないようにする効果も期待できます。
試合となると一見攻撃につながる赤の方が良いように感じますが、実は、緊張を落ち着かせて、集中力を維持させることにつながる青の方がより適していると言えるのです。
次に他の色についても見てみましょう。
例えば黄は、知性、理解力、記憶力、判断力につながる色で、何かを目標にしている時などには黄色が気になると考えられます。また、自己アピールの色でもあり、赤と同様危険を表す色でもあります。子供が赤と黄を好むもの、自己アピールと危険の察知に敏感な年頃だからと言われています。
緑はちょうど中間色にあたり、草木の自然な色なので、心身のバランスを整える効果や癒し効果があります。刺激が少ないので見る人に安心感ややすらぎなどを与えますが、活動的な人には好まれない色でもあります。
最後に、2つの色が混ざったものも見てみましょう。
例えば紫は赤と青の正反対の2色が混ざった色なので、ぶつかりあう2つの感情で葛藤がある心のバランスを整えてくれます。心身が疲れてしまった時に紫を好むことが多いので、病気の色と勘違いされていますが、実は心身の疲れを癒す色なのです。そして、心身を落ち着かせることで潜在能力を引き出す色でもあります。紫を何となく神秘的に感じるのも、潜在意識に働きかけるからかもしれません。
他にも多くの色がありますが、それぞれきちんとした意味を持ち、色の持つ特性を上手に利用することで薬や栄養に勝るとも劣らない効果を発揮してくれることもあるかと思います。ぜひ勉強してみてください。
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