「○+活」という新しい造語が毎年のように増えておりますが、健康志向が高まる昨今、「菌活」という造語も聞かれるようになりました。薬局などでも菌活関連の商品が多数並んでいるのを見かけるようになり、お客様が薬剤師に相談することも増えてくるでしょう。今回は菌活について言及していきたいと思います。

菌活ってどんなもの?

菌活とは、「体に良い働きをする菌を積極的に食事から摂取することや、自分の腸内に存在している善玉菌を活性化させ、腸内環境を整えること」です。腸内環境を整えることにより免疫能などが高まることで、結果として健康につなげるというのが菌活の目的です。

「菌活」に似たような言葉で、以前より流行している「腸活」があります。腸活とは、「バランスの良い食生活など、生活習慣を良くすることで腸内環境を整えること」です。食生活の一環で体に良い菌を利用するという意味では、菌活も腸活に含まれます。このことから、最近では菌活と腸活とはほぼ同じ意味で使っていることが多いです。

実際に薬局にいらっしゃる方々も同じような意味で商品を買いに来ることが多いので、薬剤師は、まずは「菌活」と「腸活」の違いを理解して説明できるようにしておきましょう。

菌活の肝となるのは腸内フローラ?

我々の腸内にはおよそ1,000種類、100兆個以上の腸内細菌がいると考えられています。これだけ多くの腸内細菌が集まっている様子を顕微鏡で観察すると、隙間なくお花畑(フローラ)のように見えることから、腸内フローラと呼ばれるようになりました。この腸内フローラを適切に維持することが菌活では大事になってきます。

善玉菌だけがいれば良いという訳ではない?

腸内細菌は、主に善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分類されます。善玉菌は乳酸菌やビフィズス菌などが該当し、悪玉菌の増殖を防ぎ、毒性物質の生成を抑制するなどの働きがあります。

悪玉菌はブドウ球菌などが該当し、毒性物質を作り出しますが、動物性タンパク質を分解してくれるという重要な働きもしています。ただし、悪玉菌は増殖しすぎると下痢などを引き起こします。

日和見菌は連鎖球菌などが該当し、その言葉通り、普段は特に何も行いません。しかしながら、善玉菌か悪玉菌のうち、どちらかが優勢な状態になった途端に、その優勢な菌と同じ働きをする性質を持ちます。

このように、悪玉菌と名前が付けられているものの、悪玉菌も重要な働きをしているため、完全なる敵と見なすことは良くないとされています。例えていえば、社会と似ています。悪がいないと正義も存在しないとはよく言われますが、それ以上に、社会が円滑に回るためには、たまに良いことをする悪である「ちょい悪」という存在が必要となります。

腸内もこれに似ています。現に、腸内フローラに生息している細菌を分析してみると、善玉菌20%:悪玉菌10%:日和見菌70%のバランスであることが理想だとわかっています。健康を維持するためには極論ではなくバランスが大事ということが再認識できるかと思います。

菌活に良い食事とは?

菌活には発酵食品が良いとされていることは有名な話です。具体的には、味噌、酢、納豆、チーズ、ヨーグルトなど料理に使いやすい調味料や食品が多く、取り入れやすいものばかりです。ワインや甘酒なども立派な発酵食品になりますので、お酒が好きな方は、晩酌をこれらに置き換えてみるのも良いでしょう。

また、意外と盲点となるのがきのこです。よく考えてみると、きのこ自体が菌類であり(菌と書いてきのことも読みます)、腸内細菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖も豊富に含まれているので菌活には一番向いている食材といえます。

普段から少しずつ菌活に良い食事を意識して取り入れていくと良いかと思います。菌活のアドバイザーになれるよう、ぜひ勉強してみてください。

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