湿度が高い日本において、水虫で悩まれる方は多いです。高齢者の疾患と思われがちですが、老若男女問わず罹患する可能性あり、気が付かないうちに感染し、それを他の人にまで拡大してしまうということも少なくありません。近年、医療用抗真菌薬の種類は内服薬・外用薬共に充実してきています。今回はそれぞれの薬の特徴を中心に学んでみましょう。

水虫の感染後の症状経過

水虫は白癬菌が皮膚に付着、繁殖することで感染する病気です。足への感染が主で、症状としてはかゆみや足の皮膚が分厚くなったり、そのまま皮がめくれたりするなどがあります。

足の感染を放置すると爪に入り込んで感染範囲が広がっていきます。爪には知覚神経がないため、爪の変形などはあるものの初期には自覚症状があまりなく、進行してから痛みが出ることが多いです。足水虫の状態では、外用薬が第一選択になりますが、爪に入り込んだ後には内服薬が適しています。外用薬は爪に有効成分が浸透しにくいですが、内服薬だと爪に有効成分が直接届くので、治療期間の短縮が見込めます。

外用薬の種類と特徴

外用薬は3ヵ月~半年続ける必要があり、剤形によって特徴が変わってきます。

表:剤形ごとの特徴

使用可能部位 刺激 使用感
軟膏 あらゆる病変 低刺激 べたつく
クリーム 乾燥部位 高刺激 べたつかない
乾燥部位 高刺激 べたつかない

軟膏は低刺激のため、あらゆる病変に使える反面、べたつきが気になるなら使いにくいです。クリームはべたつきがないので使いやすいですが、びらんには使用不可で乾燥部位に使われます。液はクリームと同様に使用感自体がよく、乾燥部位に使えますが、、刺激が強いためびらんには使用できません。

アデスタンクリーム®など以前からある外用薬は1日数回塗る必要がありましたが、最近ではアスタット軟膏®など1日1回で済むものも出てきています。ここで注意したいのは、必ずしも1日1回用の方が優れているわけではないということです。薬の使用が面倒だという方には1日1回のものが適している一方、1回だけの使用では効果を実感できないなどの方には1日数回の薬が心理的にも良いでしょう。

医師が患者さんの特徴を踏まえず処方している可能性も考慮し、患者さんへヒアリングをすることが大切です。もし1日数回使用の薬が処方されている患者さんが、1日1回しか薬を使用できないとかがわかれば、すぐに疑義照会して1日1回使用のものに変えてもらうことも検討すると良いでしょう。

内服薬の種類と特徴

内服薬は、薬ごとに服用のタイミングなどが違うため、薬ごとの特徴をつかむことが大切です。

ラミシール錠は1日1回食後服用で、爪白癬や足白癬にとどまらず広く適応症があります。治療期間としては6ヵ月ほど必要です。欠点としては、肝障害や血液障害の可能性が比較的高いという点です。そのため、投与開始後には定期的な肝機能検査・血液検査が必要です。

イトリゾールカプセルは1日2回食直後服用です。治療期間は12週間と短期間ですが、連続服用ではなく、1週間服用して、3週間休薬、これを1サイクルとして3サイクル繰り返すという複雑な治療法を取ることが欠点です。また、併用禁忌・併用注意の薬が多いので他に薬を服用している患者さんには使いづらいと考えられます。この薬が処方されている場合には、薬剤師からきちんと服用方法や飲み合わせについて説明する必要があるでしょう。

前述した2つの薬と比べて、比較的新しい薬であるネイリンカプセルは1日1回(食後でなくても可能)かつ12週間連続服用という利便性があります。さらに併用禁忌・注意の薬が現段階では特になく、肝障害の心配も少ないことがメリットです。欠点としては、爪白癬にしか適応がなく、足白癬の場合には従来の内服薬での対応になることが挙げられます。

水虫の薬は内服薬・外用薬ともに注意点が多いので、Do処方で継続使用の際にも、投薬時には毎回きちんと確認するようにしてください。
水虫のOTC医薬品を知りたい方は「水虫のOTC薬に詳しくなろう!!」も参考にしてください。

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