薬学部が6年制に移行してから結構な年数が経ちました。薬学部の動向を知っておくことは現役薬剤師にとっても重要です。今回は薬学部の動向について見ていきましょう。
現時点での薬学部の数は?
薬学部の数をまずは知っておきましょう。旧4年制時代の薬剤師の方からすると驚きの数かもしれません。現在、国立大学14大学14学部、公立大学5大学5学部、私立58大学61学部もの薬学部が存在しています。6年制になってから一気に増加しました。長年経済状況が良くなかったこともあり、確実に就職ができる医療系学部の人気が上昇してきたことが背景にあります。
数ある医療系学部の中でも、薬学部は医療系学部の中では比較的ホワイトカラーな側面と、その就職先の多様性から、特に人気になってきました。医学部とは異なり設置認可の壁が低いこともあり、多くの私立大学が薬学部を作ってきました。その結果、前述した数に及んだという訳です。
大学に入学する学生数は少子化のあおりを受けて少しずつ減ってくるという環境がある中で薬学部は増えてきました。その結果、本来薬学部に入れないレベルの学生も合格するようになったり、定員割れが深刻化してくるという問題点が浮き彫りになったりしてきました。つまり、選ばなければ、薬学部に入学するだけなら比較的容易になったことになります。
しかしながら、国家試験のレベルは下がるどころか、医療の高度化に合わせるように難化してきています。これらの背景から、留年率や退学率は上昇しているのにもかかわらず、薬剤師国家試験の合格率は上がらないという状況になっています。
今後どうなっていくのか?
薬学部が増えすぎた結果、ついに国の方で、一部の例外(沖縄県のような薬剤師過疎地域の大学など)を除いて、原則、薬学部の新設が認められなくなりました。元々先進国の中では比較的薬剤師数が多かったこともあり、今回を発端に素質のない薬剤師を減らそうという雰囲気にもなってきています。実際に進級要件を以前よりも厳しくしている薬学部も出てきています。薬剤師国家試験も難化の一途をたどっています。
こういったことから、薬剤師数は少しずつ減ってくることが予想されます。加えて、コロナ禍において、元来一番リモートワークが難しいという特徴を持つ医療系職種の大変さが露見して、医療系学部の人気も以前よりかはなくなってきています。 代わりに、デジタルや人工知能を勉強することができる情報系学部の人気が上昇してきています。医療系学部からそちらの方へ受験生が流れているという状況も見られます。
今後生き残っていける薬剤師になるためには?
今後新卒薬剤師が相対的に減ってくると聞くと、現役薬剤師は有利になると思いがちですが実は違います。確かに新卒薬剤師の数は減ってくるかもしれませんが、裏を返すとその新卒薬剤師たちは新しい知見を持ち、難度の高い大学の試験や国家試験を通過してきた猛者達であると言えます。うかうかしていると現役薬剤師達ははじかれてしまいます。そのために、現役薬剤師の方々も、これまで以上に視野を広げていく必要があります。
今後の新卒薬剤師が持っていると予想される能力については最低限持っておく必要があります。具体的に考えると、ITスキル、語学能力、表現能力、国際的感覚などです。これまでもこれらの重要性は叫ばれていましたが、今後こういった能力がより必要になってきます。これらを一発で身につける方法があります。それは大学院に通うことです。
大学院ではこれらの能力のすべてを習得することができます。論文を書いたり、学会で発表したりすることは必須となりますので、自然と身についていくからです。特にすでに働いている現役薬剤師の方々は実務経験などがありますので、前述した能力を上乗せできればかなり有利となります。また、現在は、多くの大学院で働きながら通えるところも増えてきましたので、働きながらでも博士の学位までも修得するということも決して夢物語ではありません(平日夜だけや土日に集中的にというところもたくさんあります)。
ちなみに、大学院を選ぶ時に、かならずしも薬学部を選ばなくても良いです。経営を深めたいなら経営学大学院(ビジネススクール)、最先端の基礎研究に関わりたいなら理学大学院、最先端のITスキルを習得したいなら情報学大学院などという感じです。
博士の学位を持っても就職が不利ではないかという心配をする方もいらっしゃるかと思います。医師はもちろん、看護師や検査技師などほかの医療系職種では大学院に行くことでキャリアアップすることが普通になってきています。 医療系職種では博士を持っている方が高い地位につけたり(実際に大きな病院の薬剤部長になるために博士が必要なところが多いです)、良い職場に行けたりします(実際に製薬企業の研究部長になるには博士が必要なところが多いです)。博士を持っていると海外でも働けるようになりますので、日本を飛び出して世界へという方でも有益です。ぜひ大学院へ通うことを視野に入れてみてください。
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