OTC医薬品の中でも特にバラエティの富んでいるのが、ビタミンを含有した製品。肌荒れや疲労感、疲れ目など、どの症状に向いているのかという表示も様々です。選ぼうとする患者さんはもちろん、選ぶ助言を行う薬剤師でもどうやって選んでいいのかが難しいという意見も多く聞きます。今回は特に疲労回復効果を中心として適切に選べるように改めて考えてみましょう。

ビタミンの基礎知識を復習してみよう!!

まずはビタミンB・Cが該当する、水溶性ビタミンからみてみましょう。
最も多くのOTC医薬品に配合されているのがビタミンB群で、複数の種類が存在します。ビタミンB1は糖をエネルギーに変える、B2は脂肪のエネルギー変換に関与する、B6はタンパク質分解に関与し、精神安定作用があるセロトニンの産生にも関わる、B12は血液産生に関与し、集中力・記憶力・神経系の発達にも関わる、といった各種役割を持ちます。ビタミンCはコラーゲン形成に寄与し、髪の毛や肌のツヤ、ストレス緩和にも関わります。そのため美容目的にも使用されます。加えて、風邪のときにはビタミンCを消耗するので積極的に接種することが望ましいです。
続いて、ビタミンA・D・Eといった、脂溶性ビタミンに目を向けてみましょう。ビタミンAは目の疲労や、骨や歯の発達に関与します。Dは骨や歯の形成に関わり、ビタミンAを一緒に摂取するとビタミンAの吸収が高まります。Eは抗酸化作用を持ち、「若返りのビタミン」と呼ばれています。また、疲労回復効果や血流促進効果もあります。水溶性ビタミンは多く取っても尿と一緒に余剰分が排泄されますが、脂溶性ビタミンは過剰に摂取すると過剰症が起こるので注意が必要です。ただし、Eだけは過剰症の危険性が少なく、血行が悪いときなどには積極的に摂取すると良いでしょう
患者さんの多くがビタミンの種類の違いや過剰症などについてほとんど知らないので、OTCビタミン薬販売時にはこういったことを説明することが必要となります。

疲労回復効果のOTCビタミン薬の選び方とは??

疲労回復用のOTC医薬品の中ではビタミンBを補うタイプが最も多いです。具体的に商品を見てみましょう。
パニオンコーワ錠はビタミンBだけでなく身体のエネルギーそのものとして使われるアデノシン3リン酸を配合しています。これにより効率的なエネルギー変換が期待できます。
知名度が高いアリナミン®Aには、フルスルチアミンというビタミンB1誘導体が含まれています。ビタミンB1は身体に吸収されにくい性質がありますが、この誘導体は吸収がよく、筋肉や神経に吸収されてからビタミンB1に変換されて効果を発揮します。
エスファイト®ゴールドはビスベンチアミンというビタミンB1誘導体を含んでいます。アリナミン®Aには配合されているB2が含まれていませんが、その代わりに自律神経の働きを助ける機能を持つガンマーオリザノールが含有されており、肉体疲労だけでなく、眼精疲労や肩こりなどにも効果が期待できます。
チョコラBB®プラスはビタミンB1、B2、B6を高濃度に配合しているのが特徴です。特にB2は承認基準の最大量です。脂肪代謝に特に長けており、疲労だけでなく、肌あれやにきび、口内炎などに効果があります。
ハイシー®Bメイト2はビタミンB2、B6の他に、コラーゲン生成を促進するビタミンC、肌の代謝を促進するL−システイン、脂質代謝を助けるビオチンを配合しています。疲労回復や肌トラブルに効果的です。
新エバユースB26はビタミンB2、B6が主成分ですが、肌トラブルの際に病院でも処方されることがある、漢方薬のヨクイニンが配合されています。疲れたときの肌あれや口内炎などの対策に優れ、結果的に疲労回復も期待できます。

今後のセルフメディケーションという観点からも、薬剤師としては適切なビタミン薬を選ぶスキルは大事になってきます。今回紹介した医薬品以外にもたくさん種類があるので、ぜひ自分でも勉強してみてください。