コロナ禍が明けて、以前にも増して健康志向が増してきた昨今、サプリメントを服用する方が以前よりも増えてきました。サプリメントの種類も多種多様になっています。そんな中で、サプリメントアドバイザーという資格に注目が集まっています。薬剤師の中にも興味がある方も結構いらっしゃるでしょう。今回はサプリメントアドバイザーについて見ていきましょう。

民間資格だけど国も推している?

サプリメントアドバイザーという資格はいくつかの種類がありますが、どれも各種団体による民間資格です。民間資格というのは、一般的には、国家資格よりも価値が低くなりがちですが、サプリメントアドバイザーについてはあながちそうは言いきれません。超高齢社会に突入している日本において、サプリメントなどの健康食品の重要性が高まっているからです。その背景から、商品が乱立している結果、怪しい商品もあるのは確かで、正しく取捨選択することが大切にいなっています。これをアドバイスできる人材の必要性が増しています。国も次のような見解を出しています。

「健康食品」を利用するに当たっては、食品の持つ機能、その必要性、使用目的、使用方法等について正しく理解し、情報を提供できる身近な助言者として、アドバイザリースタッフの活用が期待される。代表的なものとしては、独立行政法人国立健康・栄養研究所が試験を実施しているNR(Nutrition Representative・栄養情報担当者)、(財)日本健康・栄養食品協会が養成している食品保健指導士および一般社団法人日本臨床栄養協会が養成しているサプリメントアドバイザー等がある(厚生労働省医薬食品局食品安全部 基準審査課新開発食品保健対策室長通知「健康食品」に係る制度に関する質疑応答集(食安新発第0228001号)。

このように国も太鼓判を押している資格になりますので、取得の価値はあると感じます。

どういった種類があるのか?

サプリメントアドバイザーと言ってもいくつかあります。現在主要なものは次の4つです。

(1)NR・サプリメントアドバイザー

(2)ビジネスサプリメントアドバイザー

(3)メディカルサプリメントアドバイザー

(4)食品保健指導士

(1)に関しては、前述した国の見解の中に出てきた「独立行政法人国立健康・栄養研究所が試験を実施しているNR(Nutrition Representative・栄養情報担当者)」と「一般社団法人日本臨床栄養協会が養成しているサプリメントアドバイザー」の2つが統合されて誕生したものです。現在は日本臨床栄養協会だけが運営しています。

(2)に関しては、日本ニュートリション機構が運営するもので、通信教育システムを取っていることから、一般の方でも取得しやすいものになります。

(3)としては、特定非営利活動法人NHPインターナショナル認定機構が運営するもので、(1)、(2)と比べて、医療従事者限定という点で、ほかよりも取得難易度や費用も高めとなります。きちんとしたエビデンスを重要視している点も特筆すべきことです。薬剤師の取得者が特に多いという特徴もあります。

(4)としては、日本健康・栄養食品協会が運営するもので、前述した国の見解にも事例として列挙されているものの一つです。サプリメントにとどまらず、保健機能食品などについて広く学べるものになります。

もちろん、ここに列挙したもの以外でもたくさんの資格がありますので、自分がとりかかりやすいものから取得するのが良いでしょう。

取得することの意義とは?

医療の世界には栄養のプロとして管理栄養士がいらっしゃる点や、そもそもサプリメントの販売やアドバイスには特別な資格は必要ない点などにより、一見薬剤師が取得することの意義があまり見いだせないという方も少なくないのではないでしょうか。しかしながら、予防医学の重要性が増している昨今、サプリメントの重要性も増しており、その人に合ったサプリメントを正しく選べる専門家は必要と考えられます。加えて、病院でのチーム医療、薬局での地域包括連携などに薬剤師が積極的に関与していくという点では、サプリメントに強い薬剤師になるということは大変重要です。加えて、病院や薬局以外のほかの業種に転職したいという薬剤師にとっても重要となります。サプリメントには薬機法だけでなく、食品衛生法、景品表示法、健康増進法などの幅広い法令が関与しているため、サプリメントに関する資格を取得する際に学んだ体系的知識(薬機法以外の幅広い知識など)はとても有用となります。

また、インバウンド需要が高い昨今で、日本のサプリメントをいくつも買っていかれる方も少なくないですが、そういった方に正しい品質のものを販売することができたりすれば、海外からの日本の薬剤師への評価が上がるものと思われます。

ぜひ積極的に取得してみてください。

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