東京オリンピックまであと約1年となりました。スポーツ医学に注目が集まる中で、スポーツを専門にする薬剤師資格「スポーツファーマシスト」にも再度関心が高まっています。これまでも多くの薬剤師が取得している人気資格です。東京オリンピックが近づいてきたいま、この資格の意義を再度考えてみましょう。

スポーツ医学の重要性が変化してきた?

以前よりスポーツ医学は、医学の重要な領域のひとつとして長きにわたって存在していました。特に、オリンピック選手を含めた多くのスポーツ選手が在籍している筑波大学や順天堂大学などの医学部では、スポーツ医学教育が積極的に行われてきました。

スポーツとひとくちにいっても様々な競技が存在します。使用する身体の部位や使う筋肉もそれぞれ異なり、必要となる動作も違ってきます。それに伴いけがをする部位もまちまちなので、生理学だけでなく、物理学などそれ相応の専門的知識が必要となってきます。これまではけがを治すことに加えて、いかに速く走れるようになるか、いかに効率良く筋肉をつけるかなど、スポーツ選手が最大限のパフォーマンスを発揮すること、また、故障を防ぐことに重点が置かれてきました。

しかしながら、近年、状況が変わってきました。より強くなりたい、より速くなりたいという競争が激しくなりすぎた結果、薬物に頼ろうとする選手が相次ぐようになりました。勝ち負けやメダル争いに重きを置かれがちな時流の中で、世界平和の祭典であるはずのオリンピックですら、メダルをとるために手段を選ばない選手も出てくるようになってしまったのです。薬物問題によりメダル剥奪になるという事態に陥るケースも起きています。

この対策として、アンチドーピングの取り組みの重要性が叫ばれるようになってきます。薬物のスペシャリストである薬剤師の中から、アンチドーピング専門家を養成しようとスポーツファーマシスト制度確立につながりました。

スポーツファーマシストとは?

スポーツファーマシストは、公益財団法人日本アンチドーピング機構が定める所定の課程を終了した薬剤師資格者に認定される資格です。まず4~5月頃に受講者募集が開始されます。定員オーバーになれば抽選後に受講者が決定されます。その後、基礎講習会受講、続いてe-ラーニングで、実務講習の受講と知識到達度確認試験の受験をし、認定申請されるという流れとなります。認定後は永久に継続という訳でなく、4年ごとの更新が必要となります。他の認定・専門薬剤師と同様、常に研鑽を積むことが大事になります。

活躍できる場所とは?

興奮薬など明らかに問題になりそうな薬物を取っている場合は意外と少なく、また、いたとしても見つかりやすいです。ドーピングとして問題となるのは、常時服用していた薬や風邪などの際に、臨時で飲んだ薬などの成分が意図せずドーピングとしてひっかかってしまうことです。

今後はアンチドーピング意識の高まりから、オリンピックのような大きな大会にとどまらず、もっと小規模な大会でも厳密なドーピング管理が行われるようになることが想像されます。ひいては、薬局やドラッグストアに来局するスポーツをする全ての方が、ドーピングの心配をするような時代が来るかもしれません。

例えば、ステロイドの軟膏が痔で処方されている場合に、その患者さんがドーピングの心配をしていたとします。その際に伝えることは、全身使用はだめですが、局所使用は問題ないということです。より具体的に説明すると、肛門周囲に塗るだけなら局所使用となりますが、肛門内に注入する場合には、経直腸投与となり全身使用とみなされるため、事前に申請をして許可を得ないと使用不可となります。こういった盲点的な知識を説明することこそスポーツファーマシストとしての腕の見せ所です。

また、自治体のスポーツセンターなどと連携してドーピング講習を開催したりすることも有用です。東京オリンピックで再注目を集める今だからこそ、取得を検討してみてはいかがでしょうか。

リクナビ薬剤師では働く薬剤師さんを応援しています。
転職についてお悩みの方はこちらのフォームよりご相談ください。