きたるべく薬剤師過剰時代に向けて、薬剤師免許以外の資格も取得し「ダブルライセンス」で乗りきるという選択肢もあります。今回は栄養のスペシャリストとして、病院などの医療の業界のみならず介護の業界でも注目を集めている管理栄養士。今や立派な医療専門職の一つと言っても良いでしょう。問われる知識としては割と薬剤師とは相性が良いと言えます。今回は薬剤師と管理栄養士とのダブルライセンスの可能性について見ていきましょう。
薬剤師が管理栄養士を取得するためには?
そもそも薬剤師が管理栄養士を取得するにはどういった方法があるのでしょうか。前述したように管理栄養士は医療職種でもあるのは確かですが、元々は食に関する資格であり、栄養分野の国家資格です。
そのため、調理技術や給食管理など食に関する専門的知識も勉強する必要があります。つまり、薬学部を卒業しても管理栄養士国家試験受験資格を得られるわけではありません。薬学部の中に管理栄養士養成コースを持っているところもありますが、あくまで別の学科という扱いです。
ちなみに、薬剤師国家試験受験資格を得られる学科は6年制である一方、管理栄養士国家試験受験資格を得られる学科は4年制になります。薬剤師が管理栄養士を得ようと思ったら、改めて管理栄養士養成課程を卒業することが必要となります。その逆もまたしかりで、管理栄養士が薬剤師を取得しようという際には、6年制の薬学部を改めて卒業する必要があるということになります。もちろん、一部の大学では、薬剤師養成課程、管理栄養士養成課程ともに、他学部からの編入(2年次や3年次といった途中の学年から入学できる制度)を受け入れているところもあるので、この制度を利用すれば少しは短い期間に取得できる道も開けます。いずれにしろ、追加単位で取得できるようなレベルではなく、決して楽な道ではないとは言えます。
どういった可能性があるのか?
薬学部でも栄養に関する知識は勉強するので、栄養の知識をさらに深く身に付けている人材になれるということが大きいです。実際、最近の管理栄養士国家試験においては、薬に関する知識を問う問題も以前より増えてきたという背景もあり、この2つの職種に求められていることは実は結構近いのではないかと感じています。そして昔から、医学の世界においては、「医食同源」や「薬食同源」などという言葉がありますが、薬を深く知る薬剤師と食を深く知る管理栄養士を併せ持つことは、まさに医学、特に予防医学において活躍できる可能性が高くなります。加えて、薬膳の分野でも活躍の幅がさらに広がると言えます。
コロナ禍以降、薬膳料理などのいわゆる健康に寄与すると考えられている食品によって、自分の健康を自分で守ろうという動きが加速しています。実際に薬膳を提供する店や漢方系のサロンなどが増えて、それなりに人気を博しているようです。漢方の診断と薬膳の調理までを担える人材となれるので、独立して店を持つなどにもつながりやすいと言えます。
そして医薬品などを扱う企業においても、新商品開発の際に重宝される可能性が高いですし、食品と医薬品の真ん中にあると考えられる新しいサプリメントを開発する際には特に有利となるでしょう。
病院や薬局においてもこういった観点から優遇?
多くの報道でもあるように、病院は国立病院を含めた大半のところが赤字経営に悩まされています。そういった中で、人材不足も深刻化しています。とは言うものの、やはり毎日患者さんはいらっしゃり、入院する方もいなくなるということはまずないです。薬剤師と管理栄養士とのダブルライセンス取得者がいた場合には、入院患者さんへの薬の説明とともに病院食に関する栄養の説明なども同時に行えて、とてもメリットがあります。
薬局においても同様です。昨今、多くの薬局で管理栄養士を配置し、在宅患者さんの栄養指導や、来局された方への栄養相談などを担ってもらうという事例が見られます。薬剤師自身が管理栄養士を持っていれば全部自分で行えるので業務の幅や希少価値も増すでしょう。
前述したように決して低いハードルではないですが、興味ある方はぜひ検討してみてください。
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