リフィル処方箋が令和4年度診療報酬改定の際に導入されることになりました。コロナ禍で、医療機関への頻繁な受診を控えたいという世論の拡大や、クラスターを起こしたくないという医療機関側の思惑も手伝いじわじわと全国的に浸透してきています。今回はリフィル処方箋の特徴と対処法について見ていきましょう。

リフィル処方箋とはどのようなもの?

リフィル処方箋の「リフィル」とは日本語で「詰め替え」という意味です。リフィル処方箋とは「症状が安定している患者さんに関して、医師の処方により、医療機関を繰り返し受診せずとも、医師および薬剤師の十分・適切な連携を前提として、一定期間内に反復利用できる処方箋」ということになります。ポイントとしては、「症状が安定している患者さん(花粉症で同じ薬をしばらく継続する方や同じ薬を継続していて血圧が安定している方など)に関して」と、「医師および薬剤師の十分・適切な連携を前提として」の部分になります。
つまり、医師と薬剤師がきちんと各々の専門性を発揮して、きちんとした信頼関係を構築しているという状況で、症状に悪化が見られない場合(しばらく同じ薬を継続することで十分であると明らかに判断できる場合)には、処方箋の使いまわしを一定期間認めるということです。

混同されがちな分割調剤との違いとは?

分割調剤とリフィル処方の違いは、例えば、60日分の内服薬を投薬するため 20日分ごとに薬局で調剤して交付するとします。
「医師が60日分の処方箋を発行し薬局に対して3回の分割指示」するのが分割調剤、「医師が20日分の処方箋を繰り返し利用できる回数(3回)を記載した上で発行」するのがリフィル処方です。分割調剤よりも、さらに密接に、確実に服薬状況や症状の経過観察をモニタリングしやすくしたのがリフィル処方箋ということです。

リフィル処方箋対応の具体的な内容は?

具体的な内容としては、次のようになります。

  • 期限は、1回目は通常通り(発行日を含めて4日以内)ですが、2回目以降は前回調剤日を起点として、投薬期間を経過する日の前後7日以内
  • 投与日数上限のある薬剤や湿布薬は対象外
  • 総使用回数の上限は3回まで
  • 処方医によりリフィル可欄にレ点記入
  • 調剤日、次回調剤予定日を記載
  • 裏面に調剤した保険薬局名・保険薬剤師名を記載
  • 継続利用可能のものは写しを、調剤済み(上限を迎えたもの)は原本を各々保管

というのが主な対応内容です。
さらに、リフィル調剤が明らかに不適と薬剤師の方で判断した場合には継続可能期限内であっても受診勧奨すること、同一薬局(例えばかかりつけ薬局)で継続利用することが望ましいこと、患者さんに次回調剤予定を必ず確認して来局時には電話などで確認することなどもすべきこととなっています。
薬局がやるべきことが意外と多く、面倒に感じる方も少なくないでしょう。ただし、それ以上に患者さん、診療機関、薬局にとってメリットがあることは事実です。同一薬局で継続利用することが原則ではあるものの、遠方の大きな病院に通っていて通院が困難な方は、薬剤師にその旨を伝えることで別の薬局に2回目以降は持っていくことが可能です。その際、2回目以降調剤する薬局に1回目に調剤した薬局が情報提供をする必要があります。

覚えておくとよいことは?

前述したように、本来は「継続利用可能なものは写しを薬局に保管して、原本は患者さんに返却すること」となっていますが、国から実務的に利便性を上げるために見解が出ています。
1回目は来局対応、2回目以降オンライン服薬指導を希望される患者さんの場合、2回目のタイミングで原本を薬局に郵送してもらい、その後返送するという手間が生まれオンラインの利点を活かせない可能性があります。そのため、「ご家族の同意を得られた場合には、1回目の来局時に薬局側で原本を保管し、2回目以降オンライン服薬指導を行うことを可能とする」というものです。
これが可能となったことでさらにリフィル処方箋のメリットが認識されました。
また、近年の診療報酬改定において、「リフィル処方箋に基づく調剤後、処方医に必要な情報を文書により提供した場合」には20点算定できることになりました。これにより、今までリフィル処方箋に対してネガティブだった薬局も前向きに取り組めるようになることが期待できます。
患者さんにとってメリットがあるリフィル処方箋、ぜひ正しく説明できるようになってください。

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