何かの症状に対してアプローチをするという対処療法が主流である西洋医学の特徴から、これまでは画一的な治療法を行うことがメインであり、なかなか患者さん個人レベルに対処するという個別化医療に関しては苦手とする部分が多くありました。しかしながら近年、個別化医療の進展に関しては大変目覚ましいものがあります。今回は個別化医療について復習してみましょう。
個別化医療というものをもっと具体的に考えると?
個別化医療をもっと具体的に言うと、「患者さんごとの遺伝子情報、体質、病気の状態などを総合的に鑑みて、最も効果的かつ副作用が少ない治療法を選択する医療」と言えます。
体質や病気の状態などに関してはこれまでも考慮されてはいたものの、それらと病気との因果関係がなかなか乏しかったため、治療をしても効かない、それどころか副作用が出てしまったということもありました。そこに遺伝子情報が加わるようになったことで、こういった因果関係が明らかになる可能性が高くなり、結果として適切な医療を遂行できるようになってきました。
個別化医療と似たような概念としては、「オーダーメード医療」、「プレシジョン・メディシン(精密医療)」などもありますが、いずれにしろ、遺伝子情報を利用してより有用性の高い治療を行おうという概念としては共通しています。つまり、遺伝子情報の力を借りて、これまで以上に密接に患者さんファーストの医療を行うことと言えます。
どういう方法があるのか?
これまでは体調を崩して病院へ行くと、レントゲン検査や血液検査などが行われて検査値などの情報を取得し、これらの情報を参考にして診断がなされて、その後治療を選択するといった流れとなります。ただし、前述したように、生活習慣なども考慮はされるものの、得られた検査値などとの因果関係が必ずしもはっきりしているということがなく、治療に困難を生じるということも少なくありませんでした。いろいろな治療法や治療薬を試す羽目になるといった事態もありました。
今後はこういったことが減っていくものと期待されています。具体的には、がん遺伝子パネル検査、コンパニオン診断薬、分子標的薬などがあります。どれも既に実際に臨床の現場で行われているものです。
加えて、病気の診断や治療だけでなく、「個別化予防」という視点もあり、遺伝的リスクを考慮して、病気になる前に各個人ごとの予防策を適切に策定できるという手法もあります。今は個別化医療に関しては主にがん分野にて採用されていますが、いずれは認知症などほかの疾患にも広がっていくことが期待されています。
メリットとデメリットを知っておこう!
どんなものであれ、メリットもあればデメリットもありますので両方ともぜひ知っておいてください。
メリットとしては、効果的治療の推進、副作用軽減などにより、日常生活への支障がかなり減ってくるだけでなく、医療自体もさらに高度に発展していくことが挙げられます。
一方、デメリットとしては、現時点では一部は保険適応にはなっているものの、費用と時間が比較的かかること、検査で異常が見つかったとしてもそもそも承認された治療法がまだないことが多いこと、遺伝子検査による将来の疾患リスクもわかってしまうことへの不安、遺伝子情報の管理方法の限界と漏洩リスク、個別化医療に関する専門的人材の不足などがあります。
思いのほかデメリットがまだまだ多いことが、個別化医療がそんなに拡大していない要因の一つと言われています。特に昨今のオンライン化の中における情報漏洩の増加があるため、まずはITツールや情報セキュリティの確保をしないことには始まらないというところも多いです。ただし、薬局でも検査を行おうという潮流の中、今後個別化医療に関する専門的人材の中に薬剤師も入ってくることは容易に想像できます。たとえ薬局が直接関係しないとしても、専門医療機関連携薬局に認定されている薬局で働くならば、必然的に個別化医療の知識は必須になってきます。
ぜひ個別化医療に関する知識を今後しっかりと身に付けていき、専門的医療人材の薬剤師になれるようにがんばってみてください。
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