今回は「空き時間で読める、おすすめ論文サイト」と題し、新しい知見が得られる医学・生物学分野の論文検索サービスをご紹介いたします。

処方箋の背景をより理解するために、最先端の論文を入手

論文検索サイトの中で最も有名かつ一般的なのは「PubMed」です。
PubMedは、アメリカ国立医学図書館の国立生物工学情報センター(NCBI)が運営している医学・生物学分野の論文検索サービスです。

世界中の一番新しい知見が得られる医学・生物学分野の論文検索サービス PubMed

研究者や医師が最も使っているサイトであり、かつ世界中の一番新しい知見が得られるということです。
チーム医療が進んでいる昨今、カンファレンスで医師と議論することも増えてくると思われます。
医師と対等に話せることを目標とする病院薬剤師に、特に向いているのではないでしょうか。

あるキーワードで検索すると直近の論文からそのキーワードを含む電子化されている論文で一番古いものまで遡って表示されます。
見たい論文の題名をクリックすると、論文全体の要約(アブストラクト)が表示されます(論文によっては別途登録の上、料金を取られるものもあり)。
検索も英語、要約も英語ですが、日本語で検索可能な「PubMed日本語訳(和訳)」というサイトが存在します(PubMedを高精度自動翻訳システム[熟考]で和訳。完全無料)。

最近の学会で発表された内容を見るなら日本語の論文 J-STAGE

J-STAGEは文科省所管の独立行政法人の科学技術振興機構(JST)が運営する無料論文公開システムです。
こちらは日本語での検索が可能で、日本語の論文が中心です。
PubMedでは見つからない論文でもこれだと見つかることもある反面、PubMedにしかない論文もありますのでPubMedの予備として使うのが良いかと思います。

このサイトの特徴としては、英語論文と日本語論文両方が表示されること、そして、日本の医学・薬学関連学会の雑誌、日本の医学系専門雑誌が多い事です。
学会の雑誌では、最近の学会で発表された内容がまとめられています。
病院薬剤師と違い、普段なかなか学会に行く機会がない薬局薬剤師に特に向いているのではないでしょうか。

引用数が高い論文がわかる。学術誌や出版物も検索 Google Scholar

Google ScholarはGoogleがやっている無料学術文献検索サービスです。
このサイトの特徴は、論文だけではなくて、著書、出版物、治療基準、臨床報告など検索キーワードに基づくアカデミックな情報がすべて出てきますし、前述した二つのサイトとの違いとしては、その論文がどのくらい他の論文に引用されているかの引用数が高いもの順に出てきます。
引用数が高いものほど時流の研究だという目安になり、空き時間にサクッと読むものを見つけやすいと思います。

3つのサイトで「STAP細胞」を検索してみると

たとえば、今話題の生命科学研究といえば、STAP細胞だと思います。
PubMedで「STAP cells(STAP細胞)」を検索

1.Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency.
2.Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency.

PubMedの日本語訳のサイトで「STAP細胞」を検索すると、上記二つの日本語版を表示

1.後天性多能性を持ったいじられた細胞での両方向発達性潜在。
2.多能性の中への体細胞の刺激誘発された運命の転換。

J-stageとGoogle Scholarでは検索結果なし

この例のように、最も新しい話題はPubMedでのみ閲覧できます。
今調剤している薬の根本にあるサイエンスを深く理解できれば、チーム医療の中でも一歩進んだ臨床薬剤師になれるものと思います。
3つのサイトの特徴を理解した上で使いこなせるようになると良いと思います。