コロナ禍以降、オンライン型薬局の進歩がとても目覚ましいという現状があります。薬剤師はこういった現状に関わっていくことが増加することが予想されるため、オンライン型薬局ならではの利点や欠点を理解しておく必要があります。今回はこういった観点から一緒に考えていきたいと思います。
これまでの医療の形とは?
コロナ禍で感染が拡大する中で、多くの業種でテレワークが導入されていったことは記憶に新しいと思います。働く場所を選ばないという形態に、「日本ではあまりなじまない」などといった意見が噴出したように、当初は多くの議論が出たものの、最近では多くの企業が大小の差はあれど、テレワークを導入することで、無駄な業務を減らすことができているという状況になってきています。
そんな中で、如実に分かったこととして、「医療はテレワークに最も向かない業界である」ということでした。怪我や病気になった際には、そもそもその症状の全体を含めて、実際の患者さんを診てみないことには何も始まらないという医療の特性が改めて理解されました。実際に多くの医療従事者が、人がまばらになった街を歩き、人がまばらな電車に乗って職場に通勤し、全力で働いていたことでしょう。筆者も当時大学病院に所属していたこともあり、人手不足もあいまって、本来の業務以外の業務にも従事したりして、とても大変だったのを覚えています。
患者さん側も大変で、病気になった日には、感染を恐れながら病院へ行って、その後処方箋をもって薬局に行って、ここでも感染対策に注意するという感じでした。そこで誰もが、こう思ったことでしょう、「医療の中にもオンラインの仕組みがもっとあったらいいのに」と。そういった中で、IT技術・DX化技術の推進も手伝って、医療においてもついにオンラインの波が少しずつ来ています。薬局においてもそういった流れが来ており、それこそがまさに、オンライン型薬局になります。
オンライン型薬局とはどういった特徴があるのか?
オンライン型薬局を運営する法人も近年増えてきたので、薬剤師等の医療従事者だけでなく、一般の方にも徐々に浸透してきています。オンライン型薬局は、一言でまとめると、「インターネットを通じて処方箋医薬品や一般医薬品などを購入できるサービスを提供する薬局」のことになります。
薬局に行く時間がない、薬局での待ち時間をなるべく短くしたい、遠方に住んでいるなどの方々にはとても便利なものとなります。具体的な流れとしては、病院で診療を受けた(この診療に関しても近年オンライン診療が可能となっています)のちに、発行された処方箋をオンラインツール(これに関してもいくつかあります)で薬局に送信して、薬剤師による服薬指導をビデオ通話等で受けた後に、支払い方法を選択して、自宅に薬を配送してもらうという感じになります。
患者さん側にはメリットしかないと思いがちですが、実はデメリットも多少はあります。具体的に見てみると、全国に今やコンビニエンスストアよりも多く存在していると言われている薬局ですが、このオンライン対応をしている薬局はまだそんなに多くはないということ、配送料や決済手数料が発生する場合があること、オンラインであっても処方箋の期限は4日間を遵守する必要があることなどです。
大手チェーンや大手IT企業が運営する薬局、または、新進気鋭の若い薬剤師が起業した新しい薬局ではオンライン対応の仕組化をきちんとしているところが多いので、そういったところが今後オンライン戦線では生き残っていくと考えられます。薬局の淘汰がこういったところからも始まりそうな雰囲気です。
オンライン型薬局で活躍できる人材になるためには?
薬剤師の中にもまだまだオンラインなどには疎いという方も少なくないと思います。オンラインでは途中で回線が遮断されたり、途中で画面がフリーズしたりというトラブルが結構あります。服薬指導中にこういった事態になることは避けたいところです。こうした背景から、これまで薬局の薬剤師に求められるスキルとしては、薬の知識や病気に関する専門性に加えて、語学力やコミュニケーション能力などと言われてきました、今後はITスキルが必要とされると考えられます。これは薬局だけでなく、病院やクリニックでも同様でしょう。
国自体がITスキルを国民全体で上げようとしていますが、医療業界においても必須となってきています。今や高給取りの代表格として言われているコンサルティング業界も、そのほとんどの業務がITコーディネートやDX化という事実も、いかにITスキルが高い人材が必要とされているかが分かるかと思います。薬剤師資格取得後に、まずはIT系の国家資格取得を目指したり、プログラミングスクールに通ったりするのも良いでしょう。ぜひ「IT専門薬剤師」を目指してください。
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