世界的に見ても衛生環境が良く、高寿命大国である日本。世界に誇れる国民皆保険制度も手伝い、身体的な健康に関しては比較的良好を維持しやすい一方、精神的な健康を害してしまい悪化したり長引いてしまうという方々は増えています。精神的な健康を扱う「メンタルヘルス」のマネジメントの重要性が増している中、薬剤師はどういった関与ができるのでしょうか。一緒に考えていきましょう。

そもそもメンタルヘルスとは?

メンタルヘルスは日本語では「心の健康」という意味になり、「ストレスなどに上手に対処することで、自身が持つ能力をきちんと発揮して、結果として健やかな生活を維持できる状態」のことを指します。つまり、一見元気で仕事もバリバリできていても、水面下では心がむしばまれているという状態ならば、メンタルヘルス不調を判断されます。つまり、病気にまでは進行していなくても、精神的な満足感を感じていなければ、広義の意味ではメンタルヘルスが良くない状態ということです。

ストレスを感じている状態が長く続けば続くほど、メンタルヘルス不調に陥りやすいので、早期に気づき、必要ならカウンセリングなども活用しつつ、あわせて、生活習慣自体の見直しも行うことで、病気まで進むのを止めることも可能です。

どういったサインが見られたら要注意なのか?

メンタルヘルス自体はもちろん、目には簡単には見えないため、なかなか周囲が気付くのは難しいという特徴があります。しかしながら、そのサインはある程度わかっているため、これらのサインをきちんと把握しておけば、ある程度は発見することが可能となります。

精神的なサインとしては、気分が落ち込む、やる気が出ない、イライラするなどです。例えば、普段は前向きで明るく、誰とでも気さくに接することができていた方が、急にイライラするようになったり、口数が少なくなったりすると要注意ということです。

次に身体的なサインとしては、不眠、頭痛、めまい、食欲不振などです。例えば、普段は人一倍もりもり食べていた方が、急に食が細くなったりすると要注意ということです。

また、行動的なサインとしては、遅刻や欠勤が増える、ミスが増える、人付き合いを避けるなどです。例えば、普段は無遅刻・無欠席をきちんと行っていた方が、急に遅刻や欠席が増えたなどの場合には要注意ということです。

メンタルヘルスへ薬剤師が貢献できることとは?

前述したサインが見られた際には、人によっては薬による治療の選択を取るという方もいらっしゃいます。以前は良くないものという偏見などのマイナスなイメージであったメンタル系の薬に関しては、近年では、いわば風邪薬のように、割と誰しもが選択しやすいものとなりました。そのおかげで、薬をもらいに行くために外へ出かけるだけでも気分転換となったり、社会ともつながれるようになったりと良い面もさらに見られるようになりました。

加えて、薬の種類も多様化して、以前よりもさらに安全性が高い薬も出てきて、選択肢も増えたと思います。しかしながら、ついつい薬に頼るようになると、ずっと継続して服用することになるという方も少なくないため、薬剤師による服薬マネジメントが重要と考えます。

メンタル系の薬は、まだはっきりとしたメカニズムが不明な薬も少なくないため、薬剤師の中でも敬遠してしまう方も多いですが、実は、服薬マネジメントが一番大事な分野とも言えます。薬のプロである薬剤師だからこそ、きちんとメンタルヘルス不調の改善につながっているかを確認することが大事です。

具体的にどういったアプローチがあるのか?

例えば、患者さんが医師に相談することなしに勝手に服用する量を増減していないかの確認は必須として、そもそもその薬で不調を改善しているかをヒアリングすることが大事です。メンタル系の薬は副作用が割と多岐にわたっているため、効果よりも副作用の方がむしろ強く出ているということなら、それ自体でまたメンタルヘルス不調が悪化するということなら本末転倒です。

また、もし患者さんへの服薬指導の際に、メンタルヘルス不調が進行しているかもと感じた場合には、看護師や臨床心理士などの他職種にも相談をして連携することも大事になってきます。病院薬剤師はもちろん、薬局薬剤師でも他職種連携を行うことが必要になってくる場面が出てきますので、普段から他職種とも信頼関係を築いておくと良いでしょう。

なお、メンタルヘルスに関してしっかりと学びたいという方は、「メンタルヘルス・マネジメント検定」という試験もあるので、薬剤師との相性も良いということで、受けてみると良いかと思います。

もちろん、薬剤師自身がメンタルヘルス不調ということでは意味がありません。日ごろからメンタルヘルス不調には気を付けておくことが大事です。そのためにも、例えば給与が高いが仕事が合わずに病んでしまい、結果として収入が減ってしまうということにならないように、職場選びの際には、給与だけでなく、働く環境などほかの要素にもきちんと目を向けてみましょう。

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