みなさんもご存知のように、小児は成人と違ってまだまだ身体機能に未熟な部分が多く、当然薬の効果も成人とは全然違っています。
ですので、服薬指導も成人向けのものとは当然違ってきます。
小児領域での服薬指導では、お子さん本人というよりはむしろその親御さんに向けてすることが多くなり、親御さんへの配慮も忘れてはいけません。
親御さんからこういう時にはどうすればいいのかという質問を受けることが多いです。
今回は具体例を挙げながら紹介します。

まずは基本的な内容の服薬指導時のコツを見てみよう!

大人が思っている以上に粉薬を飲むのが苦痛と感じているお子さんは多いです。
みなさんの中にも、小さい頃は粉薬が飲めなかったという方もいると思います。
小児用の粉薬の多くに甘い味がつけられていますので苦みの解消は進んでいますが、口に入れた後のざらざらした感触だけは未だに課題としてあります。

それを防ぐためには、薬の水への溶解度の違いによって主に2つの飲ませ方があります。

1つ目は、少量の水や微温湯に溶かしてスポイトなどで少しずつ口にいれる方法です。
こちらは水に溶けやすい薬に適しています。

一方、水に溶けにくいものへの対策として2つ目の方法があります。
一回分の薬を皿に入れて少量の水分で練って小さな団子状にし、清潔にした指先で口の中に入れます。
上顎や頬の裏側になすりつけた後、すばやく湯冷ましを飲ませるといった方法です。
2つ目の方法は意外と知られていないのですが、水に溶けない厄介な薬にとても便利です。

また、味を変えてより飲みやすくするという観点に話をうつすと、より甘い味をつけるべく、水飴やシロップなどの色々な食品に混ぜるということも行いますが、組み合わせによっては配合変化を生じるものもあるので注意が必要です。
そしてここでポイントなのは、1歳未満の乳幼児には蜂蜜は厳禁ということです。
それは蜂蜜の中にはボツリヌス菌が芽胞状態で含まれていて、それが体内へ入るとボツリヌス菌にもどり増殖をして、それらが産生する毒素によるボツリヌス症が起こることがあるからです。
通常は大腸の腸内細菌の存在下では芽胞があっても増殖できないのですが、1歳未満の乳幼児はまだ腸内細菌叢が未発達なので、ボツリヌス菌が増殖してしまう可能性があります。

以前、当時の厚生省からも通知が出されたくらいですので、是非復習しておきましょう。

坐薬、点眼薬、テープなど、外用薬のちょっとした工夫例

坐薬も注意が必要です。
便を出してから坐薬を使用しても、坐薬を挿入した刺激で便意を再びもよおして坐薬を出してしまうことがあります。
これは大人でも起こりうるのですが、小児だと便意を我慢することが大人よりも難しいことが多いのです。
そういう時は、側に寄り添いながら他の事に気を紛らわせるなどして便意を少し我慢してもらうと収まってきます。

また、点眼薬を嫌だと感じるお子さんも多いです。
そういう時には大人のひざの上に仰向けに寝かせて、安心感を与えながらまぶたを引っ張って点眼した後、しばらく目を閉じてじっとさせるようにすると良いです。
点耳薬も目薬と同様に怖がる薬の一つですが、これは寝ている間にこっそりさせば問題ないです。

一方、喘息の際にホクナリン®テープが処方された際に、胸に貼ると敏感なお子さんだと気になってしまい、すぐにはがしてしまうことが多々あります。
これではせっかくの効果が台無しになってしまいます。
そういう時には腕にはると気にならなくなりますが、腕と服がこすれやすく自然にはがれる可能性もあります。
お子さんに貼る場合には、背中に貼ると手が届かなくて、かつ服との摩擦も比較的少ないのでおすすめです。

他にも注意点はたくさんあります。
今回の事例を参考に自分でも調べてみてください。