薬剤師としての1つのキャリア通過点目標が管理薬剤師の方は少なくないと思います。管理職の薬剤師版とも言えますが、実際の仕事内容に関しては、薬剤師や薬学生であっても全体を把握できていない方もいらっしゃいます。今回は管理薬剤師について見ていきましょう。

そもそも管理薬剤師とはどんなもの?

管理薬剤師は法令によってその設置が義務付けられている大変重要な役職になります。薬局にはもちろん配置しなければいけませんが、医薬品関連の製造業においても責任者として配置しなければならないと規定されています。後者の管理薬剤師は薬剤師の中でも数としては多くないため、薬剤師や薬学生でもあまり知られていません。ただの薬剤師ではなく、施設自体を管理する立場にあります。

調剤薬局やドラッグストアにおいては、概ね実務経験が5年以上のタイミングで順次管理薬剤師にならないかと打診されるケースが多いです。5年も務めれば、ほとんどの業務を一人で行えるようになっているため、次はその管理をしていく流れは妥当であると考えられます。管理薬剤師を経験しないと、エリアマネージャーや本部勤務などのさらなる昇進が難しいだけでなく、転職においても評価されにくいため、管理薬剤師がキャリアの通過点という位置づけになります。
薬局によっては薬局長と呼ぶこともありますが、管理薬剤師と薬局長とは実質的には同等です。給与面を見ても、一般の薬剤師と管理薬剤師では平均年収ベースで200万円以上も差がついている場合もあり、それだけやりがいにつながっていくでしょう。

薬局における管理薬剤師の業務とは?

薬局において管理薬剤師になるためには、「薬局における5年以上の実務経験」と「認定薬剤師取得」が原則的には必要になります(ただし必須ではありません)。また、管理するという立場上、自分のいる薬局以外での薬剤師業務は認められていません。主な業務としては、「医薬品の管理」、「医薬品を使用する者への情報提供」、「全従業員の管理」、「薬局開設者への意見申述」になります。
これらのうち、最後の項目に関しては、令和になって新たに設けられたものです。実際の現場においては、なかなか薬局開設者(つまり経営者)に従業員が意見を言うというのは難しかったのですが、この規定自体が薬機法に盛り込まれたことで変化してきました。
一般薬剤師とは違って、管理薬剤師になろうとする場合には、「マネジメント能力」、「リーダーシップ能力」、「高度なコミュニケーション能力」、「法令の知識」などがより求められます。管理薬剤師を目指す場合には早期のうちから、上記の能力を意識すると良いでしょう。

製造業における管理薬剤師の業務とは?

製造業における管理薬剤師の業務は薬局の薬剤師とは大きく異なる部分があります。薬局で管理薬剤師になるためには、調剤経験をそれなりに積まないといけない、かつ、管理薬剤師となった後にも調剤業務を担当する側面がある一方、製造業における管理薬剤師では、調剤業務はほとんど担当することはありません。そのため、白衣を着ることは稀で、いわゆるスーツなどのビジネスパーソンの服装での勤務が一般的です。また、製造業と一口に言っても、本社、支社、工場、倉庫など事業所が多岐にわたるため、各々の管理薬剤師の業務も多少異なってきます。
本社や支社勤務の管理薬剤師の場合には、医薬品の管理はもちろんですが、ほかにも、「医療情報業務」、「現場からの問い合わせ対応」、「営業補助」なども任されることがあります。ある程度ベテランになってくると、さらに「MR教育」や「学術」も担当することがあります。工場における管理薬剤師では、「医薬品の品質管理」と「医薬品の分析」がメインとなります。このため、ほかの管理薬剤師より、分析化学などの高度な科学的素養が求められるという特徴があります。
倉庫の管理薬剤師では、医薬品を保管する場所という以上に物流拠点でもあるという特性から、「医薬品の在庫管理」が主な業務となり、裏を返すとこれ以外の業務を任されることはまずないでしょう。割と単調な業務と言えて、集中力が必要となります。加えて、工場や倉庫の管理薬剤師は医薬品の搬入搬出の手伝いをすることもまれにありますので、力仕事が得意な方だと重宝されるかもしれません。
薬局との違いは、製造業に勤務する場合にはシフト制でなく暦通りの勤務になるとういことです。それ故に、とても人気がある、かつ、求人数は多くないので割と狭き門と言えます。ただし、給与は薬局の管理薬剤師より比較的少な目であるという側面はあります。
いずれにしろ、管理薬剤師を目指すなら早いうちからいろいろと研鑽を積む必要はありそうです。ぜひ自分でも具体的な求人に目を通してみてください。

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