国際化がますます進む中、薬剤師の働き方も大きく変わってきています。そうした機運の中、海外で働くことが気になるという方も少なくないと思います。今回は海外の薬剤師事情の2回目として欧米以外の地域についてお届けしたいと思います。
欧米地域との違いとは?
前回の1回目で記述したように、欧米地域で薬剤師として働くというのはかなりの高いハードルを乗り越える必要があります。もちろん不可能というわけではないですし、実際に欧米地域で薬剤師として立派に活躍している日本人も結構いらっしゃいます。
アメリカを中心とした欧米諸国は、相対的に先進国に分類される国が大半で、日本よりも格上になるというのが現実的なところで、そのため日本のライセンスを使用するとなると、ハードルが上がってしまうのです。実際に研究者の世界でも研究レベルが高い欧米諸国に留学することでより一層の研鑽を積めて、その結果として、留学後の日本での就職も有利となります。一方、欧米以外の地域に目を向けると、そのハードルはかなり下がります。
日本の薬剤師免許がそのまま使える国もある?
実は追加試験や講習などを経ることなく、日本の薬剤師免許をそのまま使用できる国があります。それがタイやシンガポールです。この2つの国に関しては、急激に発展を遂げた国で、かつ治安も比較的良いため、日本の裕福層も活発に移住している国でもあります。元来この両国は日本と友好関係が良好な国で、日系企業に勤めている日本人が多く移住しています。その結果、日本人街ができるほど日本人が多く、日本語が話せる駐在員の需要がとても高いという特徴があります。つまり、日系病院が存在し、日本語の応対ができる薬剤師の需要が高いということです。
こうした背景から、病院によっては、日本の薬剤師免許があれば、薬剤師業務が行えるというところが割と多くなっています。タイやシンガポールに関しては、前述したように、日本からの移住先として現在人気の場所ですが、ある程度の資産家を除くと、現地ですぐに安定的な仕事を得られるという保証はありません。その点、日本で薬剤師をしている者であれば、割とすんなり現地の病院の仕事に就けるというメリットがあります。今後グローバル化する中で、このメリットはかなり大きいのではと感じます。
盲点となっているこんな方法も?
現在アフリカなどのいわゆる発展途上国の進歩はとても目覚ましいものがあります。そんな中で、医療に関してはまだまだ改善の余地がある部分が多いというのが現状です。特に紛争地域や難民が多くいる地域などでは医療の必要性がとても高い半面、医療の質が良くないという現状があります。
そうした地域に医療者を期間限定で一時的に派遣して現地医療に寄与するということを理念に掲げて活躍している団体が「特定非営利活動法人・国境なき医師団」です。名前こそ医師団とついているものの、実は医師以外の職種も参加が可能です。具体的には、薬剤師はもちろん、看護師、心理士、疫学専門家などの医療系専門職種はもちろん、事務職員やボランティアスタッフとして働くという道もあり、予想以上に多種多様です。
参加できる条件としては、「社会人経験2年以上」というものが必須ではあるものの、それ以外はあまり厳しくは必要とされていなく、「困っている地域の医療発展に貢献したい」という情熱が一番必要とされているようです。期間を決めて派遣されて、それを何回も繰り返すといったスタイルです。
例えば、派遣が決まったのち、少しだけパート薬剤師や派遣薬剤師として日本で働き、どこかの現地で働いて帰ってきた後には、またパートや派遣に戻り、機会を見てまた別の地域に行くという働き方になります。
現地の衛生状態や食文化は日本とは違っていることがほとんどなので、そういった状況にもなじめる適応力は必須となるものの、何よりのメリットは語学力の向上だけにとどまらず、「日本では見ることがない疾患や薬に触れられる」ということでしょう。
こうして見てみると、薬剤師免許を持っていると世界に出ていける可能性が色々とありますね。ぜひ自分でも調べてみてください。
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