口に含めば爽やかな爽快感が広がる仁丹。
二日酔い、口臭、めまい、乗り物酔いなど様々な症状に適応となっています。
有効成分として、阿仙薬、甘草、桂皮、丁字、生姜、茴香などこれまた有名どころの様々な生薬がブレンドされています。
医薬部外品ではありますが、今も口腔ケア商品の売れ筋商品です。

特に中国や台湾からの観光客に人気があり、次から次へと買いあさっている姿をよく目にします。
中国人や台湾人が好む仁丹には、実は中国や台湾ときってもきれない逸話が隠されているのです。
今回はこの逸話を紹介します。

実は台湾の人達の風習からヒントを得た!

森下南陽堂(現在の森下仁丹株式会社の前身)の創業者の森下博(敬称略)が台湾に出兵したときの経験に由来します。
多くの現地住民が、ある生薬の粒を口に入れているのを目撃しました。
その粒は万病に効き、飲みやすく携帯しやすい上に保存にも便利で広く愛用されていると説明されたとのことです。

その際に、博は、是非このすばらしい薬を日本でも普及させたいと強く思いました。
帰国後、現地で得たアイディアを具現化させるべく、10年にもわたる歳月をかけて、ついに総合保健薬・仁丹が誕生しました。

仁丹の名前の由来は中国への感謝の心!?

博は、仁丹の元になるアイディアをくれた中国に名前で恩返ししたいと考えて、この名前をつけました。
他人に対する親愛を意味し、儒教における最重要な五常の徳の一つであり、また中国では文字の王様と称されている「仁」という漢字に、不老不死の薬という意味がある「丹」を組み合わせられています。

一方、現在でも仁丹のシンボルマークになっている「大礼服マーク」を見るととても頼りになりそうで、効果も高そうな印象をうけます。
このマークの由来に関しては現在までに色々な説がありますが、世界中に健康を運ぶ姿をイメージした外交官を表しているのではないかという説が有力だそうです。

現在でも日々進化を続ける仁丹

仁丹を開発したとき、博は、広告宣伝を積極的に展開することをモットーにしました。
その中でいくつもの独自性の高いアイディアを積極的に取り入れてきました。
薬店の屋根看板や、現在でも京都市にいけば見る事ができる町名看板などもその例です。
これらの積極的な宣伝活動が確実な効果を上げ、発売後わずか数年で売薬の1位になりました。

その後も、博のモットーは代々受け継がれ、浅草の大広告塔や、渋谷の17階建ての光る広告塔ビルといった具合に、より大々的な宣伝活動が続けられ、その都度大きな話題になりました。
また商品自体の改良という点でも、カプセルタイプの「JINTAN116」を発売するなど日々進化しています。
これらのエビソードからも仁丹が効きそうで頼りになる薬というような力強さを感じます。
日中関係が問題になっている昨今、仁丹のエビソードを通じて、仁丹が両国の友好のための「薬」になってくれたらいいですね。