病院や製薬企業にいる薬剤師の方や、研究職についている方では身近な学術大会(以下学会)ですが、薬局薬剤師だとあまり親しみがないという方もまだまだ多いと思います。今回は学会について見ていきましょう。

すべての薬剤師にとって必須となるかも?

ご存じのように、薬局における薬剤師業務はどこも多忙を極めています。業務だけで手いっぱいでという方が多いのも無理はありません。しかしながら、近年、薬局の中にも、積極的に学会に参加するように促すところも増えてきています。

医師や患者さんに対して、学会参加をする薬局ということをアピールできるというメリットもあります。医師は病院勤務であってもクリニック勤務であっても、基本的には学会に定期的に参加します。また、患者さんにとっても、学会という言葉はとても信頼できそうという印象を抱きやすいという現実があります。今やコンビニよりも多いと言われている薬局ですが、学会参加という福利厚生がついている薬局になれば、他との差別化もでき、また、そこにいる薬剤師のレベルも上がるので良いことずくめであると言えます。

学会参加のハードルとは?

学会と一口に言っても、世界規模の国際学会から国内の小さな学会まで幅広く存在しています。種類に関しても、例えばがんに関する学会も1つではなく、同じような名前のものが多数存在しています。いざ学会に参加しようと思っても、選ぶのは至難の業でしょう。さらに、学会の中にはまずは学会員にならないと参加できないものもあったり、そもそも学会員になるハードルが高かったりというものもあり、学会に参加するのはなかなか面倒だと感じることも正直多いです。加えて、薬剤師の方が興味を持つであろう医学系の学会では、総じて学会員になるための入会費や、学会員資格を維持するための年会費が比較的高いという現状もあり、ますます高い壁だと感じやすいです。つまり、参加する学会を上手に選んで、メリットだけをきちんと得ることが大事になってきます。

学会参加によるメリットとは?

前述したように自分が勤めている薬局をアピールするというメリットのほかにもさまざまなメリットがあります。具体的に列挙すると、認定薬剤師などが取得しやすくなる、ほかの薬局の現状が分かる、メーカーの最新機器が見られる、学会の関連書籍がその場で安く購入できる、日ごろ触れないような資料作成力が身につく、プレゼン力が上がる、ちょっとした旅行気分になれるなどがあります。各種メーカーの方や代理店の方々がたくさんいらっしゃるので、直接その方々とも話ができる滅多にない機会でもあります。

さらに、ただ参加するだけでなく、その学会で発表するという経験をすることで、質問を受けるという機会も得られます。その場で意気投合した薬剤師と、その後、一緒に仕事をしたり、共同で行うような研究に発展したり、はたまた友人になってプライベートがさらに充実するといったメリットも考えられます。そこで仲良くなった別の薬剤師と一緒にそのままお出かけするなども楽しいです。

そして、学会参加がきっかけで大学院へと進学して、博士の学位まで取ってしまうという事例も結構あります。博士の学位取得の条件としては、論文を執筆することはもちろんですが、実は学会参加というものを義務付けているところもあります。また、日ごろ学会に参加して名前を知られるようになると、論文を形にする際に、審査が円滑になったりというメリットも覚えておくと良いでしょう。近年、キャリアップとして、働いてから大学院に進むという道が薬剤師でも増えています。興味があればまずは学会参加から挑戦してみると良いでしょう。

薬剤師におすすめの学会とは?

薬剤師にとって身近な学会にまずは入会して、その学術集会に参加するのが一番現実的でしょう。具体的に列挙すると、日本薬剤師会、日本薬学会、日本薬局学会、日本医療薬学会、日本薬学教育学会、日本老年薬学会、日本精神薬学会あたりでしょう。この辺の学会なら、研究者よりも、実際の現場を経験されている薬剤師の方々が多く参加されているので、割と抵抗なく、すぐになじめるものと思います。

もちろん、慣れてきたり、もっとハイレベルの研究を知りたいということなら、日本分子生物学会、日本がん学会、日本薬理学会、日本放射線腫瘍学会、日本核医学会などの研究者が多く参加する学会への参加や、英語の勉強ももっとしたいということなら、各種の国際学会への参加に挑戦してみるということも良いかと思います。

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