インバウンド需要増加も手伝い、薬局にいらっしゃる外国の方が以前にも増して増えてきました。翻訳マシンがあるから大丈夫とは言いつつも、やはり重要なフレーズくらいは言えるようにはしておきたいものです。外国の方にお薬手帳についてきちんと説明する必要が出てきているという背景から、今回はお薬手帳についての英会話フレーズについて確認していきましょう。
まずはお薬手帳について確認することが必要!
まずはお薬手帳を持っているかを確認する必要があります。最近ではスマートフォンで利用する電子手帳も登場しています。そもそもお薬手帳を知らない外国の方に初めて尋ねる際には注意が必要です。「お薬手帳」にピンポイントで該当する英語表現が存在しないからです。そもそも手帳というのはメモを取るものであり、いきなり手帳持っているかどうかと尋ねてもおそらくキョトンとなるでしょう。そこで尋ねる際には、処方された薬の記録がないかと尋ねると良いでしょう。
例えば、「Do you have your medication(prescription)record?(処方薬についての記録をお持ちですか?)」といった具合です。
たまに間違えてmedicationをmedicalと言ってしまいがちですが、ここでは意味が大きく異なってきてしまいます。medical recordとなると、場合によっては薬以外の情報である病歴や検査歴なども含まれてしまいます。患者さん的にはさらにハードルが高く感じてしまうため、なるべくmedicalを使わないようにしましょう。
初回にお薬手帳についてきちんと説明した上で、「This record is called a medication notebook in Japan.(日本では、この記録をお薬手帳と呼んでいます。)」と伝え、次回以降は「your medication notebook」でも通じるようになるものと思います。
その後お薬手帳が何のためにあるか説明しますが、いろいろと説明すると結局、患者さん的には面倒だから要らないとなるので、要点を説明します。
「This tool can make us know your prescription history.(これによってあなたの処方薬歴が分かります。)」、「This tool can help us identify information about your interactions and duplicates.(これによりあなたの相互作用や重複の確認に役立ちます。)」に加えて、「This tool can help you in case of disaster.(災害時に役に立ちます。)」も説明にきちんと加えると良いです。地震を含めてさまざまな災害が多い日本においては特に大事です。
さらにお薬手帳を活用していくためには?
せっかくお薬手帳を作っても、毎回持ってきてもらえなければ意味がないので、その点もきちんと説明に加えましょう。
「Please be sure to bring this notebook with you every time you visit a medical institution.(医療機関にかかる際には毎回お薬手帳持参ください。)」ということはきちんと伝えましょう。
また、お薬手帳を説明する初回には薬剤師側でこれまでの併用薬の確認をし、新規発行したお薬手帳に記載してから、今回の処方について記載すると良いでしょう。
「Are you taking any medications or supplements?(何か薬やサプリメントを飲んでいますか?)」と尋ねるのも良いですが、漠然と聞かれてもなかなか答えにくいと思いますので、確認しておいた方がいいようなハイリスク薬を意識して、「For example, drugs for lifestyle-related diseases such as high blood pressure and heart medication fall into this category.(例えば、高血圧とかの生活習慣病の薬や心臓の薬などが該当します。)」と付け加えてあげると答えやすいと思います。
これらの薬は定期的に、かつ、継続的に服用するものなのでお薬手帳にきちんと記載しておくことが必要でしょう。また、薬の具体的な名前を思い出せないという方は少なくないものです。そのような場合には、病歴を知っておくだけでもできることがあります。もし薬の名前は分からないという返事をされた場合には、「May I ask about your medical history?(あなたの病歴を伺ってもいいでしょうか?)」と尋ねると良いでしょう。これに答えてくださった病歴をお薬手帳の病歴欄に記載しましょう。薬剤師であれば、病歴からある程度服用している薬が推測できるため、お薬手帳の役割を少しは果たせると思います。
加えて、かばんの中に今飲んでいる薬を入れて持ち歩いている方もいらっしゃるので、「Do you have any medications in your bag or elsewhere right now?(今かばんなどの中に何か薬を持っていますか?)」と聞くと薬が判明するということも多いのでおすすめです。
今回紹介したものはどれも覚えておくと良いものばかりです。ほかにも表現の仕方はあるので自分の言いやすい文を覚えておいて、積極的に使ってみてください。
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