2019年の改正薬機法で新たに規定されて、2021年より認定が始まった「地域連携薬局」の認定制度。これまで以上に地域医療に貢献することが期待されています。今回は地域連携薬局について復習してみましょう。

改正薬機法の趣旨は?

前述したように、2019年の改正薬機法にて規定されるようになりました。患者さんが自分に相応しい薬局を選択できることが狙いで、特定の機能を持った薬局を認定しようという試みです。種類としては、今回紹介する地域連携薬局のほかに、「専門医療機関連携薬局」が規定されています。専門医療機関連携薬局について詳細は省きますが、がんなどの高度な専門的疾患の薬学的管理に関して、ほかの医療提供施設と連携できる薬局が認定を受けます。学会認定の高度な知識を持った薬剤師の配置などが求められるため、地域連携薬局よりもさらに高度な認定薬局と言えるかもしれません。薬局過剰時代の中で、地域連携薬局の次はこれを目指すと良いとも言えます。

地域連携薬局とは?

地域連携薬局は、入退院の際や在宅医療対応時に、ほかの医療提供施設と連携できる薬局が認定を受けます。文面だけを見ると、すでに存在していた「健康サポート薬局」と似ている部分も多く、薬剤師や薬学生の中でも区別がつかないことも多いです。違いとしては、健康サポート薬局はどちらかというと疾患になる前に健康相談などの予防医学を行っている半面、地域連携薬局はすでに疾患を有している患者さんに対して他職種連携を行っている点です。どちらもかかりつけ薬局機能を有していることには変わりはありません。いずれにしろ通常の薬局よりも高度な機能を持っていると言えます。

地域連携薬局の認定要件とは?

認定要件としてはけっこう複雑になりますが、まとめると、
(1)適した構造設備の構築
(2)ほかの医療提供施設との情報連携体制の構築
(3)地域医療における医薬品の安定供給体制の構築
(4)在宅医療体制の構築
になります。

まず(1)に関しては、これが実は一番大事だと言えます。
なぜかというと、ほかの要件と比べて、構築には費用がかかる可能性が高いからです。今すぐにどうかなるものでもないため、費用を確保するところから始める必要があります。構造設備を具体的に考えると、車椅子の方でも来局してくつろげるバリアフリー構造を担保することになります。薬局が2階以上にある場合だと、エレベーターをつける必要も出てくるので、場合によってはかなりの費用と手間が発生します。加えて、薬剤師に関しても規定があり、その薬局の常勤薬剤師の半数以上が継続勤務1年以上、かつ、地域包括ケアシステムに関する研修を修了している必要があります。常勤薬剤師だけでなく、多くのパート薬剤師や派遣薬剤師を戦力としている薬局だと割と高いハードルのように感じます。

(2)に関しては、細かい規定がなされていて、薬剤師が主体的である条件のもと、利用者の入院にあたって情報提供を行った実績や、退院にあたって情報共有を行った実績などに関して、過去1年間で月平均30回以上必要となっています。注意点としては、検査値の情報提供、疑義照会などといった、どちらかと言えば薬剤師にとって受動的な業務に関しては含まれないという点です。

(3)に関しては、医薬品の供給問題が騒がれている昨今においてはハードルが上がっている部分ではありますが、ほかの薬局から求められた場合には医薬品を速やかに提供できるような体制を構築する必要があります。日頃から、自分の薬局の医薬品の在庫情報を地域のほかの薬局に周知しておくなどが求められています。

(4)に関しては、例えば、無菌製剤を扱える体制を整えることがあります。これは自分の薬局内でなくても、近隣の適切な薬局の紹介、または共同利用施設の構築でも大丈夫です。病院薬剤師にとっては無菌製剤の調製は日常であっても、薬局薬剤師にとってはハードルが高めの業務になりますので、まずは研修を受けさせることも必要です。

簡単に見てみても割とハードルが高いと感じる方も多いと思いますが、裏を返せば、地域連携薬局の認定を受ける薬局は今後の薬局過剰時代にも生き残っていける可能性が高まるということが言えます。地域医療の担い手としてより一層活躍できる可能性も高まりますので、ぜひ一つでも多くの薬局が目指していただけると良いと思います。ぜひ自分でも要件に関しては、日々の法令改正情報も踏まえて情報収集しておいてください。

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