コロナ禍で、外出自粛などによるストレスや長きに渡るマスク生活もあり、肌トラブルを抱えている方が増えているようです。しかしながら、外用薬だけではなかなか対処ができないという声も聞きます。そこで、今回は美容に効果的な内服薬について言及してみましょう。
そもそも肌トラブルにはどんなものがあるの?
肌トラブルと一口に言ってもさまざまなものがあります。最近では男性も美容に気をつかう方が増えてきており、肌トラブルは多岐にわたるでしょう。具体的には、しみ、そばかす、しわ、たるみ、吹き出物、肌あれなどがあります。
症状が軽い場合、外用薬で十分対処できますが、悪化したり慢性化・長期化したりすると内服薬での対処の方が効果的です。昨今のマスク生活において、しわや肌荒れが起こりやすくなっているだけでなく、マスクで隠すことができることからしみやそばかすの対処を怠たる方が増えているようです。
肌は健康のバロメーター?
胃腸の調子が悪いと、肌にできものができるということがよくあるかと思います。このように、肌は健康状態が表れる部分でもあり、肌の状態だけを何とかしようとしてもなかなかうまくいきません。根本的に改善するためには、日頃から栄養状態を良くするなど生活習慣自体を正常にする必要がでてきます。その上で、さらにしっかりと美容を行いたいという目的で内服薬を使用すると効果的でしょう。
どのような内服薬が効果的なのか?
美容の内服薬と言っても、基本的には皮膚科で見かけるものが多いでしょう。近年、美容クリニックで処方してもらえる手軽さやオンライン診療の拡大により、肌トラブルに悩む患者さんがこれまで以上に手軽に内服薬を入手できるようになっています。ただし、美容目的の場合には、基本的に自費扱いとなりますので、その点だけ注意しておくことが必要です。
美容でよく使われる内服薬を具体的に見てみると、シナール(有効成分アスコルビン酸:美白効果、抗酸化効果など)、ハイチオール(有効成分L―システイン:黒シミ防止効果、解毒効果など)、タチオン(有効成分グルタチオン:色素沈着防止効果、活性酸素除去効果など)、トランサミン(有効成分:トラネキサム酸:抗炎症効果など)などがあります。これらは単独で服用するよりもいくつかを併用して服用するとより効果的であるため、クリニックによってはセットで販売しているところも多いようです。
肌トラブルに漢方薬を使う場合も!
漢方薬の場合には肌の症状だけではなく、その原因まで一気に対処できるため、漢方薬を処方するクリニックも増えてきました。肌トラブルに効く漢方薬には以下のようなものがあります。
- 十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)…肌あれやにきびなど
- 六君子湯(リックンシトウ)…胃腸が弱いことからくる肌トラブルなど
- 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)…ホルモンバランスの乱れからくる肌トラブルなど
漢方薬は、肌トラブルの原因をしっかりと見極めた上で適切なものが処方されます。前述した内服薬と併用するとさらに効果的です。
薬剤師として最も大事な点は?
美容において内服薬は確かに効果的で、実際に多くの方が美容に関する悩みから解放されているのは事実です。しかしながら、薬剤師であれば少し考えるべき点もあります。
前述した内服薬は、どれも本来はさまざまな病気で悩んでいらっしゃる患者さんに使われるべきものです。昨今、医薬品供給に関しては、欠品が多く発生している状態は周知のことでしょう。美容目的での使用が過剰になってしまい、本来行き渡るべき病気の患者さんに届かないというのでは本末転倒です。薬のプロである薬剤師であれば、薬の本来の目的を理解して、きちんと患者さんへ届くように努力する必要があります。
美容の薬に関して相談を受ける際には、その方の症状をきちんと把握し最低限の薬を使用するように、また余分に処方してもらうなどを避けるように上手に説明すると良いでしょう。このような説明はなかなか難しいかもしれませんが、人工知能時代にでも生き残っていける薬剤師として必須のスキルであるともいえます。ぜひ、ご自身でも伝え方について考えてみてください。
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