肉体的な痛みだけでなく、心の痛みを取り除くことを目的とする緩和ケア。
医療の原点ともいえる分野ですが、表舞台に出て来たのはここ数年のことです。
その中で薬剤師も活躍しています。
がんをはじめ緩和ケアが必要な患者が増えている昨今、今後薬剤師の重要性はますます大きくなっていくと考えられます。

緩和ケア医から薬剤師はどうみられているのでしょうか?
また、薬剤師とどのように関わっているのでしょう?
3人の緩和ケア医(A、B、C*敬称略)にお話を聞きました。

緩和ケア医ってどんな仕事!?

仕事内容を教えてください。

Aさん)私は大学病院の緩和ケア診療部に勤めております。
主に末期がん患者さんの痛みの緩和を担当しています。
元々心療内科にいたのですが、緩和ケア診療部が発足する時に興味があったので移りました。

Bさん)私は在宅を主に行っているクリニックに勤務しています。
主に在宅で最期をと希望される末期がん患者さんを担当しています。
元々内科医でしたが、痛みを取る事こそ一番大事ではないかと感じて、心療内科を専門とする中で緩和ケアに出会い、希望するようになりました。

Cさん)私は医系技官という医師免許を持った国家公務員です。
元々は緩和ケア医でしたが、今後緩和ケアをもっと広めなければと感じて。
それならやはり国家公務員だろうと思い、いろいろ調べる中で医系技官のことを知り受けました。
今はがん対策関連の仕事をしていて、その中で緩和ケアの重要性を常に訴えています。

緩和ケアの特徴は??

Aさん)緩和ケアでは特にチーム医療を重要視しています。
私は精神症状担当の医師ですが、他に身体症状担当の医師、口腔ケアを行う歯科医師、緩和ケアを専門に勉強した看護師、薬剤師、作業療法士、などです。
こんなに多職種で行う医療は他にないと思います。

Bさん)以前、ある末期がん患者さんが、もうこれで最期というときに強い痛みを訴えられて、『先生、痛い、助けて』と叫んでおられたことがありました。
吐血も始まっていて、まもなく亡くなるというときです。
私はせめて痛みなく最期を迎えてもらおうという発想になり、鎮痛剤を点滴し、患者さんの体をさすり続けました。
そうしたら、患者さんの顔がおだやかになり、『先生、ありがとう』と言ってくれました。
その翌日息を引き取りました。
今でもこの行為は意味があったかはわかりませんが、緩和ケアにいたからこその発想だったと感じます。

Cさん)緩和ケアこそが医療の原点だという思いは今でもかわりません。
どんな疾患でも必要なケアですが、残念ながら、現在、緩和ケアで診療報酬が認められているのはがんとエイズのみです。
これを他の疾患でも認められるようにしていくのが我々行政の役目かなと感じています。

薬剤師及び他職種との関わり方・連携について教えてください。

Aさん)ある末期がんの患者さんの話です。
麻薬の投与を開始する際に、とても不安だったようで、痛みが日に日に強くなっているにも関わらず、かたくなに拒否していたことがありました。
痛みが強くなると、ご家族などにも強く当たったりすることがありました。
その中で薬剤師さんが粘り強く数日間をかけて、他の事例や論文を提示しながら、患者さんを説得してくれました。
その結果、無事に麻薬投与を開始できたのです。
安全性・有効性をきちんとわかりやすく患者さんに説明してくれる薬剤師は、不可欠な存在です。

Bさん)在宅の患者さんは痛みを抱えている方、寝たきりの方も多く、そのマンネリ感にストレスを感じています。
精神的にもつらくて、さらに痛みが増強していくという、負のスパイラルに陥ることがあります。
その結果、睡眠導入剤、抗不安剤、抗うつ剤に加えて、鎮痛剤を飲むといった、多剤併用が普通とも思える状態になってしまうことが多いです。
残薬も発生しがちです。
薬剤師の介入により実際にかなり薬の管理がしやすくなっているので、やはり不可欠ですね。

Cさん)薬系技官と一緒に仕事をする機会があります。
私の同僚の薬系技官は薬剤師免許所持者ですが、薬のことだけではなく、化学物質、栄養、分析法などといった多くの分野の知識を持っていてすごいなと感じます。
我々医師が専門的過ぎるなと反省させられます。
緩和ケア政策策定においては協調したい存在です。

 

 


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