若者だけでなく、大人にもニキビで悩んでいる方が少なくないです。ストレスなどで免疫能が下がることで細菌が優位になり、ニキビができてしまうというパターンも多いです。ニキビは放置すると悪化してしまうため、早期に対処することが大事です。今回はニキビで使われる薬について学んでみましょう。

ニキビの経過を見てみましょう!

ニキビとは、皮脂の過剰分泌(若者に多い)や食生活の乱れなどのストレスにより、毛穴に皮脂などの老廃物や細菌が詰まって炎症が生じることで起こるものです。大人の場合にはニキビとは言わずに、吹き出物とも呼ばれたりもします。毛穴の詰まりをきれいにすると改善します。

経過を見てみると、まずは毛穴に老廃物が溜まり、そこに盛り上がりができます。この時点では白っぽい色をしており、かゆみなどの症状もまたありません。その後毛穴が開きかける際に酸素に触れることで、内部の老廃物が酸化し、ニキビが黒く変色します。これを黒ニキビと呼びますが、これも汚れさえきれいにできれば徐々に改善します。

しかし、毛穴内の炎症がさらに悪化すると、ニキビ全体が赤く腫れるようになってきます。これを赤ニキビと呼びますが、この段階だとかゆみに加えて、場合によっては痛みも伴うようになります。その後、炎症がさらにひどくなれば、毛穴内に膿が溜まり、その膿が毛穴から押し出されてきてニキビ全体が黄色くなります。

赤くなって黄色くなる段階では細菌が毛穴にいることが多いため、抗菌剤は特にこの段階のニキビに使用されます。ちなみに、原因細菌としては、常在菌であるアクネ菌ですが、アクネ菌のために免疫能のバランスが崩れた結果、同じく常在菌であるブドウ球菌によって炎症がさらに悪化することもあります。

また、ニキビと言うと顔のイメージですが、背中ニキビや尻ニキビなど身体にできるものもあります。ただ、身体にできるニキビの原因菌は、アラセチア属の常在真菌であることが多く、顔のニキビと違って自然治癒することが少ないです。ですので、治療法としては抗菌剤ではなく、抗真菌剤になります。ニキビと一口に言ってもニキビができる部位や状態によって適切な薬が全く違うため、薬剤師としても服薬指導時に患者さんの状態を把握することが大事です。

実際に使用される薬の種類と特徴とは?

皮膚科へ受診すると、皮膚を柔らかくして毛穴を拡げる効果をもつビタミンA誘導体アダパレンの外用薬(例:ディフェリンゲル®)が使用されることが多いです。

しかし、悪化して赤みをおびている場合には細菌をやっつけるべく抗菌剤を含んだもの(例:ゼビアックスローション®)を使用することも必要になってきます。さらにひどい場合には抗菌剤の内服薬(例:ファロム®)が処方されることもあります。

また、抗菌剤と併用して過酸化ベンゾイル製剤が使われることも増えてきました。これはいわば「殺菌剤」と言える強力なもので、生体内で分解されてフリーラジカルが生じます。これが原因菌を破壊するのに加えて、塞がった毛穴の角層の剥離を促すことで効果を発揮します。抗生剤と異なり耐性菌を生じることがなく、比較的長期で使用できるので近年処方が増えています。

具体的な商品としては、ベピオゲル®になります。他にも、さらに治療効果を上げるべく、他の成分を一緒に配合したものがあります。具体的には、抗菌成分のクリンダマイシンを配合したデュアック配合ゲル®、前述したビタミンA類似物質のアダパレンを配合したエピデュオゲル®です。ただし、強い刺激感があるので、傷口や粘膜といった敏感な部分には使いえないという難点もあります。

一方、前述した真菌が原因の身体のニキビに関しては、抗真菌剤による対処が必要です。実はOTC薬でも対処可能で、具体的には抗真菌成分であるナイスタンを配合したクロマイ-N軟膏®です。これには抗菌成分も含まれており、細菌が原因であったとしても効果を発揮できるので手軽な割には便利な薬です。

特に皮膚科の門前薬局ではニキビの多様な処方を目にすることが多いと思います。処方意図を類推する上でも今回の話をぜひ活用してみてください。

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