会社で上司に怒られるのが怖い人必見!「怒る」と「叱る」の違い

こんにちは!
私の名前は立花メイ。

あなたは会社で誰かから怒られることはありますか?
また、誰かを怒ることはありますか?

もし、誰かから怒られて落ちこんだり、イライラすることが多いのなら、一度、それは「怒られているのか?」「叱られているのか?」を冷静に考えてみたほうがいいです。

というのも「怒る」と「叱る」とでは意味が大きく変わるからです。

“怒る”というのは、腹を立てた感情を相手に一方的にぶつけること。
そして、“叱る”というのは、相手にアドバイスをしたり、相手を諭す(さとす)ことを指します。

だから、自分が怒られたり、怒るときには、それが「怒る」なのか「叱る」なのかを見極める必要があるんです。

今回は、日頃誰かに怒っている人や怒られている人に知ってほしい、「怒る」と「叱る」の違いについて取り上げます!

今回の登場人物

立花メイ(25)

立花メイ

「俺の薬局」で働く新人薬剤師。
今年の抱負は年末に餅を食べすぎないこと。

薬師寺五郎(46)

薬師寺五郎

「俺の薬局」を経営する薬局長。
今年の抱負は年末に餅をつきすぎないこと(餅つきにより腰痛発症)

俺の薬局

会社で上司に怒られるのが怖い人必見!「怒る」と「叱る」の違い

こらーっ!メイ。
おめー、またオレに相談せずにメールを返信したな。

えっ??
だ、だって、お客様急いでいるっぽかったですし。

急いでいるって言ってもだな、お客様から届いたデリケートな悩み相談に対して、おめーの一存だけで返信して何か問題があったらどーすんだ?
いつも言っているが、デリケートな悩みのときは、必ずオレに相談してから返信するようにしろよ。

ムムム・・・。
わかりました・・・。

何がムムムだ。
横山光輝の三国志じゃねーんだから、そこは「はい!」だろ。

メール相談のお客様はおめーに悩み相談してるんじゃないぞ。
「俺の薬局」という薬局に相談してるんだ。

だから、悩みへの返信は「俺の薬局」としての総意でないといけない。
そう考えると、オレに事前に相談する理由がわかるだろ?

はい・・・。

あと、おめーが返信したメールだが、以前教えたことが守られてないぞ。
最初に結論が書かれていないし、上から目線の文章になってしまってる。
あとでこの記事を読み返しておくんだな。

ううっ・・・。
読み返しておきます。

まあ、次回から気を付けるんだぞ。
オレは今から少し出かけてくるから、留守番を頼む。

いってらっしゃい~。

間

間

間

ムムム・・・。

ムッカーッ!!

薬局長、あんな言い方しなくていいのに!!!
「返信してくれてありがとよ」の一言くらい欲しいものだわ。

男の更年期ってやつかしら。
プンプンッ!

ほんっと、あんなに怒ってばっかりいると血圧上がっちゃうんだから。
血圧上がって倒れちゃっても知~らないっと。

(・・・きこえますか・・・きこえますか・・・)

??

(・・・立花メイさん・・・まゆみです・・・今・・・あなたの・・・心に・・・直接・・・呼びかけています・・・そんなに・・・イライラするのは・・・もったいないです・・・)

こ、このTwitterでよく見かける定型文を使って私の心に話しかけてくるのは誰・・・!?

私よ。

まゆみさん!!

この「俺の薬局」ブログの登場人物紹介に名を連ねながら、まだこのブログに一度も登場したことのない事務の「渡辺まゆみ」さん!

フフフ。
満を持しての初登場ってとこかしら。

まゆみさん、急にどうされたんですか?

いえね、さっきのメイちゃんと薬局長とのやりとりを見ていて、気になったことがあったから。

ズバリ言うわよ。
・・・メイちゃん、あなた、薬局長のことを誤解してるわ。

えっ・・・?

あなた、さっき薬局長から“怒られた”って言ってたけれど、それは間違いよ。
あなたは“叱られた”の。

“叱られた”・・・?

??

“怒る”と“叱る”って何か違いあるんですか?

全然違うわよ。

“怒る”というのは、腹を立てた感情をぶつけること。
“叱る”というのは、相手を諭す(さとす)ことを指すの。

相手を諭す・・・?

部下を諭す上司

別の言い方をすれば、“叱る”というのは、相手に対して“厳しい態度でアドバイスをする”ってことかしら。

“厳しい態度でアドバイスをする”・・・?

そう。
さっき薬局長があなたに言ったことを思いだしてみて。

あなたが薬局長から叱られていたとき、あなたはイライラしてしっかり聞いてなかったかもしれないけれど、よく思い出せば、あれは“アドバイス”だったってことがわかるはずよ。

メール相談のお客様はおめーに悩み相談をしているんじゃないぞ。
「俺の薬局」という薬局に相談してるんだ。

だから、悩みへの返信は「俺の薬局」としての総意でないといけない。
そう考えると、オレに相談する理由がわかるだろ?

・・・たしかに、アドバイスと言われれば、アドバイスですね・・・。

もし、薬局長が“怒る”っていう状態だったとしたら、多分彼のセリフはこうなってたわ。


おめー、ほんと何度言ってもダメだな!!

いい加減、オレの言ったこと憶えておけよ!!

そんなんだからいつまで経っても新人なんだ!!

ほんっと使えねーやつだな!!


ひっどーい!!!!!
私、こんなこと言われたら、やる気なくしちゃいます!!!

でしょ?

メイちゃん、気付いた?

さっきの私が作ったセリフは“アドバイス”になっていなかったってことに。
“怒り”の感情だけで紡がれた言葉は、ただ自分のイライラを一方的にぶつけることになっちゃうの。

言い換えれば、“怒り”というのは、他者のために発するエネルギーではなく、“自分のためだけに発するエネルギー”って感じね。

怒りは“自分のためだけに発するエネルギー”・・・。

そう、“怒る”と“叱る”の違いはそこにあるのよ。
“怒る”はあくまでも自分のイライラを発散するだけに行われるものに対して、“叱る”は他者のためにイライラするというイメージかしら。

「怒る」と「叱る」の違い

うーん、わかったような、わからないような・・・。

でも、ひとつだけ言えることがあります!

何?

“怒る”にしても“叱る”にしても、イライラされると、相手はいい気持ちがしないってことです!

そう、そのとおり。

えっ?

一方的にイライラをぶつけられると、人は動きたくなくなるわ。
だからね、相手を賢く叱るためには、イライラのエネルギーを抑えつつ叱る必要があるの。

部下を諭す上司

“イライラのエネルギーを抑えつつ叱る”・・・。

“叱る”ということは、基本的には相手に自発的に動いてもらうための“気付き”を与えるということ。
だから、相手の脳にどうすればその気付きが定着するのかを考えながら叱らないといけないわ。
よって、言葉の選び方や、叱るタイミングを一生懸命考える必要があるの。

そして、そういうことを冷静に考えるためには、イライラの感情が邪魔になったりするのね。

だから、賢く叱れる人は、そのあたりの感情コントロールが上手いってわけ。

なるほど・・・。

ただ、イライラ自体はすべてがダメなわけじゃなくて、適度な“イライラ”もそれなりに効果を発揮するケースがあるの。

ええっ・・・!?

それはね、人はある程度傷つかないと成長しないからなの。

人は傷つかないと成長しない・・・!?

サイヤ人・・・ですか?

・・・メイちゃん、あなた日曜朝から放送してるドラゴンボールSUPER観てるでしょ?

・・・ってまあ、いいわ。

えっとね。
今の時代、“褒めて伸ばそう”という空気があるけれど、人間、褒められるだけじゃ伸びないの。

なぜなら、人は自分がうれしかったことよりも、傷ついたり悔しかったことのほうが強烈に記憶に残るからよ。

落ちこむビジネスマン

えええええええっ・・・!?

医学の世界には“痛みは繰り返されることで脳に記憶される”という説があるわ。

たとえば、「幻視痛」って言葉知ってる?
「幻視痛」とは、怪我や病気によって手や足を切断した人の多くが体験する“あるはずのない手や足が痛む症状”のこと。
なぜあんな症状が出るかというと、脳が痛みを記憶してしまっているからなの。

慢性痛にとってもうひとつ重要なのは、学習記憶です。
痛み自体も記憶していますが、痛みの出方も学習し記憶しています。

幻視痛をご存知ですか?
幻視痛とは、怪我や病気によって手や足を切断した人の多くが体験する。あるはずもない手や足が痛む症状。つまり脳内で痛みを覚えている状態です。例えば足を切断したにも関わらず、つま先に痛みを感じたり、あるはずのない手の先端があるように感じます。

慢性痛も何度も痛みを経験することで脳内で腰痛や肩こりなどの症状を覚えています。

引用元:痛みと記憶の関係 – 瀬田カイロプラクティック院

脳が痛みを記憶してしまっている・・・。

そういえば、私、小学5年生のとき、地元の遊園地のお化け屋敷に入って、強烈に怖い思いをしてから、お化け屋敷を見るのもイヤになりました・・・。

お化け屋敷の思い出

それも一種の痛みの記憶ね。
それ以外にも痛みの記憶はいっぱいあるんじゃない?

はい・・・。
思い返せば、いろいろな記憶が次から次へと・・・。

あれっ・・・うれしかった記憶もあるはずなのに、なぜかツラかった記憶のほうが先に浮かんできます・・・。

まあ、実際にはうれしい記憶もたくさんあると思うんだけど、ツライ記憶のほうが先に浮かんでしまうのは、さっき言ったとおりよ。
人は自分がうれしかったことよりも、傷ついたり悔しかったことのほうが強烈に記憶に残るからなの。

ひえええ・・・。

ちなみに、脳が痛みを記憶するとどうなるかわかる?

えっと・・・。
その痛みから逃げようとする・・・と思います。

そうよ。
脳が痛みを記憶すると、その痛みから回避しようと考えるようになるの。

“痛みから逃げたい”というのは、私たち人間の根源的な欲求。

それって仕事でも同じ。
仕事で失敗をして叱られると、その叱られた痛みを脳が記憶して、次回以降、同じ失敗を繰り返したくない、っていう思考になるのよ。

なるほど・・・。
だからさっきまゆみさんは“イライラもそれなりに効果を発揮するケースがある”と言ったんですね。

そうよ。
まあ、一番いいのは、叱られずに上手に仕事をすることなんだけどね。

結局何が言いたいかっていうと、“叱られた経験をただネガティブなものとしてとらえるのではなく、自分が成長するきっかけのひとつだととらえるようにすればいい”ってことなの。

ふむふむ。

ただ、叱られる側が気をつけなければならないことがひとつあるわ。

気をつけなければならないこと?

ええ。
それはね、叱られても叱られても同じ失敗ばかりしてしまう場合よ。

・・・!?

その状態になってしまっているのなら、それはおそらく次のような3つの原因が考えられるわ。

叱られても叱られても同じ失敗ばかりしてしまう人に考えられること

  1. 失敗したときの“痛み”を恐れるようになり、思考が“痛みを回避”することばかり考えてしまい、仕事を改善するほうへシフトできていない
  2. 失敗したときの“痛み”に慣れてしまい、もはや痛みと感じなくなってしまっている。そのため、失敗したことが記憶に定着しなくなっている
  3. そもそもその仕事に向いていない(技量やセンスの問題)

な、なるほどです・・・。

毎日イライラしてたり、理不尽なことで怒りまくる上司がいるとするなら・・・。
怒られる側がその痛みに麻痺してしまっている、もしくは、痛みがあまりにも強すぎて脳の防衛本能が強く働き過ぎて、何も考えられなくなっているようなケースを考えたほうがいいわね。

うわあああ・・・。
理不尽なことで怒りまくる上司って最悪です・・・。

そうよ。
そういう上司がついてしまったのであれば、配置換えをお願いするか、いっそのこと転職してもいいかもね。

(うちの薬局長はよく叱ってくるけど、まあ、理不尽に怒るってタイプじゃないか・・・)

それにしても、毎日イライラしてたり、理不尽なことで怒りまくる人って何なんでしょう?

うーん、そうね・・・。
怒りっぽい人は一種の「不安症」だと思うの。
「不安症」と怒りとの相関関係に関しては以下の記事に書かれているから、よかったらあとで読んでみて。

ちなみに、さっきから私は何度か“痛み”って表現を使っているけれど、痛いのが好きな人なんて、よっぽどのMじゃないかぎりいないわ。
私も叱られるのはイヤだし、怒られるのはもっとイヤ。

でもね、この社会を見渡してみるとわかると思うけれど、仕事ができる人で「私は叱られたことがない」なんて人、ひとりもいないわ。

誰もが、幼年時代から社会人になるまで、いろいろな人に叱られて成長していくの。

叱られて成長していく図

ふむむ・・・。

でもね、だからといって、叱る人は好きに叱っていいもんじゃない。
さっきも言ったけど、“叱る”という行為は相手の成長のためのアドバイスなんだから、どう叱るかを冷静に考えないといけないし、叱ってばかりいる人は“褒める”ことも憶えないといけない。

褒めること・・・。

さっき私は、“人は自分が嬉しかったことよりも、傷ついたり悔しかったことのほうが強烈に記憶に残る”と伝えたわね。
この理論には逆のケースがあるの。

たとえば、毎日叱られてばかりの人のことを考えてみて。
毎日叱られてばかりの人は、きっと叱られることに慣れてしまっているはずよ。
そういう人の場合、たまに褒められると、きっとすごくうれしく思うはずだし、叱られるより褒められるほうが記憶に残るかもしれないでしょ?

なるほどです。

あと、叱る人が気を付けないといけないことがもうひとつあったわ。
それは、“自分に厳しい人”に対して叱るとき。

“自分に厳しい人”に対して叱るとき?

ええ。
自分に厳しい人は、仕事に失敗したとき、自分自身で強く反省しがちなので、そういう人に対しては不必要に叱る必要はないかもしれないわね。
むしろ、自分に厳しい人に対しては、「ドンマイ」と温かい言葉をかけてあげたほうがいいかも。

たしかに、たしかに。
私、自分に厳しいタイプなので、あまり叱られたくないです!

う、うん、そうよね・・・。
(メイちゃんは自分に甘いタイプにしか見えないけど・・・ま、いいや)

間

間

間

さっ、そろそろ薬局長が帰ってくる時間ね。
これからは薬局長に怒られたときは、さっき私が伝えたことを思い出してみてね。

薬局長に叱られたときは、自分が成長するきっかけだと思えば、不必要にイライラしなくても済むはずよ。

はいっ!
まゆみさん、ありがとう!

どういたしまして。
お節介だったかもしれないけれど、少しでも参考になったのならうれしいわ。

あ、最後にひとつだけ言い忘れてたことがあったわ。

言い忘れてたこと?

叱る側って実はものすごくエネルギーを使うの。

エネルギー・・・?

そう、エネルギー。
相手を叱る際は人から嫌われるリスクが高いし、相手をどのように叱ろうかを考えないといけない、もし、そこに自分のイライラ的な感情が乗っかっているのなら、その感情もうまく処理しなければいけない。

だから、叱られている側は、叱っている側のことも少しは考えてあげると、案外、相手の言うことを素直に聞き入れられるかもね。

相手のことを思って叱っている側は、ある種“自己犠牲の精神”で叱ってくれているのよ。

自己犠牲の精神・・・。

間

間

間

今戻ったぞ~。

あっ、薬局長おかえりなさい!

な、なんだおめー、その笑顔は・・・?

えっ?
私、どこか変ですか?

さっき薬局長から叱られたことを考えていたら、薬局長っていつも私のことを思ってのアドバイスしてくれているんだなあと。

いつも私のことを思っての自己犠牲、ありがとうございます。

ありがたや、ありがたや・・・。

じ、自己犠牲・・・!?
な、なんだそれ・・・?

ありがたや、ありがたや・・・。

(こ、こいつ、オレに叱られすぎてついにおかしくなったか・・・。
オレも叱りすぎたのかもしれんな・・・)

ありがたや、ありがたや・・・。

反省、反省・・・。

ありがたや、ありがたや・・・。

反省、反省・・・。

なんだこれ。

※本コンテンツはフィクションであり、実在の人物・団体との関係はございません。

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Written by タキシード松尾 / Illustrated by ヨシウチ


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