理不尽なクレーム対応もバッチリ!クレーマーの怒りを抑えるクレーム対応マニュアル
みなさん、こんにちは!
私の名前は立花メイ。
「俺の薬局」という薬局で働いている薬剤師です。
あなたはお客様から無茶なクレームをつけられたことはありませんか?
一生懸命対応しているつもりなのに、お客さんからネガティブな感情をぶつけられて傷ついたことはありませんか?
キツイ言葉を投げかけられて「そんな言い方しなくてもいいのにっ!」って感じるシチュエーション、よくありますよね。
かく言う私も、薬局という閉鎖された空間で日々多くのお客様と接する中で「このお客様、ムリ・・・!」って感じるお客様に何度か出会ってきました。
クレームを言う人って、なんであんなにキツイ言葉を投げかけてくるんでしょう?
でも、そんな私が最近、クレーム対応にビクビクしなくなったんです。
その理由は、うちの薬局長から「クレーム対応に使える“ある極意”」を教えてもらったから。
実は、クレーム対応って「傾聴(けいちょう)」「謝罪」「感謝」の3つの要素を意識すれば、難しくないって知ってましたか?
今回は、どんな理不尽なクレームにも対応できる「クレーム対応のコツ」をお教えします!
立花メイ(25)
「俺の薬局」で働く新人薬剤師。
土日は自宅で少女漫画を読みふけるインドア派。
薬師寺五郎(45)
「俺の薬局」を経営する薬局長。
男性ホルモンが常人の3倍くらいあるという噂が・・・。
女性患者(35)
「俺の薬局」で薬が渡されるのを待っていた女性。
おしとやかな女性だと思っていたが、実は・・・。
その日はお客様が多く、普段よりも忙しい日でした。
そんな中、突如、女性の大きな声が鳴り響きました・・・。
ねえちょっと!!
何時間待たせるのよ!?
えっ!?えっ・・・!?
いや、あの、まだ20分しか経っていませんが・・・。
20分しか?20分「も」よ!
私はね、急いでるの!
薬を受け取るまでにこんなに時間がかかるなんて聞いてないわよ!?
え・・・そんな・・・。
ほかのお客様も待ってらっしゃいますし、番号札の順にお呼びするのがルールですから・・・。
(イライラ)
ほんっと遅いのね!この薬局!?
・・・。
(もぅ・・・私たちもがんばってるのに、なんなのこのお客さん・・・)
・・・お客さん。
ヌッ
待たせてしまって、ほんっとうに申し訳ない!
お客さんの大切な健康を守るために、今オレたちは調剤室で必死に闘ってんだ。
長い間待たせてしまって本当にすまねえが、お客さんのための薬が完成するまで、オレたちを応援してやってくれねーか?
え・・・お、応援・・・?
そう、応援してやってほしいんだ。
お客さんからの応援の一言があれば、オレたちゃうれしくて、がんばっちまうのさ。
だから、オレたちをうまく使ってやってくれねーか?
う、うまく使う・・・?
そうよ。
オレたちはお客さんが大好きなんだ。
だから励まされると、頑張っちゃうのさ。
こんなことをお願いしてしまって、プロとして未熟なことは分かってるが、その分、頑張るからよ。
わ、分かったわ。
が、がんばってちょうだい。
ご、ごめんなさいね、大きな声をあげちゃって・・・。
いや、謝るのはこっちの方だぜ。
こんなに素敵なレディーに大きな声をあげさせたとあっちゃあ、うちの薬局の名が廃るぜ。
ま、まあ、素敵なレディーだなんて・・・!
ところで・・・。
もし、よかったらだが、薬の受け取りを急いでいる理由を教えてくれないか?
え、あ、実はこのあと友人との待ち合わせがあって・・・。
その時間に間に合わせたいと思っていたの。
・・・でも、いいわ。
友人には「遅れそう」って連絡するから。
友人との待ち合わせ・・・!
そうだったのか・・・!
大切な友人との約束にキズをつけてしまって、ほんっとに申し訳ない!
お客さんとその友人ためにできるだけ急がせてもらうぜっ。
あ、ありがとう・・・。
ちなみに、お客さんとその友人との待ち合わせは何時からだい?
え・・・えと・・・。
16時30分に青山にある喫茶店で・・・。
16時30分に青山・・・!
逆算すると・・・こいつは・・・厳しいかもしれねえな・・・。
あ、え、えと・・・。
ちょっとくらい遅れても大丈夫よ。
友人に電話することにしたから・・・。
そうか・・・!
すまねえ!恩に着る!
お客さんのおかげで、薬ができあがるまでの時間が長くて困るお客さんがいるってこともわかった。
本当に感謝しているぜ。
あ、あら、感謝だなんて・・・。
ほんっと、ありがとうな!
ひとまず、このまま調剤室に戻って、お客さんのためにできるだけ急いで調剤するから、もう少し待っててくれよな!
おい、メイ!
お客さんのためにすぐに調剤作業に戻るぞ!
は、はいっ!
この一見おっかない男の人。
この人の名は薬剤師五郎。
実はこの薬局の薬局長なんです。
こんないかつい風貌にも関わらず、ひとりひとりの患者さんへの気配りを欠かさない、丁寧な仕事をする薬局長。
私はこの薬局長のもとで薬剤師としてのスキル、もとい、社会人としてのスキルを学んでいます。
あ、あらためて私の自己紹介をさせていただきます!
私の名前は「立花メイ」。
この薬局で働きはじめて半年目の新人薬剤師です。
念願の薬剤師として働きはじめた私が選んだのは、ちょっと変な薬局長がいるこの薬局でした。
理不尽なクレーム対応もバッチリ!クレーマーの怒りを抑えるクレーム対応マニュアル
おい、メイ、チンタラしてんじゃねーぞ!
は、はいっ!!
んも~っ!前言撤回っ!
薬局長って、患者さんへの気配りを大切にしていても、一緒に働く私にはいつもこんな調子。
江戸っ子なのか何なのか知らないけれど、一緒に働くレディーにももっと優しく接してほしいものだわ。
・・・ってこの薬局で働いているのは、事務の渡辺さんと私だけなんだけど。
渡辺さんには優しいのに、私には言葉遣いが荒いんだから。
こんっなに若くてチャーミングなレディーが一緒に働いてあげてるってのに。
ブツブツブツ・・・。
(あーあ、なんで私、こんな野蛮で凶暴な薬局長のいる薬局に就職してしまったんだろ・・・)
おい、メイ。
てめー今、心の中で俺のことを“野蛮で凶暴なやつ”だと思ってたろ?
え・・・いやいやいやいやいや!
そんなこと思ってません!
てめーの顔に書いてあるぜ?
えっ・・・!
ヤ、ヤバイ!
何が“ヤバイ”だ。
俺のことをどうこう言う前に、自分の仕事をしっかりこなすんだな。
は、はい!
(てか、なんで私が思っていること当てちゃうのよ!薬局長、超能力でも使えるの?)
今度は“薬局長、超能力でも使えるんじゃないの?”って思ってやがるな?
ひ、ひいいいい!!!
ま、いーや。
そういや、おめーよう、さっき患者さんに怒られたときのことを覚えてるか?
え・・・?
あ、「20分“しか”待っていないのに20分“も”待たされている」って怒っていた患者さんですか?
おう、そうだ。
もちろん、覚えていますよ。
薬局長が代わりに対応してくれて事なきを得ましたけど、短気な人でしたね。
さっきの患者さんが何か・・・?
・・・おめー、さっき、なぜ、患者さんの怒りがしずまったか分かるか?
え?なぜって・・・。
・・・あれっ、なんでだろう・・・??
俺が「クレーム対応の極意」を使って対応したからよ。
ク、クレーム対応の極意!?
どんな仕事にもクレーマーはいる。
そのクレーマーを“敵”ではなく“味方”にできるかどうかってのが、一流のビジネスマンの腕の見せどころよ。
“敵”ではなく“味方”にする・・・!?
おう。
まあ、おめーはまだ新人薬剤師だ。
クレーム対応の経験が少ないのは仕方がねえ。
とはいえ、今後、どんなクレーマーに遭遇するかわからねえ。
クレーマーによっては、今日なんかよりもっと大変なトラブルに巻き込まれることもあるだろう。
そこでだ。
今日はおめーに、俺が編み出した「クレーム対応の極意」を教えておいてやる。
薬局長が編み出したクレーム対応の極意・・・!?
おう。
・・・耳の穴かっぽじってよく聞けよ!
は、はいっ!!
「クレーム対応の極意」
クレーム対応のノウハウを教える前に、まず知っておいてほしいことがある。
それは「クレームがなぜ発生するのか?」ということだ。
クレームが発生する理由はシンプルにいえば、こうだ。
相手の期待を大きく下回ったから。
たとえば、さっきの患者さんの例でいえば、あの患者さんは「薬はもっと早く受け取れるだろう」と期待していた。
ところが、俺たちはそのお客さんの期待とは裏腹に、調剤に時間がかかってしまっていた。
その期待のズレがクレームにつながったのさ。
で、でも、私たちは一生懸命調剤してましたし、番号札を見れば、自分の薬を受け取るまで、ある程度時間がかることは分かったと思います・・・。
まあな。
ただ、それはあくまでもこっちの論理だ。
クレームを言うお客さんの多くは感情的になっていて、周りがあまり見えていないことが多い。
だからな、こっちの論理が通用しないケースが多いんだ。
感情的・・・。
それって理不尽なことで怒られることも多いってことですか・・・?
そうだな。
ただ、一見、理不尽な主張に見えても、お客さんからすると、自分の主張が理に適っていると考えているケースが多い。
そこがクレーム対応のややこしいところだな。
じゃあ、どうすればいいんですか?
カンタンなことさ。
相手の感情を受け止めた上で、相手の心理を感情優位の状態から“論理優位”の状態へもっていってあげるのさ。
そうすれば、相手はこっちの論理も受け止めてくれるようになる。
“論理優位”の状態・・・?
クレーム対応は「傾聴(けいちょう)」「謝罪」「感謝」が基本
相手の感情を受け止める際に大切なのは、「傾聴(けいちょう)」「謝罪」「感謝」の3つを意識して行動することだ。
感情的になっているお客さんは、心の中にネガティブな感情がたまり、悶々としている状態だ。
だから、まずはお客さんのネガティブな感情を吐き出す手伝いをしなくちゃならない。
そのためには、お客さんの言うことに熱心に耳を傾けてあげることが大切だ。
そして、お客さんのネガティブな感情を心からの謝罪という形で受け止め、最後に感謝の気持ちをあらわす。
「クレームを言ってくださってありがとうございます!」と伝えることで、お客様のネガティブな感情がポジティブな感情にシフトするんだ。
そうすれば、クレーマーだったお客さんが、自社商品やサービスのファンになってくれることもある。
クレーム対応はウラを返せば、ファン作りといえるかもしれないな。
それくらいクレーム対応は奥が深いんだ。
というわけで、この「傾聴(けいちょう)」「謝罪」「感謝」の3つの行動についてひとつずつ解説していくぜっ。
1、「傾聴(けいちょう)」で大事な4つのポイントは「うなずく」「言い訳はしない」「オウム返しをする」「リアクションは大きめで」
「傾聴」という言葉の意味は、“相手の言うことに耳を傾けて熱心に聴く”ってことだ。
ちなみに漢字の「聞く」と「聴く」は、それぞれ意味が違うって知ってるか?
「聞く」と「聴く」で意味が違う・・・?
おうよ。
「聞く」のほうは相手の言葉を受動的にきく、という意味。
「聴く」のほうは相手の言葉を能動的・積極的にきく、という意味。
「傾聴」という言葉が「聴く」という漢字を使っている理由は、相手の言葉を自分から積極的にきく、という意味だからさ。
そうだったんですね!
そして、「傾聴」で大事なのは、以下の4つのポイントを意識することだ。
- うなずく
- 言い訳はしない
- オウム返しをする
- リアクションは大きめで
うなずく・・・言い訳はしない・・・オウム返しをする・・・リアクションは大きめで・・・。
お、「オウム返し」・・・?
おう。
オウム返しってのは、“相手の言ったことを、自分も繰り返して言う”ってことだ。
そうすることで、相手は「この人、私の言っていることを理解しようとしてくれている」って感じるんだ。
あ!そういえば・・・!
さっきの患者さんとのやりとりで、薬局長、オウム返ししてましたね!
え、あ、実はこのあと友人との待ち合わせがあって・・・。
その時間に間に合わせたいと思っていたの。
でも、いいわ。
友人には遅れそうって連絡するから。
友人との待ち合わせ・・・!
そうだったのか・・・!
大切な友人との約束にキズをつけてしまって、ほんっとに申し訳ない!
お客さんとその友人ためにできるだけ急がせてもらうぜっ。
え・・・えと・・・。
16時30分に青山にある喫茶店で・・・。
16時30分に青山・・!
逆算すると・・・こいつは・・・厳しいかもしれねえな・・・。
おう、よく憶えてたな。
へへへ~。
こうやってオウム返しすることで、相手に“きちんと自分の話をきいてくれる人だ”、と思ってもらえる。
それはある意味、信頼を得ることと同義なんだ。
●「謝罪」で大事なのは“最上級の謝罪”をすること
「傾聴(けいちょう)」の次に大事なのは「謝罪」だ。
これが実はカンタンなようで、一番難しいんだ。
えっ?
謝罪が一番難しい・・・??
おう。
謝るだけならカンタンだ。
ただ、クレーム対応における謝罪が難しいのは、多くの人が「最上級の謝罪」をすることに抵抗を感じるからなんだ。
さ、最上級の謝罪・・・!?
そうさ。
謝る際には、大袈裟なくらいに深く謝罪するほうがいいのさ。
「申し訳ございませんでした」より、「大変申し訳ございませんでした」。
「大変申し訳ございませんでした」より、「本当に申し訳ございませんでした」のほうがいい。
最上級の謝罪をすることで、謝罪の気持ちがより深く相手に伝わるからな。
ちょ、ちょっと待ってください!
こっちが悪くない場合でも、そんなに深く謝っちゃうんですか!?
おう、そうさ。
そもそも、相手がどれだけ怒っているかなんて、こっちにゃあ分からない。
なら、謝る際は最上級の謝罪を意識しておくほうがいいのさ。
謝罪の目的は、相手に対して「私はあなたの感情をこれだけしっかり受け止めているんです」という意思表示することだからな。
「すいませんでした」というシンプルな謝罪だと、「なんだ、そんな程度にしか思ってないのか!」と逆に相手を怒らせてしまう可能性が高い。
なら、最初から最上級で謝っておくに越したことはないのさ。
うーん・・・。
なんとなく腑に落ちないような気が・・・。
まあ、そう思うのもムリはないさ。
多くの人がそう思うからこそ、謝罪で失敗している人は多い。
ただ、最上級の謝罪といっても、土下座は必要ないからな。
言葉を使って普通に謝ればいいんだ。
もし、相手が土下座を要求してきたときは、断っていいぞ。
土下座の要求は法律でいうところの「脅迫または暴力的な手段」に該当する。
だから、土下座を強要することは「強要罪」という法律に引っかかる恐れがあるんだ。
な、なるほど・・。
そういえば、某衣料品店で、店員さんに土下座を要求した人が逆に損害賠償請求されてましたね・・・。
おう。
どんなクレーマーであっても、相手がひとりの人間であることを無視したコミュニケーションをするようなヤツは社会通念上、許されないからな。
そういえば!
謝罪で思い出したんですが、薬局長、さっきの患者さんとのやりとりで、たしかに最上級の謝罪をされてました・・・!
待たせてしまって、ほんっとうに申し訳ない!
お客さんの大切な健康を守るために、今オレたちは調剤室で必死に闘ってんだ。
待たせてしまって本当にすまねえが、お客さんのための薬が完成するまで、オレたちを応援してやってくれねーか?
え・・・お、応援・・・?
そうさ。
はじめに最上級で謝っておくことで、普通のお客さんなら、それ以上強く相手を責めることはない。
あくまでも、“普通のお客さん”という限定付きだがな。
最上級の謝罪をするメリットについて話したが、もちろん、こちらが全面的に悪いときにはそれは当然のことだぜ。
その点、勘違いしないようにな。
はいっ!
●「感謝」を伝えれば、相手がクレーマーからファンになることも!
さあ、クレーム対応の基本のラストは「感謝」だ。
感謝・・・。
そうさ、感謝。
「クレームを言ってくれてありがとう」と相手に伝えるのさ。
えええええ!?
クレームを言ってきた人に「ありがとう」って言うんですか?
おう。
相手が吐き出したネガティブな感情をポジティブに変えるためには、受け取り側がその感情をポジティブにとらえる必要があるのさ。
そうだ、「サイレントクレーマー」って言葉知ってるか?
「サイレントクレーマー」??
おう。
直訳すると“黙っているクレーマー”という意味だが、カンタンにいえば「本当はクレームを言いたいけれど、クレームを言わずに去ってしまうお客さん」のことを指すのさ。
クレームを言いたいけれど、言わずに去っていく・・・。
そういうお客さんは、その会社の商品やサービスをもう一度利用したいと考えると思うか?
えっ・・・?
それは考えないと思います・・・。
だって、嫌な気持ちを抱えたままなわけだし・・・。
・・・あっ!!!
気付いたようだな。
そうさ、サイレントクレーマーはクレーマーよりもっと厄介な場合がある。
なぜなら、直接文句を言ってきてくれるクレーマーの場合は、こちらが謝罪をすれば、そのクレームに関しては解決するケースがあるが、サイレントクレーマーの場合、直接文句を言ってきてくれないので、解決のしようがないんだ。
そうなると、相手はネガティブな感情が発散されないままなので、最悪のケース、ネットの掲示板などでそのお店の文句を書き始めたりもする。
それは困りますね・・・!!
おう。
だから、見方によっては、直接文句を言ってきてくれるクレーマーってのは、ありがたいお客さんなんだ。
クレームがあるからこそ、商品やサービスの改善ポイントが見つかるだろうしな。
なるほど・・・!!
だから、そう考えると、クレームを言うお客さんに対して「感謝」の気持ちで接する意味も分かるだろ?
はいっ!
さっきの患者さんとのやりとりを思い出しました!
たしかに、薬局長、感謝の気持ちを伝えてましたものね。
あ、え、えと・・・。
ちょっとくらい遅れても大丈夫よ。友人に電話することにしたから・・・。
そうか・・・!すまねえ!恩に着る!
お客さんのおかげで、薬ができあがるまでの時間が長くて困るお客さんがいるってこともわかった。
本当に感謝しているぜ。
●高等テクニックその1
お客様に「質問」を投げかけ、落ち着かせる
さあ、ここまではクレーム対応の基本を教えてきた。
ここからは、せっかくなので、応用テクニックをふたつ教えておくぜ。
ひとつめは、お客さんに“「質問」を投げかける”というテクニックだ。
質問を投げかける・・・!?
おう。
感情的になっているお客さんに対して質問を投げかけることで、脳が一瞬冷静さを取り戻し、“感情優位”の状態から“論理優位”の状態へシフトしようとするんだ。
まあカンタンにいえば「落ち着きを取り戻す」ってことだな。
オレたちをうまく使ってやってくれねーか?
う、うまく、使う・・・?
ちなみに、お客さんとその友人との待ち合わせは何時からだい?
え・・・えと・・・。
16時30分に青山にある喫茶店で・・・。
なるほど・・・!
さっきのやりとりの中でところどころに質問を挟んでいたのは、そういう意図があったんですね・・・!
へええええ・・・。
●高等テクニックその2
お客様を褒めて「承認欲求」を叶える
次のテクニックは時と場合によるが、一応教えておくぜ。
お客さんとのやりとりの中で、“適度に相手を褒める”というテクニックだ。
相手を褒める・・・!?
人間ってのは、褒められると、相手に対して悪い感情を抱きにくいものなのさ。
だから、相手とのやりとりの中で、相手をうまく褒められそうな場面があれば、すかさず自然な褒め台詞を入れるといいだろう。
そういえば・・・。
さっきのやりとりでも・・・。
いや、謝るのはこっちの方だぜ。
こんなに素敵なレディーに大きな声をあげさせたとあっちゃあ、うちの薬局の名が廃るぜ。
ま、まあ、素敵なレディーだなんて・・・!
まあ、さっきの患者さんに投げかけた褒め言葉は少々大袈裟だったかもしれねえが、人間ってのは誰しも「承認欲求」をもっている。
“誰かから認められたい”っていう欲求さ。
その欲求を叶えてあげることで、相手のネガティブな感情を緩和することができるのさ。
へえええ・・・!!
じゃ、じゃあ、今度私が仕事でポカして、薬局長に怒られたときは、うんと私を褒めてください!
おい。
「クレーム対応の極意」まとめ
薬師寺五郎流クレーム対応、いかがだっただろうか?
クレームは“人”対“人”のビジネスをおこなっているかぎり、逃れられない試練のひとつ。
しかし、クレームの対処法さえ間違えなければ、その試練はステップアップの機会に変化する。
だから、ぜひ、今回のクレーム対応のノウハウは憶えておいてほしい。
あくまでも、俺流のノウハウではあるが、きっと役に立つときが来るだろう。
●薬師寺五郎直伝!クレーム対応の極意
- クレーム対応は「傾聴(けいちょう)」「謝罪」「感謝」の3つの行動が大事!
- 「傾聴」をする際は、「うなずく」「言い訳はしない」「オウム返しをする」「リアクションは大きめ」という4つのポイントを抑える!
- 「謝罪」をする際は、最上級の謝罪を意識する!
- 「感謝」をすることで、クレーマーがファンに変わることも!
- 相手に「質問」することで、“感情優位”の状態が“論理優位”に変わることがある!
- 相手を適度に褒めることで、ネガティブな感情を弱めることができる!
なるほど・・・!
クレーム対応ってこんなに奥が深かったんですね・・・。
そして、相手への気遣いが大切だってことも分かりました・・・。
そうさ。
お客さんの中には、相手が見せるちょっとした機微に対して敏感にアンテナを張り巡らせている人がいる。
そういう人は、相手が少しでも“自分に対して気遣いできていない”と感じるだけで、イライラするもんだ。
んー・・・。
でも、毎回、こんなことを考えて対応するのも面倒くさいなあ。
ゴルァ!!
商売ってもんはな、“人”対“人”の真剣勝負なんだ!
相手の心理を読み取る力をおろそかにするビジネスマンにゃあ、明日は来ないぜ!
大事なのは“ホスピタリティ”なのさ!!
ホ、ホスピタリティ・・・!
びょ、病院!
・・・おい!そりゃ、“ホスピタル”だ!!
・・・“ホスピタリティ”ってのはな、カンタンにいえば“おもてなし”のことさ。
おもてなし・・・!?
そうさ。
どんな商売にも、その先には“人”がいる。
モノを作るのも、モノを売るのも、薬局で調剤するのも全部同じだ。
相手をどうもてなすかがビジネスにおいては重要ってことを憶えておくんだな。
“相手をどうもてなすか”・・・。
ふう。
久々に怒鳴って疲れたぜ。
メイ、あとの仕事は任せたからな。
ホスピタリティとは何かを考えながら仕事しろよ。
ちょ、ちょっと薬局長!!
まだ調剤の仕事終わってないですよ!
どこ行くんですか!?
俺にはYKZ48の握手会が待っている。
え・・・。
さらばだ!
や、薬局長ー!!!
んもーっ!!
私に対するホスピタリティはないってわけ?
むむむむむ・・・!!
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