活字が苦手でマンガばかり読んじゃう人は必見!活字の本がスラスラと読めるようになる【読書のコツ】
みなさん、こんにちは!
私の名前は立花メイ。
「俺の薬局」で働く、新人薬剤師です。
あなたは最近、本を読んでいますか?
本といっても、マンガじゃなく、【活字】の本。
今の時代、スマホでいつでもカンタンに本が読めるようになりましたが、あなたはマンガばかり読んでいませんか?
「活字の本なんて、文字だらけで読んでいて疲れる~」
「読むのに3時間も4時間もかかるような本なんて、途中で飽きちゃう」
「活字の本よりマンガのほうが分かりやすいし、マンガで学べるならマンガでいいじゃん」
もし、上記のように感じている方は要注意!
たしかに、マンガは読みやすい上に面白く、普段ビジネス書を読むのが苦手な人でも、マンガで学べるビジネス書などがあれば手にとってしまうでしょう。
でも、一見万能そうに見えるマンガにも、実は欠点があるんです。
それは、マンガは活字の本に比べて【論理的な説明スキル】を学ぶためには物足りないということです。
・・・というわけで、今回は、活字の本を読むことのメリットと、読書が苦手な人に向けたとっておきの読書術をご紹介します!
たとえば、活字の本って、同じテーマの本を乱読すると、スラスラ読めるようになるって知ってましたか?
立花メイ(25)
Sっ気あふれるスキンヘッドな薬局長が経営する「俺の薬局」で働く新人薬剤師。
可憐でおしとやかかつ、セクシーでグラマーでインテリジェンスでハイパーメディアクリエイターな女性を目指している。
薬師寺五郎(45)
「俺の薬局」を経営する薬局長。
薬剤師界のジム仲間の間でも一目置かれる屈強な肉体と、新人薬剤師である立花メイの暴走を温かく見守る包容力の高さを兼ね備えた、まさにある意味、人類最強の薬剤師。
ここは東京港区にある「俺の薬局」。
その日の私は、ある一冊の本と格闘していました・・・。
もー・・・。
ムリムリムリムリムリムリムリムリー!!!!!!
・・・。
おめー、まーた、本を読むのを途中であきらめたのかよ。
だって・・・。
この本、何書いてるかわかんないんです!
何書いてるかわかんないって・・・。
おめーの読んでる本、有名な漢方薬剤師の書いた本だぞ。
漢方の本がこんなに難しいって知ってたら、漢方になんて興味もたなかったです!
・・・はぁぁ。
この本、おめーが自分で「私、漢方も勉強しちゃいます!薬局長、どうします?私が漢方薬剤師として人気出ちゃったら?ウフフ」なんて言いながら買ってきた本だろーが。
ム、ムムム・・・。
も、もちろん、漢方のお仕事は素敵だなあと思ってますよ。
でも、患者さんにお薬の知識を分かりやすく伝える使命をもった薬剤師が、こんなに分かりづらい本を書いてていいんですか?
いや・・・。
あのなあ・・・。
オレからすりゃあ、この本、とくに分かりづらいなんてことはねーぞ。
というか、この本、ある程度経験を積んだ薬剤師にとっちゃあ、バイブルなんだけどな。
え・・・。
と、とにかく、この本、私には難しすぎるんです!
ふうっ・・・。
・・・メイ、おめーさあ、日頃、本を読んでるか?
本・・?
よ、読んでますよ!
え、えーと、最近だと、「先発の巨人」に「東京レバニラ娘」とか、あっ、今度映画化される「海猫Diary」とかも読みました!!
おい、今言った本の名前、それ全部マンガじゃねーか・・・。
(ゲッ!気付かれてる!
・・・そうか、薬局長、こんなに風貌なのに、やけにマンガに詳しいんだっけ・・・)
ゴ・・・ゴホン。
・・・そ、そうですよ、さっき言ったのは全部マンガですよ。
でも、それが何か?
それが何かじゃねーよ・・・。
おめー、普段、【活字】の本は全然読まねーのかよ?
小説でもいいし、ビジネス本でもいいし、ほら、今、面白い新書とかいっぱいあるだろ?
か・・・活字の本・・・!?
文字だらけの本ってことですか?
ああ、そうだ。
活字の本・・・活字の本・・・。
うう・・・。
最近読んでないかも・・・。
あちゃあ。
で、でもっ、マンガでも別にいいじゃないですか!
マンガってスゴいんですよ!
疾走感のある絵とともに飛び込んでくるセリフ、読者の記憶に残る心打つストーリー!
ほらっ、マンガは日本が世界に誇る文化っていいますし!
文字ばかりだと絶対飽きちゃいますよ!
しかも、活字の本って、やたらめったら長いじゃないし!
あんな本を3時間も4時間も読み続けられるなんて、信じられないです!
私だったら絶対にすぐに飽きちゃう!
・・・メイ、おめーに一言忠告しておく。
マンガはたしかに読みやすい。
オレもマンガは大好きだ。
だがな、マンガばかり読んでいると、「論理的な説明」が下手な人間になっちまうぞ?
活字が苦手でマンガばかり読んじゃう人は必見!活字の本がスラスラと読めるようになる【読書のコツ】
論理的な説明・・・!?
ああ。
論理ってのはな、“あること”と“あること”を結びつけるための「言葉の架け橋」のこと。
論理的な説明をするっていうのはな、“相手が理解できるような分かりやすい言葉”を使って説明をするってことだ。
“分かりやすい言葉を使って説明をする”・・・?
オレたちの医療の仕事は、一般の人には分かりにくい難しい知識だらけだ。
患者さんを安心させるためには、そんな難しい知識を分かりやすく伝えなくちゃいけねえ。
そのためにも、論理的に説明できるスキルは必須なんだ。
論理的に説明できるスキルが必要なことは分かりました!
でも、それが、なぜマンガだと身につかないんですか?
マンガも分かりやすいじゃないですか!
カンタンさ。
マンガは言葉の力だけでなく、【絵】の力も使っているからさ。
【絵】の力・・・!?
おうよ。
マンガが分かりやすく感じるのは、そこに描かれている【絵】がさまざまな情報を補足してくれているからだ。
たとえば、登場人物の表情の変化、吹き出しやコマ割りなどの演出、それらのひとつひとつが感情的な描写を表現し、情報を視覚的に補足してくれている。
だから、読者はストーリーをスラスラ追ってゆけるのさ。
そうですよ!
マンガは活字なんかと違って、【絵】があるのがいいんです!
ほら、よく言うじゃないですか、“百聞は一見にしかず”って。
まあ、てめーの言うことは一理ある。
だがな、患者さんに何かを説明するときに、いちいち【絵】を用意するのか?
・・・!
オレたちの仕事はもちろんのこと、この世のあらゆる仕事には、何かを説明しなけりゃならねえ状況がたくさんある。
その状況でもっとも頼りになるのは、自分の口から発せられる「言葉」だ。
どんな言葉を使えるかによって、相手への伝わり方は変わる。
その言葉を強化するために必要なのが、豊富な語彙(ごい)と長い論理に触れておくことなんだ。
豊富な語彙(ごい)と長い論理・・・。
うまい説明ができる人は、相手の頭の中にさも映像を流しているかのように、分かりやすい説明ができる。
その説明力は、多くの活字に触れてきたことで身につけた豊富な語彙力と、数万字~数十万字から構成される長い論理に触れてきた経験から成り立つものだ。
・・・!
活字の本が大事なことはなんとなく分かりました・・・。
でも・・・私、活字の本って苦手です・・・。
だろうな。
さっきのおめーの話を聞いて分かった。
活字の本よりマンガのほうが全然いいです・・・。
まあ、そう言うな。
おめーだけじゃねえ、この世の多くの人たちがマンガを好む理由はよく分かる。
なぜなら、マンガほど脳の【システム1】にとってラクな表現手法はないからな。
システム1・・・?
なんですかそれ、システムキッチンか何かですか?
いや、システムキッチンじゃねえ・・・。
システム1というのはな、オレたちの脳にある“物事をラクに判断したい”という思考のことよ。
“物事をラクに判断したい”という思考・・・?
よし、せっかくだ。
人間の脳の仕組みについて、少しだけ説明してやろう。
脳の仕組み・・・。
人間の脳にあるふたつの思考
おめーはさっき、活字を読むのがツライと言っていたが、あれは言い換えると、おめーの脳が活字に対して拒否反応を示しているってことだ。
人間の脳はな、基本的には「ラク」をしたいと考える生き物なんだ。
なぜなら、人間の細胞には「自分の身体への負荷をできるだけ減らしたい」という意志がある。
その意志が、脳への負担を自動的に減らそうとしてるんだ。
そのため、脳には「これは面倒だ」と感じた選択を自動的に回避しようとする習性がある。
それがさっき言ったシステム1だ。
ちなみに、このシステム1は脳のふたつある思考パターンのうちのひとつ。
実はオレたちの脳はな、以下のふたつの思考のパターンがあるといわれている。
●システム1
脳への負担を下げるために自動的に高速で動く思考
●システム2
複雑な計算など、注意力を要する作業をおこなう際に動く思考
システム1とシステム2・・・?
ラクをしようとするのがシステム1で、苦労しようとするのがシステム2ってことですか?
おっ、いい例えをするじゃねーか。
その通りさ。
たとえば、おめーがイケメンを見た時に「あの人、カッコイイ!きっとモテるんだろうな」と思うのはシステム1の働きだ。
システム1とは、何かの情報をキャッチした瞬間に“それがどういうものか?”を自動的に高速で判断できる思考だと考えたらいい。
また、おめーが英語を習ったばかりで、アメリカへ旅行に行ったとする。
そのとき、アメリカ人から勢いよく英語で話しかけられる状況を想定してみな。
「この外人さん、何を言っているんだろう・・・?」となんとかして会話を続けようとするだろ?
そのとき、脳はシステム1のようにラクができないわけだから、物事をしっかり考えようとするシステム2の思考が働く。
このふたつの脳の働きは、2002年にノーベル賞をとった「ダニエル・カーネマン」という学者が発表したものだ。
ダニエル・カーネマン・・・?
ああ。
ダニエル・カーネマンは「行動経済学」という学問を研究している研究者だ。
行動経済学とは“人間の行動を変えると、どんな結果が起こるのか?”といったことをひたすら研究している学問のことさ。
心理学みたいですね・・・。
ああ、心理学に近い学問だな。
まあ、つまりはだな。
相手に何かを伝えたいときには、相手のシステム1にラクをさせてあげるような表現を意識すると喜ばれるってことよ。
え、えと・・・。
さっき薬局長は「マンガはシステム1にとって優しい表現」って言いましたけど、そうすると、活字はシステム1には厳しい表現っていう理解でいいですか?
いや、そうとも言い切れないぞ。
何がシステム1にとって優しい表現かは、人それぞれ違うからな。
たとえば、そうだな。
「免疫」っていうワードで検索して、Wikipedaを開いてみな。
えっと・・・。
「免疫」・・・と入力してクリック・・・と。
Wikipediaを開きました。
そこに書かれている文章を読んでみな。
えっと・・・。
免疫(めんえき、immunity)というのは実体的な言葉で、感染、病気、あるいは望まれない侵入生物を回避するために十分な生物的防御力を持っている状態を指す。
免疫には特異的な要素をもつものと、非特異的な要素をもつものがある。
非特異的要素は障壁として働いたり、抗原特異性に拘わらず、広い範囲の微生物を排除する働きをもつ。
わ、わけわかんないんです・・・。
だろ?
まあ、薬学部を出ているおめーが「わけわかんないです!」と言い切るのもどうかと思うが、どちらにしても、難しい言葉のオンパレードだってことはたしかだ。
はい♪
これは私のシステム1には受け入れがたい文章ですね~。
なーに偉そうに言ってんだ。
さっきの免疫に関する文章、おめーにとっては難しいかもしれねーが、免疫学者にとってはすごく分かりやすい文章かもしれねーんだぞ。
えっ?
さっきの文章に出てきた「抗原特異性」とか「非特異的要素」って言葉は、免疫学者にとっては日頃よく使う、いわゆる「標準語」みたいな扱いだろうからな。
ど、どういうことですか・・・?
その表現がその人のシステム1に優しいかどうかを判断するのは、その人の【体験記憶】を考慮しないと分からねーってことよ。
「体験記憶」がシステム1をラクにする!
体験記憶・・・!?
ああ。
下手に説明するよりも、実例を見せたほうが早いだろう。
今からオレが言う3つの文章の中で、おめーが「一番分かりやすい!」って感じた文章を選んでみな。
じゃあ行くぜ。
どの文章も「免疫」という言葉に関して説明した文章だ。
- 免疫(めんえき、immunity)というのは実体的な言葉で、感染、病気、あるいは望まれない侵入生物を回避するために十分な生物的防御力を持っている状態を指す。
免疫には特異的な要素をもつものと、非特異的な要素をもつものがある。非特異的要素は障壁として働いたり、抗原特異性に拘わらず、広い範囲の微生物を排除する働きをもつ。 - 免疫(めんえき)とは、家に帰ってくるたびに「あんた、今日もどっかで飲んできたのね!」という妻の小言に対して、いつの間にか慣れてしまい、なんとも思わなくなった状態を指す。
- 免疫(めんえき)とは、海外ドラマ「ウォーキングデッド」を観ていて、最初はゾンビが怖かったけれど、いつしか慣れてしまって怖くなくなった状態を指す。
え、えと・・・。
「1」はちんぷんかんぷんだし、「2」はなんか男性の話っぽいし・・・。
私は「3」の海外ドラマの「ウォーキングデッド」の例えを用いた文章が一番分かりやすく感じました!
実は私、最近、ウォーキングデッドを毎晩huluで観ているんです。
ボウガンを操るダリルって男性が超カッコイイんですよ♪
なるほどな。
おめーが「3」の文章を選んだ理由、それはな、おめーが今話したように、自分の体験記憶である「ウォーキングデット」に関する言葉が散りばめられていたからだ。
つまり、おめーの脳が一番ラクできる文章が「3」だったってわけだ。
・・・!
人間の脳にはな、新しい情報を得たときに、自分が過去に見たり聞いたりしたことのある記憶、すなわち、体験記憶に紐つけて処理する性質がある。
新しい情報を未知の情報として処理するよりも、一度体験した情報に紐付けて処理するほうがラクだからな。
体験記憶に紐つける・・・?
さっきの3つの文章でいえば、ウォーキングデッドを観たことがない人は絶対に「3」は選ばねえはずだ。
なぜなら、脳の中にウォーキングデッドの体験記憶がないわけだからな。
ちなみに、既婚男性だったら、「2」を選ぶ人が多かっただろうな。
へええぇ。
この体験記憶の現象は日常の至るところで見られるぜ。
たとえば、おめーが最近何かの映画に感動したとして、その映画の登場人物がCMに出ていると、思わず目を奪われるだろ?
は、はい・・・!
自分が直近で体験した記憶ほどその効果は発動しやすい。
ただ、過去に何度も経験して脳の記憶に定着しているような体験も、同じようにその効果を引き出しやすいんだぜ。
そうなんですね・・・。
少し話が脱線してしまったが、まあ、カンタンに言うとだな。
マンガが読みやすいのは、そこに書かれている多くの表現が、体験記憶を意識したものだからだ。
たとえば、マンガの場合、「そうそう、それそれ!そんな感じ!」という【メジャー感】を利用した表現も多い。
メジャー感?
メジャー感ってのは、一目見れば誰にでも分かる定番の表現だと憶えておけばいい。
例えば、マンガで悪そうなキャラを描くとしたら、以下のようなキャラを描くと悪そうに見えるだろ?
(引用元:沈黙のWebマーケティング)
はい、どのキャラクターも悪そうです・・・。
これらのキャラクターはいわゆる、“誰が見ても悪役にしか見えない”表現で構成されている。
モヒカンだし、目はつり上がってるし、ナイフをもってるし、背景は黒だし・・・と。
こういう、「そうそう、それってそんな感じ、そんな感じ」という表現を取り入れるのが、メジャー感を表現するってことさ。
な、なるほど・・・!
え、えと・・・。
一旦、頭の中を整理してみます。
脳にはシステム1とシステム2という働きがあって、システム1はできるだけ脳にラクをさせようと思考する。
で、システム1はラクをするために、新しい情報を受け取ったときに、自分の中にある体験記憶と紐付けて処理しようとする。
で、マンガがスラスラ読めてしまうのは、その体験記憶を意識した表現がふんだんに使われているから。
その表現を【メジャー感】という。
お、よく整理できたじゃねーか!
活字の本をラクに読むためのステップ
さて、ここからが本題だ。
おめーはさっき「マンガはシステム1に優しくて、活字の本は逆に厳しいんですか?」と聞いた。
それは半分当たりで、半分外れだ。
なぜなら、活字の本も読み方によっては、システム1にそれほど負荷を与えず読めるようになるからさ。
えっ!!?
活字の本がラクに読める方法があるんですか!?
教えてくださいっ!
カンタンさ。
本を読む順番を調整するのさ。
じゅ、順番を変える・・・?
活字の読書に慣れていないのなら、同じテーマに関する本をできるだけたくさん買って同時に読んでみろ。
えっ!?
今からオレがAmazonで「漢方」に関する本を10冊注文してやるから、それらの本が届いたら、気になった本から適当に読んでみな。
じゅ・・・10冊・・・!!!?
それ全部活字ですよね・・・!?
まあな。
活字と一口にいっても、いろいろな見せ方の本があるから、自分が読みやすそうな本から読めばいいさ。
おめーがやるべきことは、まずは本を【乱読】することだからな。
乱・・・読・・・?
乱れながら本を読むってことですか・・・?
な、なんかイヤらしい・・・。
お、おめー、何を想像してるんだ・・・。
乱読ってのは、たくさんの本のページを開きながら、気になった本や気になった箇所から読んでいくってことを指すのさ。
気になった本や気になった箇所から読む・・・?
ああ、そうやって読めば、おめーのシステム1にもっとも負荷が低い本、すなわち、おめーにとっての【最初の一冊】が見つかるはずだろうからさ。
私にとっての最初の一冊・・・?
「最初の一冊が重要な理由」
読書は最初の一冊が重要だ。
さっきの体験記憶の話で分かったと思うが、どの本を読みやすい・分かりやすいと感じるかは人それぞれだ。
なぜなら、人それぞれ、体験記憶は違うわけだからな。
だから、まずはたくさんの本を揃え、その中で、自分がもっとも読みやすそうな本を選ぶ。
その際のポイントは、自分の体験記憶に関するワードができるだけ多く使われている本を選ぶことだ。
なぜなら、体験記憶がシステム1への負荷をラクにしてくれるはずだからな。
そして、その最初の本を頑張って読んでしまえば、そのテーマに関する知識がある程度身につく。
その状態でほかの本を読めば、「そのテーマの知識が脳内に既にある」という前提条件がおめーにとっての新たな体験記憶となり、同じテーマについて書かれたほかの本も読みやすくなるだろう。
な、なるほど・・・。
最初に読む一冊が大切・・・と。
そっか!
私がさっき投げ捨てた本、あれきっと、最初の一冊にしては難しすぎたんだ・・・。
よし。
本の注文が終わったぜ。
書籍代はおめーの勉強代として、オレがおごってやろう。
お急ぎ便で頼んだから、明日には着くはずだ。
明日はうちの薬局の休業日だから、この部屋で本を読んでいてもいいぜ。
えーっ、せっかくのお休みなのに・・・。
なんだ。
なんなら、配送先をおめーんちに変更してやろうか?
だ、大丈夫です!
明日ここに来ます!
(うちにそんなにたくさん本が届いたら、邪魔だもん!)
そして、翌日。
「俺の薬局」に薬局長セレクトの10冊の本が届きました。
ひゃああああああ・・・。
普段、活字の本なんて読まないから、こんなに活字の本が揃うと、頭がクラクラする・・・。
なんだおめー。
読む前からギブアップか?
ム、ムムム!
よ、読みますよ!
ちょっと立ちくらみがしただけですっ!
よし・・・!
じゃあ、気を取り直して、張り切って読むぞ~!
(ふう・・・。
10冊の本を買ってみたものの、あの10冊の中からあいつにとっての【最初の一冊】が見つかればいいんだがな・・・。
まあ、あいつのシステム1に優しそうな本も何冊か入れておいたから、大丈夫だとは思うが・・・)
えっと・・・。
まず、この本は・・・「漢方とその歴史」。
うーん、文字が多いなあ、あと回しにしようっと。
えっと、お次は「漢方医学のススメ」。
これはなんとなく読みやすそうだけど、学校の教科書みたいだなあ。
ちょっとモチベーション上がんないかも。
続いて、「漢方薬剤師が学ぶべき行動心理学」。
なにこの本・・・。
難しい漢字だらけ・・・、こんなの誰が読むのよ・・・。
えっと・・・こっちは・・・。
「薬剤師マキの調剤なる日々~ディレクターズエディション」・・・。
なんか変なタイトル・・・。
あれっ・・・?
この本、普通の解説書じゃなくて、ストーリー仕立てになってる。
『薬剤師少女が世界を救う』
何この設定・・・?
なんかわけ分かんないけど、この本から読んでみようかな。
(・・・よし、案の定、あの本から読み始めたか。
まずは一冊読むことが大事だな・・・)
・・・1時間経過
なっるほど~!!!
漢方の歴史ってこんなにロマンティックだったのね!
薬剤師マキちゃんの活躍に感動しちゃった!
それにしても、この本、1時間ほどでスラスラ読めちゃった。
こんないい本があるなら、全国の本屋さんも医学書のコーナーにこの本、平積みすればいいのに!
まどマギのネタをちょいちょい挟み込んできているのも面白かったな~。
(注:まどマギ=魔法少女まどか☆マギカの略)
おっ、無事に一冊目を読み終えたようだな。
へへへ~!
薬局長、私、漢方に詳しくなっちゃいましたよ♪
何が「詳しくなっちゃいましたよ♪」だ。
その本はストーリー形式になっている分読みやすいが、書かれているノウハウはほかの本よりも薄いぞ。
漢方に詳しくなりてーなら、すぐにほかの本も読むんだな。
(・・・とはいえ、一冊目をきちんと読んだってことは、まずは第一関門クリアだな)
ブゥーッ。
分かってますよーっと。
じゃあ、2冊目はどれにしようかな・・・。
教科書っぽい「漢方医学のススメ」にしてみよっと。
・・・。
・・・30分経過
ううううー。
ツ、ツライ・・・!!
面白くなーい!!!
(ははは・・・。
あいつ、ちょっと難しい活字の本になった途端、音を上げたか)
うううー!!
薬剤師マキちゃんの本はとっても読みやすかったのに、この本、全然面白くない・・・!!
おい、メイ、じゃあ、その本を読むのは中止して、ほかの8冊の本を適当にパラパラと読んでみたらどうだ?
10分ずつくらいなら、読めるだろ?
じ、10分くらいなら・・・。
で、でも、10分でいいんですか・・・?
ああ、まあ、軽い気持ちで読んでみな。
・・・1時間経過
・・・ん?
あ、あれっ、この本に書いてあることって、さっきの本にも書いてあった。
(お、ようやく気付き始めたか。
そうさ、本はたくさんあっても、どの本にも同じように取り上げている共通テーマがあるはず。その共通テーマさえ見つければ、知識のインプットは一気に加速する)
ここにも同じこと書いてある。
・・・。
あっ、この本にも。
だから-、ここはさっきの本に書いてあったんだから、もう十分理解できてるんだって。
・・・って、あれっ、私、いつの間に理解しちゃってたんだろ!?
(おっ、発動したな。乱読による“化学反応”が)
あれれっ、急に本がすんなり頭に入ってきた。
・・・ふむふむ。
ここがこうなって、なーるほど!
そして、私は、薬局長に買ってもらった本のうち3冊を、その日のうちに読破してしまったのでした。(えへへ~)
メイ、どうだ?
活字の本、とくにストレスなく読めただろ?
は、はい・・・。
なんだか急に読みやすくなりました。
それはな、おめーの脳が乱読によって化学反応を起こしたからさ。
化学反応・・・?
ああ。
脳は体験記憶を積み重ねることで、化学反応を起こし、新たな“気付き”を得るんだ。
たとえば、あるパーティー会場で、メガネをかけた男性、セレブそうに見える男性、レスラーみたいにゴツイ男性の3人が仲良く談笑している光景を見たとする。
普通に考えると、単純に印象が異なっているだけの3人組だが、もし、ドラえもんのマンガが好きな人がその光景を見たらどう思う?
おそらく、こう思うはずだ。
「のびた、スネ夫、ジャイアンみたいだ」と。
そのように脳が理解した瞬間に、その人の頭の中には、その3人組とドラえもんの記憶が結びつく。
そして、その後、ドラえもんのマンガを読んだときに、その3人のことを思い出すかもしれない。
そういった物事の関連性をベースとした“気付き”を得ることを、脳の化学反応と呼んだんんだ。
“気付き”を得る・・・!
つまり、さっき、おめーはたくさんの本を乱読したことで、そこに書かれていた共通の内容に気付いた。
その“気付き”がおめーの脳内で化学反応を起こし、それぞれの本の内容を紐付け、理解スピードを上げたってことなのさ。
そして、それは同時に、おめーのシステム1への負荷の軽減にもつながった。
だから、活字の本であっても、最後まで苦にならず読めたわけさ。
へええぇぇ・・。
本を乱読するメリットは、そうした化学反応を起こせるってことさ。
化学反応が起こることで、学習や読書スピードが飛躍的に高まるケースはたくさんある。
(さっき、私の頭の中にビビビって走った雷は、この化学反応だったんだ・・・!)
ちなみに、読書をする際は、読み方を変えるだけでも化学反応を起こせるぜ
たとえば、本といっても、ご丁寧に最初から最後までしっかり読む必要はないんだ。
たとえば、以下のような読み方をおこなうことでも、化学反応は期待できるだろう。
「本の読み方のバリエーション」
1、「目次」に注目する
目次はその本の要点がまとめられているため、目次を読めば、その本に何が書かれているかが大体分かる。
で、目次を読んで気になったページから読み始めればいい。
これは時間のないときにオススメの読書法だ。
2、「あとがき」を先に読む
本の最後に書かれた「あとがき」には、その著者がその本を書くに至った経緯や心理が描かれている。
つまり、あとがきを先に読むことで、著者の気持ちを理解したのちに本を読めることになる。
そうすれば、本の中に仕込まれた著者の思いや文脈に気付きやすくなるだろう。
3、「付箋紙」と「蛍光ペン」を使い、大事だと思ったところに印をつける
大事だと思った文章には蛍光ペンで線を引き、あとからそのページへ辿りつけるようにページの端には付箋紙を貼る。
そうしておけば、その本を読み返したときに、「なぜ自分はこの文章に線を引いたのか?」という体験記憶を呼び起こし、インプットが反復され、より記憶に定着しやすくなる。
本って「あとがき」から読んじゃってもいいんですね・・・!
そうさ。
小説とかだとネタバレになっちまうが、ビジネス書とかなら問題ねーだろ?
あとがきを読むことによって、もしかすると、著者と自分との共通点が見いだせるかもしれねえ。
そうなれば、その本の内容を【自分事】に感じやすくなり、本を読むモチベーションが高まる可能性が高いのさ。
なるほどです・・・!
また、さっきはオレが選んだ10冊を読んでもらったが、今後、同じように本を一気買いする場合は、以下の本をバランスよく読むといいだろう。
「乱読の極意」
1、「マンガで学ぶ~」的なマンガ版
マンガは内容が薄くなりがちだが、活字が苦手な人にとっては、知識を学ぶ取っかかりの一冊となる。
また、マンガでなくても、会話調形式で進んでいく本や(たとえばこの「俺の薬局」のページのように)、小説などストーリーがハッキリしている本は、感情表現がたくさん入っているため読みやすい。
2、自分の【体験記憶】にある言葉がたくさん載っていそうな本
自分の体験記憶にある言葉が載っているだけで、その本を【自分事】に感じ、読書のモチベーションが高まる。
3、そのテーマにおける「ベストセラー」の本
多くの人が名著として評価する本は、それなりに分かりやすく読みやすい。
また、そのテーマに関する本における【基準値】になりやすく、ベストセラー本を一冊読めば、ほかの本も読みやすくなる。
4、要点だけがまとめられたシンプルな本
ある程度そのテーマに関する知識を身につけたのなら、用語解説だけの本を読んでみるのもオススメ。
用語を見ながら、その用語に関する解説を頭の中に組み立てることができ、その結果、その用語がさらに記憶に定着しやすくなる。
5、より専門的な本
「1」~「4」の本を読み終えたあとは、そのテーマに関する基本的な知識は既に頭の中にインプットされているため、難しい本でも随分ラクに読める。
なるほどです!
このリストがあれば、本を買うときに困りませんね!
ああ、本は一冊だけを大切に読む必要はねえ。
慣れないうちは、いろいろなバリエーションの本を乱読するといいんだ。
よっし!
じゃあ、これからのお勉強では本をたくさん買ってみます!
そこで、薬局長!
なんだ?
お給料上げてください♪
あ、すまねえ。
うち、昇給年一回なんだわ。
・・・。
・・・。
※本コンテンツはフィクションであり、実在の人物・団体との関係はございません。