共感とは相手の感情に同意すること!論理的な人は感情も出したほうがいい理由

みなさん、こんにちは!
私の名前は立花メイ。
「俺の薬局」という薬局で働いている、薬剤師界のフォースにバランスをもたらす者です。

あなたは誰かに何かを提案(プレゼンテーション)することは多いですか?
もし、あなたが営業職として働いているのなら、お客様への提案は日常茶飯事ですよね。
その提案、うまくいっていますか?

今、本屋に行くと、営業やプレゼンのコツを書いた本がたくさんありますが、今回ご紹介するノウハウは、うちの薬局長「薬剤師五郎」仕込みの営業ノウハウ。
薬局長曰く、「営業や提案には論理だけでじゃなく、“感情”が大事」らしいんです。

薬局長は、“自分のカッコ悪いところ”を相手に見せられるかどうかが大事って言ってますが、それってどういうことなんでしょう?

今回はビジネスに関わるすべての人にお読みいただきたい営業のヒントです。

今回の登場人物

立花メイ(25)

立花メイ

「俺の薬局」で働く新人薬剤師。
スターウォーズを観たことがないが、ヨーダのゆるキャラ的なビジュアルに興味をもっている。
ただ、最新作ではヨーダが出ていないと分かり、観に行くかどうか悩み中。

薬師寺五郎(45)

薬師寺五郎

「俺の薬局」を経営する薬局長。
スターウォーズを観たことがないが、新ヒロインが気になっている。
スターウォーズはレイア姫よりアミダラ派。

山本エミ(32)

山本エミ

とある企業で働く営業ウーマン。
元々は「俺の薬局」で働いていた。
薬局長である五郎のスパルタ指導のもと、客商売の流儀をおぼえ、患者さんからの信頼も厚かった元薬剤師。
3年前、自分の可能性を試したくなり、一念発起で薬剤師から異業種の営業職へ転職したが・・・。

ここは東京港区にある「俺の薬局」。
今日も私、立花メイは、とってもエレガンスにお仕事をこなしていました。

さて、今回は、ある日の閉店間際の出会ったひとりの患者さん(?)とのお話です。

ふうっ・・・。
さっきの人で今日の患者さんは最後だったかな。
さあ、閉店準備しようっと。

・・・あれ?
まだ患者さんがいる・・・。


ん?
あの患者さんって処方箋出してもらってたっけ?

とりあえず、聞いてみよ・・・。

間

間

間

待合室

あ、あの・・・。
すいません・・・。
お待ちいただいているところ恐縮なんですが、処方箋を提出していただいていたでしょうか?

いいえ。

あ、そ、そうですか。


え、えと、すいません・・・。
実はそろそろうちの薬局の閉店時間なんで・・・。

・・・。
(ジー)

・・・?

あなた、いつからここで働いているの?

いつから?
あ、半年くらい前からですが・・・。

ふふふ、そうなのね。

・・・?

よかったら、薬局長を呼んでいただけないかしら?

や、薬局長・・・ですか?

(この人なんで薬局長を呼ぼうとしてるの?
私何かやらかしたっけ・・・?)

間

間

間

薬局長ー!
患者さんがお呼びです。

ん?
お客さんが俺を・・?


・・・おめー、もしかしてまた何かミスやらかしたんじゃねーだろうな。

えっ、いえいえいえ!
私何もやらかしてないです!


・・・多分・・・。

多分って・・・おめーなあ・・・。


・・・ん?

おおー!!
エミじゃねーか!
おめー、なんだよ、久々だな~!!

薬局長!
お久しぶりです!

エミ

俺の薬局

営業や提案を成功させるには感情を出すことも大事!?論理的な人こそ身につけたい感情型アプローチ

なんだよ-。
おめー、来るんだったら、電話のひとつでも寄こせってんだ。
水くせーなあ。

あ、いえ、ちょっと近くまで寄ったもので・・・。
急に来ちゃってすいません・・・。

しかし、突然どうしたんだ?
なんか具合でも悪いのか?

・・・あ、い、いえ、なんとなく、久々に薬局長の顔を見たくなったんです。

・・・。

薬局長、この方は・・・?

ああ、こいつの名は「山本エミ」。
昔、うちの薬局で働いていた元薬剤師だ。

えっ!?

はじめまして。
私の名前は山本エミ。


私もあなたと同じように薬剤師としてこの薬局で働いていたの。
・・・といっても3年も前の話だけど。

・・・!

そっか。
おめーが辞めてからもう3年も経つんだな。

はい。

この薬局の雰囲気、懐かしいです。
そうそう、私はこのカウンターに立って患者さんの対応をしていたんですよね。


あの頃は私、毎日、薬局長に怒られてました(笑)

そーでしょ?そーでしょ?
薬局長、すーぐ人を怒るんです。
もー、怒りすぎて、髪の毛ぜーんぶ抜けちゃってるし。

ふふふ。
薬局長の髪の毛は私がいた頃から無かったわよ(笑)

・・・おい、メイ、この髪型はな、「スキンヘッド」っていうんだ。
ス・キ・ン・ヘ・ッ・ド。
憶えておけよ。

あの頃、薬局長にはたくさん怒られたけど、社会人としてすごく成長させていただきました。

ははは。
そりゃあよかった。


おめーはメイに比べて伸び代あったもんな。
辞めるのが惜しいくらいに優秀な薬剤師だったぜ。

えーっ!!?
なんですか、それ-。
私もがんばってるのにー!!

ふふふ。
メイちゃん・・・だっけ?
あなた、おもしろい子ね。

お、おもしろい・・・!?
(カワイイじゃなくて、おもしろいってどういうこと!?)

あ、そ、そういえば、エミさんはなぜうちの薬局を辞められたんですか?
もしかして、薬局長の“セクハラ”が原因とか・・・!?

おい・・・。
俺がいつおめーに“セクハラ”したんだ?

してますよー!
いっつも、私の前でYKZ48の話ばっかりしてるじゃないですかー。
あの子がカワイイとか、あの握手会は最高だったとか。
ニヤニヤとやらしい顔をしながら。

はああ?
それのなにが悪い!?
YKZ48は俺にとっちゃあ、女神なのさ。
信奉するアイドルのことを毎日思い浮かべるのは自然だろーがー!

ふふふ。
薬局長、相変わらずアイドル好きなんですね。


メイちゃん、大丈夫よ、私はセクハラなんてされてないわ。


私がここの薬局を辞めたのはね。
自分の可能性にチャレンジしてみたくなったからなの。

自分の可能性・・・?

そう。
この薬局で頑張り続けることでも、薬剤師として成長するチャンスはあったわ。
でも、私がチャレンジしたかったのは、別業界で頑張ってみることだったの。

別業界・・・?

そう。
実は私、ここを辞めたのち、ビール会社に転職したのよ。
今、「アサメ」っていうビール会社で飲食店にビールを卸す営業をやっているの。

アサメビール

アサメっていうビール会社・・・。
アサメって、あの「アサメビール」ですか!?

そうよ。

すごいっ!!

そうだったな。
おめーがアサメビールの営業職に転職したと聞いたときはビックリしたぜ。
ただ、おめーだったら、お客さんとのコミュニケーションもそれなりにできるし、営業職にわりと向いているのかもな。

薬局長、ありがとうございます・・・。

私はこの薬局でいろいろな患者さんと触れあううちに、人とコミュニケーションをする楽しみを知りました。
そして、やがて、ほかの業界における客商売の仕事にも興味をもっていったんです。
そこで、思い切ってビール会社の営業職に転職してみました。

ただ・・・。

・・・。

おめー、なんだかさっきから浮かねえ顔をしてるな。
・・・今の職場でうまくいってないのか?

・・・。

!?

おめーがうちの薬局に足を運んだのは、仕事で悩んでいることがあるからじゃねーのか?

・・・さすが、薬局長です。


はい、実は・・・。

エミさんは今の会社でのお仕事のことを静かに話し始めました。

なるほど。
営業成績が思うように伸びていない、と。

はい・・・。
私、押しが弱いのか、営業する飲食店さんに、契約まであと一歩のところで断られるケースが多くて・・・。

慌てるエミ

・・・。
アサメビールは俺もよく飲むし、美味いビールだと思うぞ。
商品力に問題はないはずだから、おそらくはおめーの営業スタイルが問題なんだろうな。

・・・。

俺はおめーの営業を実際に見たわけじゃねえ。
でも、もし、おめーの性格が3年前から変わっていないのであれば、改善ポイントはなんとなく分かるぜ。
・・・というか、普通の人間はそうそう自分の性格を変えられないから、おそらく、今から言うアドバイスは図星かもしれねえ。

そ、そのアドバイス聞きたいです・・・!!

おめーさあ。


営業の際、自分の「感情」をちゃんと相手に伝えてるか?

・・・感情・・・!?

ああ、そうさ。
たとえば、相手が契約してくれなかったときに、ちゃんと「悔しいっ!!」って感情を表しているのか?ってことさ。

悔しいという感情

“悔しい”という感情・・・?

もしかして、契約を断られたとき、「そうですか、失礼いたします」とすんなり引き下がってるんじゃーねーか?

・・・えっ!?


は、はい。
断られたら、これ以上相手の時間を使わせるのも悪いと思って、すぐに引き上げています・・・。

やっぱりな。
それが原因だ。
“聞き上手”のお前っぽいな。

“聞き上手”の私っぽい・・・?

「薬局の窓口で働くこと」と「ビール会社の営業で働くこと」、この両者で求められることには大きな違いがある。
薬局の窓口で働く場合は、患者さんの話を聞く「聞き上手」である必要があるが、一般的な営業職で働くなら、自分から相手に話しかける「話し上手」でならなきゃいけねえ。
まあ、そんなことは賢いお前のことだから、すでに分かってると思うがな。


ただ、問題はここからだ。

(ゴ、ゴクリ・・・)

単に「話し上手」になるといっても、商品のスペックなどの話をベラベラと饒舌(じょうぜつ)に喋っているだけじゃあいけねえ。
「話し上手」になるにはな、「ロジカル(論理的)な話し方」「エモーショナル(感情的)な話し方」、両方のバランスが求められるのさ。

「ロジカル(論理的)な話し方」「エモーショナル(感情的)な話し方」・・・!?

ああ。
世の中は「論理」「感情」のバランスで動いているからな!

「営業や提案の成功率が上がる!相手の心を動かす感情型アプローチのコツ」

おめーは「ジャパネットたかた」の「高田明社長」を知っているか?

高田社長は既に社長職を引退しているが、高田社長の喋りはテレビ通販において伝説となっている。
テンション高く商品を紹介し、視聴者を番組に引き込み、売上げにつなげていくその手法に、多くのビジネスマンが関心をもったものだ。

もし、高田社長のことを知らないのなら、以下の動画を観てみるといい。
以下の番組はUstreamで生配信されていた「相手の心をツカむ!話術」という番組の録画だ。
高田社長の喋りの秘訣が分かるだろう。

さて、話を戻すぜ。

俺が今、なぜ、この高田社長の話題を取り上げたかというと、高田社長の喋りには営業や提案を成功させるためにもっとも重要な要素が含まれているからだ。

それは「感情」を込めるということ。

なぜ、高田社長があれほど高いトーンで話しているのか?
なぜ、高田社長がああいった言葉の選び方をしているのか?

それらはすべて、視聴者に自分の「感情」を知ってもらうためだったんだ。

自分の「感情」を知ってもらう・・・?

おお、そうさ。

な、なぜ、視聴者に自分の感情を知ってもらう必要があるんですか?

いい質問だ。
その答えはな。

視聴者(お客様)に「共感」してもらうためだ。

共感・・・!

営業・提案にもっとも大切なのは、相手に「共感」してもらうこと

「共感」って言葉はいろいろなビジネス本で見かけるよな。

は、はい・・・。
マーケティングの本などを読んでいても、しょっちゅう出てきます。

じゃあ、おめー、この「共感」って言葉の意味が分かるか?

えっ・・・?
「共感」の意味ですか・・・?

・・・。

わ、分からないです・・・。
共感ってその言葉のまんまじゃないんですか?

なるほどな。
共感の意味を正しく理解できていない今のおめーじゃあ、そりゃあ、営業が失敗するぞ。


共感って言葉はな、シンプルなように見えて、実は深い文脈をもった言葉なんだ。

えっ・・・。

共感とはな。
すなわち、“相手の感情に同意する”ってことだ。

“相手の感情に同意する”・・・!?

そうさ。
感情が分からないものに“共感”なんてできるはずがない。


“共感”とは同じ感情をともに感じるって意味だ。
つまり、相手に共感してもらうためには、こちらの“感情を見せる”必要がある。

共感できるくらい笑顔の店員

あっ・・・!

共感が大切な理由は、相手に共感してもらえれば、それが相手にとっての“自分事”になりやすくなるからだ。
そうすれば、相手はその商品やサービスに興味をもち始める。


だから、営業や提案においては、まずは相手に共感してもらうことが必要なんだ。

!!

エミ、おめーは頭のいいやつだ。
仕事もできるし、愛想もそれなりにいい。
ただな、うちの薬局で働いていたときから、ひとつだけ気になっていたことがあった。


それはな、おめーが“感情を前面に出すってことが苦手”っってことだ。


感情を前面に出すってことはな。
ただ、ニコニコと笑顔で居続けるということじゃない。


自分が何かうまくいかないことが起きたときに、怒ったり、悔しがったり、落ちこんだり、泣いたりすることなのさ。

怒ったり・・・悔しがったり・・・?

ああ。
それも“相手に伝わりやすいアウトプット”でな。

感情を出す際は、相手に伝わりやすいアウトプットを意識する

“相手に伝わりやすいアウトプット”・・・?

たとえば、その感情を“表情”に出したり、“声”に出したり、相手に送るメールの“文面”で表したりするってことだ。

表情豊かな女性

・・・!

・・・私、言われてみれば、営業の際はいつもただニコニコ笑ってただけでした・・・。
お客様に営業を断られても、愛想笑いばかりして・・・。

だろうな。
おそらく、おめーは普段から相手に気を遣いすぎているんだ。


「相手に自分の我を伝えるのはよくない、カッコ悪い」って思い込み過ぎてる。
でもな、それがかえって、相手に気を遣わせていることもあるのさ。

!!

逆の立場で考えてみろ。
感情の分からない相手とやりとりする際って、「こいつ、なに考えてんだろ・・・」という心理負担がかかるだろ?
その結果、「こいつ、めんどくさそーだし、あまり関わらないでおこう」っていう心理になってしまうのさ。


人間はな。
何考えているか分からないやつとコミュニケーションをとるのが一番疲れるのさ。

“何考えているか分からないやつとコミュニケーションをとるのが一番疲れる・・・”?

表情の分からない人

おう、そうさ。
もし、相手が感情むき出しで来た場合、「あ、こいつ嫌いだわ」って感じたら、接するのをすぐに止めて、自分の時間を大切にできるだろ?
“何考えているか分からないやつ”の場合は、相手の性格を知るまでに時間がかかってしまう。

なるほど・・・。

ぶっちゃけ、客商売において一番怖いのは、お客様にとって自分が「無関心」の対象になってしまうことだ。
感情を出すのがうまい営業は、相手から嫌われることが増えるかもしれないが、相手に“共感”されて好かれることも増える。
相手に関心をもたれない「無関心」な状態が一番ダメなんだ。

相手が無関心にならないために、自分から感情を出して、自分を分かりやすく見せる・・・ということなんですね。

そうさ。
さすが、飲み込みがいいな。

ただ、気をつけないといけないのは、感情の演出、すなわち、どんな風にアウトプットをするか、だ。
たとえば、悔しいからといって子供みたいにダダをこねるような感情の見せ方をすると、ただ嫌われる一方だ。
だから、感情の見せ方、つまり、感情の演出には気をつけろ。


感情を演出するポイントは、相手ができるだけ不快にならないように感情を出すことだ。

相手ができるだけ不快にならないような感情の演出を意識する

相手が不快にならないような感情の演出・・・!?
そ、そんなのってできるんですか?

カンタンさ。
ポイントはな、“悔しいことがあっても、相手を責めるのではなく、自分を責める”ってことさ。


たとえば、ある商品が売れなかったとする。
その際、悔しい感情を表現するのなら、「くそー、この商品、ほんっと売れねー!」「くそー、このお店に二度と来てやるか!」なんて言ってしまってはいけねえ。
(まあ、当たり前だが・・・)


悔しいときはな。
自分を責めるように表現するんだ。

「くそー、こんなによい商品なのに、よさを伝えられない自分が情けないです・・・!」

みたいにな。

・・・!

もっとカンタンにいえば、相手に感情を見せるときはな、“自分のカッコ悪いところ”を相手に見せればいいのさ。
カッコつけようとするから、言葉の選び方を間違ったり、感情の矛先がおかしなことになる。
そんな状態で発した感情なんて、相手に正しく伝わらない。

私・・・。
心のどこかでカッコつけようとしていたのかもしれません・・・。

まあ、エリートによくあることさ。
ただ、そこに気付き、乗り越えてこそ、スーパーエリートになれるんだぜ。

・・・!

そうだ。
感情を出すメリットをもうひとつだけ教えておいてやろう。


それはな、感情を出すことで、“相手に憶えてもらいやすくなる”ってことだ。

感情を出すことで、相手に憶えてもらいやすくなる

“相手に憶えてもらいやすくなる”・・・?

ああ、そうさ。
結局、人間の心に残る情報って、感情のほうが大きいんだ。
いくらスペックを事細かく教えてもらったとしても、「あの営業さん、いい人だったな」という感情のほうが心に残る。

た、たしかに・・・。
言われてみれば、自分の記憶に残っている情報って、自分がその時、その場所でどんな感情を抱いたかということが多い気がします・・・。

こういう言葉があるぜ。
『営業は相手の記憶に残ることが大事』ってな。

『営業は相手の記憶に残ることが大事』・・・?

そうさ。
相手の記憶に残れば、リピート注文してもらいやすくなるだろ?
たとえ、初回の営業がうまくいかなかったとしても、相手の記憶に残っていれば、後日注文が入るかもしれない。

・・・!

余談だが、今のご時世、感情を出す人が減っている。
なぜなら、感情を出すにはエネルギーがいるからな。


さらには、TwitterやFacebookといったソーシャルメディアの隆盛で、感情を手軽にアウトプットできるようになった。
でも、それはあくまでも、画面の中でのみ発信される感情だ。
今、感情を積極的に表に出す人が減っているのさ。


しかも、なぜか、感情を出すことがよくない、という風潮ですらできはじめている。


でもな、だからこそ、感情をしっかりと表に出せる人間ってのが貴重なのさ。


なんせ、この世の中は・・・。

「論理」と「感情」のバランスでできている、でしたよね。

ははは。


薬局長、ありがとうございました。
すごく大切なことに気付けました・・・。

おめーは薬剤師時代、相手の言うことに耳を傾け、相手が求めている返事をするのが得意だった。
つまり、“聞き上手”だったんだ。


だから、相手に対して自分から感情を表すことはあまりなかった。
なぜなら、“聞き上手”は基本的に、感情を“受ける”側だからな。
自分の感情を出しにくいんだ。

・・・!
私が営業職に転職して感じていた違和感はそれだったんですね・・・。

さすが薬局長です・・・。
いつも私のことを的確に分析してくれる・・・。

おっ。
いいじゃねーか、その笑顔。

えっ・・・!?

おめー、今、すっごくいい笑顔をしてたぜ。
おめーの笑顔を見たら、俺もおめーにアドバイスしてよかったなって思ったさ。

薬局長・・・!

どうだ?
スッキリしたか?
じゃあ、明日からまた頑張れるよな。


おめーは俺の秘蔵の教え子だ。
きっと明日からガンガン成果をあげられるようになるさ。

はいっ!!

間

間

間

そして、1週間後。

間

間

間

居酒屋

だーかーら、お前さんところのビールはうちに置かないって。
何度言えば分かるんだい?

あ、あの、でも、うちのビール、本当に美味しいんで、このお店のもつ煮込みとの相性最高だと思うんです!
一週間だけでも、一週間だけでもいいので、置いていただけないでしょうか・・・?

そう言われてもよー。
すでに仕入れているビール会社との関係もあるしな。
申し訳ないが、帰ってくれ。

むむむむむ・・・。

くやしいです!!!

な、なんだ・・・??

自信をもってオススメできるビールなのに、私の力が足りず、そのよさをお伝えできなかったことが、本当に残念です。

うちのビールを置いていただけないのはとっても残念ですが、別のお店を回ります。
お忙しい中、お時間をとっていただき、本当にありがとうございました!!

・・。

・・・ちょっと待ちな。

・・・?

・・・一週間だけだぜ、とりあえず一週間だけなら置いてやる。
客の反応が悪けりゃ、すぐにケースごと返品するからな!

あ、ありがとうございます!!!

・・・ったく。
うれしいときと悲しいときでコロコロと表情を変える姉ちゃんだな、まったく。
あんた、イマドキ珍しい営業だな。

ありがとうございますっ!!
いつでもスキンヘッドになっていい覚悟で頑張っています!

な、なんだそりゃ。

笑顔のエミ

間

間

間

そういえば、先週来られたエミさん、キレイな方でしたね~。

ああ、そうだろ?
あいつはな、うちの薬局のマドンナ的存在だったのさ。

へー。
ま、今はこのビュティーフル&エレガンスな私がいますけどね。

は?
何言ってんだおめー。
色気なんてまだまだないくせに。

な、なにそれー!!
そーいう発言がセクハラだって言うんです!
セ・ク・ハ・ラ!
ほんっと失礼しちゃうっ。

(ま、こいつの場合、このコロコロ感情が変わるところが、エミにはなかった魅力なんだがな)

ん?
今、なんか言いましたー?

いやいや。
さー、仕事だ、仕事。


風邪が流行っているみたいだから、午後からの患者さんは多いぞ-。

はーい。

※本コンテンツはフィクションであり、実在の人物・団体との関係はございません。

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Written by タキシード松尾/illustrated by ヨシウチ


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