事例で学ぶ 服薬ケア コミュニケーション
CASE.5
プロスタグランジン誘導体点眼薬の睫毛伸長とは?
- 眼科
難易度:★☆☆
- 疾患名:緑内障
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- 医薬品販売名:トラバタンズ点眼液0.004%
- 医薬品一般名:トラボプロスト
問題
事例における、Assessment:評価、Plan:計画 はどのようなもので、
患者には具体的にどのように説明すればよいでしょうか。
<処方>60 歳代・女性、眼科クリニック
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- トラバタンズ点眼液0.004%
- 1回 1滴、1日 1回 入浴前に点眼
Subjective data:主観的情報
「入浴前に点眼」て書いてあるけど、夕食後にお薬を飲んでいるの。忘れそうだから同じ時間でも大丈夫?
Objective data:客観的情報
点眼時間を変更することに問題はない。ただし、副作用防止(睫毛伸長、色素沈着)のために、点眼後にふき取るか、洗顔する必要があり、入浴前であれば点眼後の洗顔が容易である。
Assessment:評価は? Plan:計画は?
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解答
Assessment:評価
トラバタンズ<トラボプロスト>の点眼時間の変更はできるが、入浴前に点眼したほうが、副作用防止のための洗顔が容易であることを説明して、どちらがよりコンプライアンスを守りやすいかを相談する。
Plan:計画
点眼時間を変更した場合は、医師に変更を連絡し、次回、点眼後のふき取りや洗顔ができているかを確認する。点眼時間を変更しなかった場合は、次回、点眼忘れがないかを確認をする。
説明事例
「確かに他のお薬と同じ時間でしたら、忘れにくいですね。点眼時間を夕食後に変更することは可能です。ただ、このお薬は目の周りに付くと、目の周りが黒ずんだり、睫毛が長く太くなることがありますので、目からあふれたお薬はよく拭くか、洗い流す必要があります。入浴前の点眼の場合は、そのままお風呂で洗顔ができますので、その点では楽ですね。どちらが、点眼しやすいでしょうか?」
解答に必要な医薬品情報
トラバタンズ点眼液 0.004% の添付文書より抜粋
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※必ず、各製品の最新の添付文書をご確認ください。
【重要な基本的注意】
(1)本剤の投与により、虹彩や眼瞼への色素沈着(メラニンの増加)による色調変化、あるいは眼周囲の多毛化があらわれることがある。これらは投与の継続によって徐々に進行し、投与中止により停止する。眼瞼色調変化及び眼周囲の多毛化については、投与中止後徐々に消失、あるいは軽減する可能性があるが、虹彩色調変化については投与中止後も消失しないことが報告されている。混合色虹彩の患者では虹彩の色調変化は明確に認められるが、暗褐色の単色虹彩の患者(日本人に多い)においても変化が認められている。特に片眼投与の場合、左右眼で虹彩の色調に差が生じる可能性がある。これらの症状については、長期的な情報が十分に得られていないので、患者を定期的に診察し、十分観察すること。投与に際しては、これらの症状について患者に十分説明し、また、眼瞼色調変化、眼周囲の多毛化の予防あるいは軽減のため、投与の際に液が眼瞼皮膚等についた場合には、よくふき取るか、洗顔するよう患者を指導すること。
(トラバタンズ点眼液0.004% 医薬品添付文書(2017年4月改訂、第7版))
もっと知る!
睫毛伸長の副作用が知られている薬剤
<局所点眼薬療法の副作用>
・プロスタグランジン誘導体眼圧降下剤:トラボプロスト、ラタノプロスト、ビマトプロスト
・免疫抑制剤:シクロスポリン
<全身性の薬物療法の有害作用>
・インターフェロン:インターフェロンα
・抗けいれん薬:トピラマート
・免疫抑制剤:シクロスポリン、タクロリムス
・抗EGFR遺伝子組み換え抗体:セツキシマブ
・EGFRチロシンキナーゼ阻害薬:エルロチニブ、ゲフィチニブ
文献)
Braiteh F et al: J Clin Oncol, 26; 3460-3462, 2008