事例で学ぶ 服薬ケア コミュニケーション

CASE.25

適応によって投与日数の制限が異なる医薬品の薬学的管理のポイントは?

  • 歯科

難易度:☆☆

疾患名:抜歯後の炎症
  • 医薬品販売名:ロルカム錠4mg
  • 医薬品一般名:ロルノキシカム

問題

事例における、Assessment:評価、Plan:計画 はどのようなもので、
患者には具体的にどのように説明すればよいでしょうか。

<処方>50歳代・男性、A歯科クリニック

  • フロモックス錠100mg
    3錠 1日3回 毎食後 3日分
  • ロルカム錠4mg
    2錠/回 痛む時(1日3回まで) 3回分

    患者は、左頬の痛みで本日、歯科クリニックにかかった。
    左下の奥歯を抜歯することになり、抜歯後の炎症症状に対して上記薬剤が処方された。

Subjective data:主観的情報

左下の奥歯を抜いたんだ。今、麻酔が切れてきてジンジンするよ。
痛み止めって、これで足りるか不安だから、もっともらえないかな?

Objective data:客観的情報

・左下の奥歯抜歯後
・顔の痛み(+)、特に顎を動かすと疼痛(++)
・他既往、服用薬(-)

Assessment:評価は? Plan:計画は?
解答・解説を見る

解答

Assessment:評価

ロルカム錠は、抜歯後の消炎・鎮痛に処方された場合、1日量24mgで3日間までと、安全性における投与期間の制限がある。

Plan:計画

今回、制限上限まで処方されており、それでコントロールできない場合は、他の剤形の違う鎮痛剤の追加か、日数制限のないNSAIDsに変更してもらうよう提案する。
・処方変更可能な場合⇒ボルタレン坐薬などの他剤形の鎮痛薬を追加か、他の日数制限のないNSAIDsに変更かを、患者了承のもと、医師へ提案をする。
・処方そのままの場合⇒ロルカム錠で疼痛コントロール可能か、3日間、モニタリングしていき、急性の疼痛のため3日以内に治まる可能性もあるが、もしコントロールできないと判断された場合、再度の受診勧奨をする。

説明事例

「今回、このロルカム錠は、痛み止めのお薬で、痛みがある時に、飲んでいただくお薬になります。痛い時に1回2錠までの服用で、1日3回までの用法を守ってお使い下さい。
痛みが強く、痛み止めをもう少し欲しいとのことで、先ほど歯科医師に連絡させていただきましたが、今回の痛みは急性のものなので、3日間以内には痛みが治まると先生は判断されたようです。そのため、このお薬で様子をみて、それでも痛みが継続した場合は診察が必要なので、受診してくださいとのことでした。」

解答に必要な医薬品情報

ロルノキシカムは「手術後、外傷後及び抜歯後の消炎・鎮痛」の効能・効果では、投与量は1回8mgまで、1日24mgまで、投与期間は3日までとの制限がある。これらの制限を超えて本薬が投与された経験はなく、安全性は確立されていないため、用法を遵守する必要がある。なお、ロルノキシカムは「関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、頸肩腕症候群、肩関節周囲炎の疾患並びに症状の消炎・鎮痛」の効能・効果では、1日18mgまでの投与量制限はあるが、投与日数の制限はないため、診断名を確認の上、投与日数や投与量の限度を確認していく必要がある。
詳細はロルノキシカム製剤の最新の添付文書を参照されたい。

もっと知る!

投与期間が定められている非ステロイド系解熱消炎鎮痛剤(NSAIDs)
NSAIDs のうち、具体的な投与日数制限を提示してあるものを表 1 に示す。
なお、基本的に、NSAIDs は鎮痛剤としての投与は、疼痛への対症療法であり、効果が見られない場合は、長期投与を避けることとされていることが当然なため、効果がない場合は中止するように記載がある薬剤については、除外した。

表1.投与日数制限のあるNSAIDs

商品名 一般名 投与日数 投与日数制限のある効能・効果
バイアスピリン錠 等 アスピリン 2~3ヵ月投与で冠動脈障害が認められない場合は中止 川崎病
アルピニー坐剤 等 アセトアミノフェン 原則、5日以内 小児科領域における解熱・
鎮痛の急性疾患
クリアミン配合錠A1.0 エルゴタミン酒石酸塩/無水カフェイン/イソプロピルアンチピリン 1週間に最高10錠まで 血管性頭痛、片頭痛、
緊張性頭痛
クリアミン配合錠S0.5 エルゴタミン酒石酸塩/無水カフェイン/イソプロピルアンチピリン 1週間に最高20錠まで
スルピリン水和物原末「マルイシ」 等 スルピリン水和物 原則として5日以内に限る 急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)における解熱の急性疾患
セレコックス錠 セレコキシブ 1年を超える長期投与時の安全性は確立されていない セレコックスの全ての適応症
ロルカム錠 ロルノキシカム 投与期間は3日までを限度とする 手術後、外傷後及び抜歯後の消炎・鎮痛

(2019.2.20時点の各医薬品の添付文書から担当者作成)

25. 適応によって投与日数の制限が異なる医薬品の薬学的管理のポイントは?

疾患名:抜歯後の炎症

医薬品一般名:ロルノキシカム

24. ラメルテオン服用前の夜食はだめ?

疾患名:不眠症

医薬品一般名:ラメルテオン

23. ホルモン補充療法に必要な既往歴の確認は?

疾患名:月経困難症

医薬品一般名:ドロスピレノン・エチニルエストラジオール

22. アナストロゾール投与中の患者が骨の痛みを訴えたら?

疾患名:閉経後乳癌

医薬品一般名:アナストロゾール

21. 口渇を訴える患者さんで確認するべき検査値は?

疾患名:双極性障害におけるうつ症状

医薬品一般名:クエチアピンフマル酸塩徐放錠

20. 造影剤を使う検査の際の服薬指示は?

疾患名:2型糖尿病

医薬品一般名:メトホルミン

19. 投与開始2ヵ月間は2週間に1度の血液検査が必要な薬剤は?

疾患名:甲状腺機能亢進症

医薬品一般名:チアマゾール

18. かゆいから軟膏をたくさん使いたい?

疾患名:尋常性乾癬

医薬品一般名:カルシポトリオール水和物、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル

17. 感冒患者が咳止めを服用したら、音が変に聞こえるようになった?

疾患名:急性気管支炎

医薬品一般名:ベンプロペリンリン酸塩

16. 残尿感を訴える感冒患者への薬学的管理のポイントは?

疾患名:感冒

医薬品一般名:サリチルアミド、アセトアミノフェン、無水カフェイン
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩

14. 経口ステロイド薬長期服用患者への薬学的管理のポイントは?

疾患名:全身性エリテマトーデス

医薬品一般名:プレドニゾロン

13. クラリス DS とムコダイン DS を服用する患児への薬学的管理のポイントは?

疾患名:急性気管支炎

医薬品一般名:クラリスロマイシン、カルボシステイン

12. 痔を訴えたエリキュース服用患者への薬学的管理のポイントは?

疾患名:非弁膜症性心房細動

医薬品一般名:アピキサバン

11. 小柴胡湯とウルソ錠を服用中患者への薬学的管理ポイントは?

疾患名:慢性肝炎

医薬品一般名:小柴胡湯エキス顆粒、ウルソデオキシコール酸

10. バラシクロビルを服用する高齢患者への薬学的管理のポイントは?

疾患名:帯状疱疹

医薬品一般名:バラシクロビル塩酸塩

9. ファモチジン服用中の高齢患者への薬学的管理のポイントは?

疾患名:胃炎

医薬品一般名:ファモチジン

8. ジプレキサ服用患者が薬局内で水を大量に飲んでいた?

疾患名:統合失調症

医薬品一般名:オランザピン

7. インフルエンザワクチンの4種類とは?

疾患名:インフルエンザの予防

医薬品一般名:インフルエンザHAワクチン

6. 抗悪性腫瘍薬による手足症候群とは?

疾患名:大腸癌

医薬品一般名:カペシタビン

5. プロスタグランジン誘導体点眼薬の睫毛伸長とは?

疾患名:緑内障

医薬品一般名:トラボプロスト

4. 初めてエピペン注射液を使用する患者への薬学的管理のポイントは?

疾患名:蜂毒過敏症、アナフィラキシーショックの可能性

医薬品一般名:アドレナリン

3. ティーエスワン服用中の患者が目のかすみを訴えた?

疾患名:胃癌

医薬品一般名:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム

2. プロトンポンプ阻害薬服用中の患者への薬学的管理のポイントは?

疾患名:逆流性食道炎

医薬品一般名:ランソプラゾール

1. SGLT-2 阻害薬服用中の患者への薬学的管理のポイントは?

疾患名:2型糖尿病

医薬品一般名:イプラグリフロジン L-プロリン

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