事例で学ぶ 服薬ケア コミュニケーション
CASE.18
かゆいから軟膏をたくさん使いたい?
- 皮膚系
難易度:★☆☆
- 疾患名:尋常性乾癬
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- 医薬品販売名:ドボベット軟膏 10g、30g
- 医薬品一般名:カルシポトリオール水和物、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル
問題
事例における、Assessment:評価、Plan:計画 はどのようなもので、
患者には具体的にどのように説明すればよいでしょうか。
<処方> 50歳代・男性、A病院 皮膚科
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- アレジオン20mg
- 1錠 1日1回 就寝前 30日分
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- デルモベートスカルプローション10g
- 6本 1日2回 患部塗布
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- ドボベット軟膏30g
- 3本 1日1回 患部塗布
Subjective data:主観的情報
最近、体のかゆみが強くて辛いです。塗り薬をもっと量をもらえないでしょうか?
Objective data:客観的情報
発赤(+)、皮膚剥離(++)、掻痒感(+++)
処方は、前回の処方に加えて、アレジオン錠が新規追加。
Assessment:評価は? Plan:計画は?
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解答
Assessment:評価
患者の掻痒感に対して、アレジオン錠が追加処方されており、特に外用薬については増量の指示はない。しかし、患者は現在の掻痒感から、アレジオン錠の効果が感じられないうちは、ドボベット軟膏等を過剰に使用する可能性がある。
Plan:計画
今回、アレジオン錠の効果について説明し、ドボベット軟膏等の外用薬の適切な使用量について注意していく。
説明事例
「今回、かゆみが強いということで、塗り薬はいつもどおりの量ですが、今回からアレジオン錠が追加されております。アレジオン錠の服用で、かゆみが落ち着いてくると思いますので、用法を守ってお飲みください。また、かゆいからと、塗り薬を過剰に使用しないようにしてくださいね。ドボベット軟膏は、1週間で3本を使い切ってしまうほど過剰に使ってしまうと、皮膚の刺激感がでるなどの副作用がでやすいことがあります。医師の指示どおり、1週間に1本使う位のペースで1日1回の用法を守ってお使いください。」
解答に必要な医薬品情報
ドボベット軟膏のインタビューフォーム
【用法及び用量に関連する使用上の注意】
1週間に90gを超える使用は行わないこと。
<理由>
ドボベット軟膏の国内臨床試験成績(ドボベット®軟膏:MCB 0903 試験、MCB 0904 試験、ドボベット®ゲル:LP0076-1128 試験)では重篤な副作用は認められず、安全上、問題となる事象は認められなかった(軟膏の 1 週間あたりの投与量:0.27 g~74.11 g)。なお、ドボベット軟膏のCCSI(企業中核安全性情報)には「1 週間に100g を超える使用は行わないこと。」と記載している。また、ドボベット軟膏の有効成分の 1 つで、既に市販されているカルシポトリオール製剤(ドボネックス®軟膏)においては、安全性の観点から「1 週間に 90 g を超える使用は行わないこと」と記載しているが、もう 1 つの有効成分であるベタメタゾンジプロピオン酸エステルには用法・用量に関連する制限は設けられていない。
以上より、ドボベット軟膏の使用にあたり、安全性の観点から「用法・用量に関連する使用上の注意」にカルシポトリオール製剤と同様の「1 週間に 90 g を超える使用は行わないこと。」と設定した。
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ドボベット軟膏の副作用について
ドボベット軟膏の副作用には、皮膚の刺激以外では、高カルシウム血症が挙げられる。高カルシウム血症は、ドボベット軟膏の医薬品リスク管理計画書(RMP)において、「重要な特定されたリスク」とされている。詳細は RMP を参照されたい。
過去の臨床試験報告では重症例は報告されていないものの、高カルシウム血症は重度になると精神症状、意識障害を伴ったり、高カルシウム血症に伴った急性腎障害を誘発したりする重大な副作用であるため、十分注意を払う。
[文献]
1. 医薬品医療機器総合機構(PMDA)ホームページ「ドボベット軟膏 ドボベットゲル に係る医薬品リスク管理計画書」(2018.09.05 アクセス)