ワントラム錠 100 mg[トラマドール塩酸塩]
トラマドール塩酸塩はオピオイドμ受容体に作用するなどして、痛みを伝える神経伝達を抑制することで鎮痛効果を発揮します。癌性疼痛や慢性疼痛に用いられます。既に、1 日 4 回服用しなければならない製剤(商品名:トラマール)がありましたが、ワントラムは 1 日 1 回の服用ですむように改良された製剤です。
医薬品情報
トラマドール塩酸塩 Tramadol ●トラマール(日本新薬) カプセル:25mg,50mg. 注:100mg. ●ワントラム(日本新薬,ファイザー,endo) 徐放錠:100mg. [特] a.ノルアドレナリン・セロトニン 再取り込み阻害で鎮痛作用. b.鎮痛効果比:モルヒネ/本薬:1/0.2 c.便秘が少ない. [効]A.内服:疼痛を伴う各種癌 又は慢性疼痛 但し,非オピオイド鎮痛薬で 効果不十分に限る. (トラマール)初回 1回25mgから開始. 1日100~300mgを4回に分服. 4~6時間毎に定時に投与. 1回25mg(1日100mg)ずつ増減. 最大1回100mg.1日400mg. 75歳以上最大1日300mg. (ワントラム)初回 1日100mgから開始. 100~300mgを1日1回 適宜増減.(100mgずつ) 最大1日400mg. 1日1回可能な限り定時に投与. 以下は両剤共通. ・臨時追加:癌疼痛増強時 定時1日量の1/8~1/4量. ・中止→漸減する (退薬症候を防ぐため). ・癌疼痛において 1日300mgで効果不十分の場合: モルヒネ等の強い 鎮痛薬へ変更. モルヒネの初回量: 定時量の1/5を投与. その他の強オピオイドへの変更は モルヒネ換算し投与する. ・慢性疼痛で治療開始4週後でも 効果不十分→他へ変更. 継続は定期的症状・効果から確認. B.注射:各種癌,術後の鎮痛. 1回100~150mg筋注. 必要に応じ4~5時間毎に反復. [動態]a.トラマール:2時間で最高, 半減期5~6時間. ワントラム:9〜11時間で最高, 半減期6〜7時間. b.食事の影響少ない. c.尿中排泄率は12~16%. [禁]1.車・機械の運転は禁止 (眠気,めまい,意識消失) 2.授乳しないこと. 3.アルコール.睡眠剤.鎮痛剤.オピオ イド鎮痛剤,向精神薬による急性中毒 →中枢神経抑制,呼吸抑制の悪化. 4.未管理のてんかんに禁忌. てんかん.痙攣発作既往歴に慎重に →痙攣誘発. 5.高度腎障害又は高度肝障害→高血 中濃度持続→作用,副作用増強 (ワントラムのみ). [慎]1.オピオイド鎮痛剤を投与中 →痙攣閾値低下,呼吸抑制増強, 2.呼吸抑制→増強(経口剤). 3.脳に器質的障害 →呼吸抑制,頭蓋内圧上昇. 4.腎障害,肝障害→血中濃度上昇 腎障害(注射):半減期1.5倍,AUC2倍. 肝硬変(経口):半減期2.6倍.AUC1.6倍. 5.薬物乱用,依存傾向. 6.オピオイド鎮痛剤への過敏歴. 7.ショック状態→循環不全,呼吸抑制. [注]1.悪心・嘔吐→下記薬剤で対応. メトクロプラミド(プリンペラン), ドンペリドン(ナウゼリン), プロクロルペラジン(ノバミン), ジフェンヒドラミン・ ジプロフィリン(トラベルミン), ジメンヒドリナート(ドラマミン). ・オピオイド投与開始3~7日後には 悪心・嘔吐への耐性が形成→通常, 1〜2週後には制吐薬の中止可能. 2.便秘等→以下の薬剤で対応. センノシド(プルゼニド) ピコスルファート(ラキソベロン) 酸化Mg, 新レシカルボン坐 グリセリン浣腸 3.新生児退薬症候に注意. 4.ワントラムは分割,粉砕,噛み砕きは禁. [併]CYP2D6及びCYP3A4で代謝. 禁:MAO阻害薬:中止後14日禁忌. 本剤中止後:2~3日禁忌. 慎:a.オピオイド鎮痛薬, 催眠鎮静薬, フェノチアジン類 →痙攣, b.三環系抗うつ薬,SSRI →セロトニン症候群, c.飲酒→呼吸抑制等. d.キニジン→相互に作用増強. e.ジゴキシン,ワルファリンの作用増 f.カルバマゼピン,オンダンセトロン, ブプレノルフィン.ペンタゾシン等 →鎮痛作用減弱. [副67%] A.重大:a.痙攣.b.意識消失. c.依存性. d.ショック,アナフィラキシー . D.●傾眠18%,●めまい8%,●頭痛6%, 譫妄,幻覚,鎮静,振戦,いらいら感,呼吸 困難,呼吸抑制,●悪心29%,●嘔吐19%, ●食欲不振8%,●便秘30%,下痢,胃不 快,上腹部痛,口内乾燥,食欲減退,腹鳴, 腹部膨満,AST,ALT増,Al-P増,LDH増,血 圧上昇,ほてり,血圧低下,起立性低血