化学の勉強が好きだったことから、高校時代に憧れていた星薬科大学へ進学。珍しいかもしれないのですが、「薬剤師になりたい!」という強い動機があったわけではないんです。薬剤師という仕事の魅力を肌で感じたのは、5年生の頃の実習で病院や薬局を訪れたときのこと。「薬剤師さんのおかげで安心して薬を飲むことができた」と、患者様が喜ぶシーンを何度も目撃したのです。
私が実習で訪れた病院や薬局だけでなく、薬剤師の活躍の場はたくさんあります。そのなかでも、私が一番惹かれたのがドラッグストアでした。理由は、薬剤師という枠を超えた幅広いキャリアパスが用意されていたから。現場での調剤業務のほか、本部での店舗開発や商品開発をはじめ、いろいろな仕事に携われることに魅力を感じたのです。患者様に限定されず、多くの人と接することができる点も惹かれた理由のひとつでした。ですから就職活動では、ドラッグストアに絞って応募。実際に店舗に足を運んで職場の雰囲気を見たり、懇親会で先輩社員たちと触れ合ったりした結果、自分に一番合っていると思ってマツモトキヨシへ入社しました。
私の主な業務は、ドラッグストアの調剤室で薬の調剤を行い、患者様に提供すること。処方箋をもとに薬を調剤し、どの薬をどのようなタイミングで飲めばいいかを患者様に説明していきます。毎日5人の薬剤師で、患者様約120人分の調剤を担当。大きな病院に隣接している店舗ということもあり、取り扱う薬の種類もとてもたくさんあります。
当店では、患者様のご家族が薬を取りに来ることも少なくありません。そういった場合に、ご家族の方のちょっとした健康相談に乗るのも仕事のひとつ。ドラッグストアなので、店内には薬以外にも健康に関する商品が並んでいます。ですから、サプリメントをご紹介するなど、健康に関するいろいろな情報提供ができるんですよ。
ドラッグストアの薬剤師は、多くの人にとって一番身近な医療従事者ではないでしょうか。「店」という誰にでも開かれた空間なので、多くの方が気軽に何でも相談してくださいます。ですから日々、人のお役に立てていると実感しながら働くことができています。薬の飲み方についてアドバイスした方が、後日「あなたのおかげで安心して飲むことができたわよ」とご報告に来て下さったときは感激しました。
私はまだ入社2年目なので調剤業務が中心ですが、薬剤師の先輩たちはさまざまな現場で活躍しています。店長として店舗運営全般を任されている方もいますし、プライベートブランド商品の開発を手掛けていたり、新店立ち上げのプロジェクトに携わっていたりする先輩も。さらには、人材育成や採用を担当している方もいるんですよ。いろいろな現場で活躍する先輩たちの存在は、私に取って大きな励み。活躍のフィールドが多彩で、自分の可能性に挑戦していけるので将来が楽しみです。当面の目標は、まず店を任される存在になること。そのためにも、基本となる調剤のスキルを高め、少しずつ仕事の幅を広げていきたいです。
薬剤師の国家試験に合格したからといって、それはゴールではありません。6年間学んだにもかかわらず、私は現場に出てから自分の知識不足を痛感しました。薬の種類は数え切れないくらいありますし、新薬もどんどん誕生しています。ですから、この仕事は学び続ける姿勢が必要不可欠。日々の業務を通じてだけではなく、専門書を購入したり、病院の勉強会に参加したりして、薬に関する知識をより深める努力を続けています。
ドラッグストアの薬剤師を目指すならば、ぜひ実際の店舗へと足を運んでみてください。店やそこで働く薬剤師の雰囲気をしっかりチェックしておくと、入社後に「自分のイメージと違った」というミスマッチを防ぐことができると思います。また、就職活動では情報収集が重要。自分が目指したい分野や会社の具体的な仕事内容をたくさん知れば知るほど、選択肢の幅が広がるでしょう。
柿原さんのある一日
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- 08:30
- 出勤
- 調剤機器の整備やパソコンの立ち上げなど、9時の開店に向けて準備を行う。
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- 09:00
- 開店
- 処方箋に基づく調剤と服薬指導を行う。飲み方や使い方のコツをアドバイスするよう心掛けている。
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- 11:30
- ランチ休憩
- 外食よりも、店舗スタッフとおしゃべりをしながら、休憩室でお弁当を食べることが多い。
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- 12:30
- 薬の調剤や服薬指導
- 1日に約120名の患者様が来局。患者様のご家族の健康相談に乗ることも。
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- 17:30
- 業務終了
- シフト勤務のため、8:30~17:30の早番の場合は、営業時間中に業務終了。このほか、10:30~19:30の遅番もある。