【多発性骨髄腫治療薬(ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬)】ファリーダックカプセル 10mg・15mg[パノビノスタット乳酸塩]
多発性骨髄腫は、骨髄中の白血球の一つである形質細胞が癌化した血液癌であり、骨がもろくなったり、腎臓の機能が低下したりします。ファリーダック(一般名:パノビノスタット乳酸塩)は、腫瘍組織に過剰に発現しており、がんの発症に関与しているヒストン脱アセチル化酵素を阻害することで、腫瘍の増殖を抑制します。ボルテゾミブ(商品名:ベルケイド)とデキサメタゾン(商品名:レナデックス)と一緒に用います。
医薬品情報
パノビノスタット乳酸塩 Panobinostat Lactate ●ファリーダック(ノバルティス) カプセル:10mg,15mg(12カプセル) [警告] 1.専門医に限る. 2.患者と家族への説明と同意. 3.治療初期は入院又はそれに準ずる 管理の下で適切な処置. [特] a.脱アセチル酵素阻害で→ ヒストン系蛋白アセチル化促進 →腫瘍増殖抑制(アポトーシス誘導等) b.3剤併用で無増悪生存期間を有意に延長 [効] 他剤無効や再発・難治性の多発性骨髄腫. [用] 禁:単独投与. 必ずボルテゾミブ(1.3mg/m2を1,4,8, 11日目)+デキサメタゾン(20mgを 1,2,4,5,8,9日目)3週サイクル法と併用. a.1日1回20㎎を,週3回を2週間 (1,3,5 ,8,10,12日目),以後9日休薬の 3 週間1サイクルを繰り返す. 適宜減量(3週サイクル法は維持) 1日5mg単位で減量.最小10mg. 最大16クールまで. c.吸湿性のため:服用時,PTPから出す. d.投与開始基準,副作用に対する休薬, 減量及び中止基準は添付文書参照. [体内動態] a.2時間でピーク,半減期15時間. b.空腹時に比し, 食後:ピーク1.5時間遅延,Cmax36%減, 高脂肪食:ピーク2.5時間遅延,Cmax44%減, [慎] 1.感染症→悪化. 2.血小板減又は抗凝固薬投与中→出血. 3.QT間隔延長のおそれ,又は既往歴 4.肝機能障害→AUCが軽度障害で43%, 中等度障害105%上昇. 5.高齢. [患] 1.妊婦:ラットで胎児死亡. 2.男女とも:投与後一定期間避妊. 3.授乳禁止. [併] CYP3A4の基質,CYP2D6を阻害. B.慎:a.強いCYP3A阻害剤で血中濃度上昇. b.強いCYP3A誘導剤で血中濃度低下. c.CYP2D6の基質(デキストロメトルフ ァン,タモキシフェン,プロパフェノ ンリスペリドン等)の血中濃度上昇. d.QT間隔延長作用薬→QT間隔延長: 抗不整脈薬(アミオダロン,ジソピラミド, プロカインアミド,キニジン,ソタロール等), 制吐薬(オンダンセトロン,トロピセトロン), クラリスロマイシン,メサドン,モキシフロキサシン, ベプリジル,ピモジド等. [副 90%] A.重大:a.●重度の下痢18% b.脱水症状2.6%,c.●血小板減55%,●好中球減23%, ●貧血26%, d.胃腸出血1%,肺出血0.3%, e●肺炎8%,敗血症0.8%等, f.QT間隔延長1.3%, g.●頻脈性不整脈(心房細動,心室性頻脈, 頻脈等)5%,心筋梗塞0.3%, h.心不全0.3%,狭心症等, i.●肝機能障害9%, j.腎不全, k.肺塞栓0.8%,深部静脈血栓0.5%, l.低血圧6%,起立性低血圧,失神2.1%, 意識消失0.8%. D. ウイルス感染,アスペルギルス症,カンジダ症, 上気道感染,下気道感染,尿路感染,胃腸炎,B型肝炎, 敗血症性ショック,中耳炎,口腔ヘルペス, クロストリジウム・ディフィシレ大腸炎,蜂巣炎, 真菌性肺炎,●白血球減少症55%,●リンパ球減少症10%, 甲状腺機能低下症,●食欲減退15%,●低K血症10%, ●低リン酸血症5%,●低Na血症5%,低アルブミン血症, 低Ca血症,高血糖,低Mg血症,高尿酸血症,体液貯留,不眠症, ●浮動性めまい8%,●味覚異常7%,頭痛,振戦頭蓋内出血, 結膜出血,徐脈,動悸,高血圧,血腫,出血性ショック, ラ音,喘鳴,呼吸困難,咳嗽,鼻出血,呼吸不全,喀血,血便排泄 ●悪心23.4%,●嘔吐16.3%,●腹痛7%,●消化不良6%, 腹部膨満,口内乾燥,胃炎,鼓腸,口唇炎,大腸炎,消化器痛, 吐血,皮膚病変,発疹,紅斑点状出血,関節腫脹,血尿,尿失禁, ●疲労31%,●無力症13%,●末梢性浮腫9%, ●発熱5%,けん怠感,悪寒,糸球体濾過率↓, ●体重↓6%,血中クレアチニン↑,血中尿素↑,ALP↑.