レンビマカプセル 4 mg・10 mg［レンバチニブメシル酸塩］

腫瘍（癌）では、増殖するための栄養を得るために血管が新たに作られます（腫瘍血管新生）。レンビマ（一般名：レンバチニブメシル酸塩）は、腫瘍血管新生に関わっている様々な受容体チロシンキナーゼを阻害することで血管新生を阻害し、腫瘍の増殖を抑制します。根治切除ができない甲状腺癌に用います。

医薬品情報

a3.マルチキナーゼ阻害薬
レンバチニブメシル酸塩 Lenvatinib Mesilate
●レンビマ(エーザイ)
　カプセル：4mg,10mg

[警告] 専門医療施設で専門医が対応.
　患者・家族に十分な説明と同意.

[特]a.血管内皮増殖因子受容体VEG
 FR1～3,線維芽細胞増殖因子受容体
 FGFR1～4を阻害→血管新生を阻害
 悪性化に関与の血小板由来増殖因子
 受容体PDGFRα,幹細胞因子受容体
 KIT,Rearranged During Transfection
　がん原遺伝子RETを阻害.

[効]根治切除不能な甲状腺癌.
・放射性ヨウ素未投与の
　　　分化型甲状腺癌に未承認.
・抗癌薬と併用しない.
・小児に未承認.
・病理組織型等を確認する.

[用]a.1日1回24mg.適宜減量.
b.副作用(高血圧等)：→
　1日20,14,10,8,4mgに減量,休薬,中止.
・拡張期140または収縮期90以上：
　　　降圧薬を併用.
・拡張期160又は収縮期100以上：
　　　150/95で再開時は1段階減量.
・副作用Grade2-3:
Grade1以下に回復まで休薬,1段階減量
・Grade4：中止.
d.重度の肝機能障害→減量.

[体内動態]a.食事の影響なし.
b.ピークは2時間,半減期は35時間.
c.主にアルデヒドオキシダーゼ,
　CYP 3Aで代謝.
　　グルタチオンが非酵素的に結合.

[慎]1.高血圧症→悪化.
2.重度の肝機能→減量.
3.脳転移→転移部位からの出血.
4.血栓塞栓症,同既往→悪化又は再発.
5.外科的処置の前に中止(創傷治癒遅延).

[患]1.妊婦に禁,適切な避妊.
2.授乳中止.
3.車の運転等,危険作業は注意
　　(疲労,無力症,めまい,筋痙縮等)
4.湿気に不安定→服用直前にPTP
　シートから取り出す.

[併]P糖蛋白及びCYP3Aの基質.
B.慎：a.P糖蛋白阻害剤(イトラコナ
 ゾール,リファンピシン,アミオダロ
 ン,クラリスロマイシン,シクロスポ
 リン,キニジン,ベラパミル等)で
　血中濃度上昇.
b.CYP3A,P糖蛋白誘導剤(リファンピ
 シン,フェニトイン,カルバマゼピン,
セント･ジョーンズ･ワート含有食
　品等)で血中濃度低下.

[副 97%]A.重大：a.高血圧：●高血圧
67%,血圧上昇,高血圧クリーゼ→投与
前後の定期的血圧測定→必要に応じ
て降圧薬投与,重症,持続性,抵抗性高
血圧→減量,休薬又は中止.
b.出血：●鼻出血8%,●血尿5%,喀血,
歯肉出血,肺出血,直腸出血,頭蓋内腫
瘍出血,動脈出血,くも膜下出血,脳出
血,胃腸出血等
c.動脈血栓塞栓：一過性脳虚血発作,
急性心筋梗塞,脳血管発作,脾臓梗塞,
脳虚血,出血性卒中,虚血性脳卒中等
d.静脈血栓塞栓：肺塞栓,深部静脈血
栓,骨盤静脈血栓症,網膜静脈血栓.
e.肝障害：●アルブミン↓7%,●ALT
↑6%,●AST↑5%,血中アルカリホス
ファターゼ↑,肝機能異常,血中ビリル
ビン↑,γグルタミルトランスフェ
ラーゼ↑,胆汁うっ滞性肝損傷,肝不全
等→投与期間中は定期的肝機能検査
→異常時は減量,休薬等.
f.腎障害：●蛋白尿32%,急性腎不全,
慢性腎不全,急性腎前性腎不全,腎機能
障害,血中クレアチニン↑,血中尿素
↑,腎尿細管壊死,腎虚血,ネフローゼ
症候群,腎クレアチニン･クリアラン
ス減少,糸球体濾過率減少,尿量減少等
→投与前,中は定期的に尿蛋白測定.
g.消化管穿孔,瘻孔形成：胆嚢穿孔,腸
管穿孔,痔瘻,腸膀胱瘻,腸管膿瘍,直腸
膿瘍,会陰膿瘍等
h.可逆性後白質脳症症候群：可逆性
後白質脳症症候群→痙攣,頭痛,錯乱,
視覚障害,皮質盲等で投与中止→血圧
制御.
i.心障害：●駆出率減少5%,心不全,
うっ血性心筋症,左室肥大,心室壁運動
低下,●心電図QT延長8%,頻脈,徐脈,
心房細動･粗動等→投与開始前,中は
定期的心エコー等の心機能検査.
j.手足症候群：●手掌･足底発赤知覚
不全31%,手掌紅斑,紅斑性皮疹,皮膚反
応等
k.感染症：気道感染,肺炎,尿路感染,敗
血症等.
l.骨髄抑制：●血小板減13%,●白血球
減7%,●リンパ球減6%,●貧血6.1%,好
中球減等→定期的血液学的検査→感
染症,出血傾向等に留意.
m.●低Ca血症7%→定期的に血清Ca
濃度測定.
n.創傷治癒遅延：治癒不良,創離開→
外科的処置前に本剤の投与中断.
D. ●下痢60%,●悪心41%,●口内炎
36%,●口腔内乾燥13%,●口腔咽頭痛