書籍名：ポケット医薬品集（2014年版）

アファチニブマレイン酸塩　Afatinib Maleateｃ ●ジオトリフ(ベーリンガーI)
　錠：20mg,30mg,40mg,50mg.
[警告]間質性肺疾患で死亡例：
a.初期症状(呼吸困難,咳嗽,発熱等),
　服用中の注意事項,死亡例等を患者に十分説明･同意を得て投与.
b.胸部画像を定期的に検査,初期症状を確認,→異常時は中止.
[特]a.ゲフィチニブ,エルロチニブはEGFRの可逆的阻害薬,
本剤はErbBファミリー(EGFR,HER2,ErbB4等)のチロシンキナーゼ領域でのATP結合部位に不可逆的･選択的にそのリン酸化を阻害
→血中濃度が低下してもキナーゼ活性を持続的阻害.
b.無増悪生存期間(中央値)は本剤群で11.1カ月,PEM＋CDDP群で6.9カ月.
[効]EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌
・但し,術後補助化学療法,抗癌薬と併用は未承認.
[用]a.1日1回40mgを空腹時服用
(食事の1時間前〜食後3時間は回避).
・1日1回20mgで忍容性のない場合中止．
・減量後は,増量しないこと．
・3週以上下痢,皮膚障害,口内炎,グレード2以上の副作用が無い場合：
　　　最大1日1回50mgまで増量可.
b.副作用発現時の休薬, 減量,中止は添付文書参照.
[体内動態]a.血中濃度のピークは3〜4時間,半減期は14〜37時間.
b.8日投与で定常となる.
c.高脂肪食では：空腹時に比しAUC及びCmaxは夫々39%,50%低下.
d.P-糖蛋白,BCRPの基質.
e.CYP等の代謝酵素は不関与
→マイケル付加反応で代謝.
[注]1.間質性肺疾患→増悪し死亡例.
2.重度の肝機能障害.
3.重度の腎機能障害.
4.投与前に心機能を確認すること心不全症状→悪化.
　　　左室駆出率が低下→悪化.
[患]1.授乳を中止.
　2.避妊させる．
[併]B.慎：a.P-糖蛋白阻害薬(リトナビル,イトラコナゾール,ベラパミル等)で本剤の血中濃度増加
　→本剤と同時,又は本剤の後に投与.
b.P-糖蛋白誘導薬(リファンピシン,カルバマゼピン,セイヨウオトギリソウ等)で本剤の血中濃度低下.
[副 100%]A.重大：a.間質性肺疾患3%,
b.●重度の下痢27%,●下痢98%●脱水8%,急性腎不全：
　　対策：止瀉薬ロペラミド,補液．
c.●重度の皮膚障害22%,皮膚粘膜眼症候群,●全身性発疹・斑状丘疹性・
紅斑性皮疹88%,●爪囲炎74%,爪障害,●皮膚乾燥38%,●ざ瘡19%,●そう痒10%,
●手掌・足底発赤知覚不全症候群5%,●皮膚剥脱5%,●皮膚亀裂5%,ざ瘡様皮膚炎,
ひび・あかぎれ,過角化,嵌入爪,色素沈着障害,皮膚色素過剰,皮膚潰瘍,
●脱毛症7%,多毛症,膿痂疹,脂漏性皮膚炎,紅斑,後天性魚鱗癬, d.●肝不全,肝障害6%●AST,ALT↑等11%,
e.心障害0.8%,f.消化管潰瘍・出血.
D. 筋痙縮,背部痛,筋力低下,肋骨痛,肩痛,筋肉痛,シェーグレン症候群,開口障害,
●味覚異常16%,頭痛,感覚鈍麻,振戦,末梢性感覚ニューロパチー,●結膜炎14%,角膜炎,
●眼乾燥5%,眼脂,白内障,眼瞼炎,睫毛乱生,硝子体剥離,結膜出血,角膜びらん,
後天性涙腺炎,眼痛,眼瞼障害,虹彩毛様体炎,網膜変性,霧視,耳鳴,不眠症,不安,激越,
●口内炎71%,●悪心28%,●口唇炎26%,●嘔吐20%,●舌炎7%,歯肉炎,口唇症,口内乾燥,
胃炎,腹部膨満,上腹部痛,腹痛,消化不良,肛門周囲痛,肛門の炎症,痔核,口唇乾燥,
口唇腫脹,食道炎,腹部不快感,心窩部不快感,急性膵炎,腸炎,小腸炎,大腸炎,肛門周囲炎,
便秘,萎縮性外陰腟炎,●食欲減退46%,低K血症,高尿酸血症,低Na血症,上室性期外収縮,
高血圧,低血圧,ほてり,血栓症,●鼻出血23%,●鼻の炎症14%,発声障害,鼻漏,しゃっくり,
口腔咽頭不快感,鼻閉,鼻乾燥,口腔咽頭痛,湿性咳嗽,腎機能障害,蛋白尿,
●尿中血陽性7%,排尿困難,血尿,膀胱炎,蜂巣炎,毛包炎,感染症(皮膚,尿路,鼻,咽頭,
気管支,耳,爪),真菌感染症(皮膚,足部),ウイルス感染,帯状疱疹,鼓膜炎,敗血症,
●白血球減少症5%,リンパ球減,好中球減,好酸球増,貧血,鉄欠乏性貧血,
●疲労25%,●粘膜の炎症20%,●発熱8%,●倦怠感6%,浮腫,末梢性浮腫,粘膜乾燥,
粘膜障害,胸部不快感,悪寒,顔面浮腫,炎症,●体重減25%,血中クレアチニン↑,
総蛋白減,尿中白血球陽性,CK(CPK)↑,血中ビリルビン↑,血中乳酸脱水素酵素↑,
血中尿素↑,血中アルブミン↓,アミラーゼ↑,トロポニンＴ↑,血中アルカリホスファターゼ↑,
CK(CPK)-MB↑,心電図Ｔ波逆転,挫傷,創し開.
[保存]湿気と光に不安定→アルミ包装のまま保存,
開封後は湿気と光を回避.服用直前にPTPシートから取り出す.