薬剤師として働く上で、キャリアやワークライフバランスと同様に、年収についても気になるテーマかと思います。
政府統計データから、薬剤師の平均年収と他職種の平均年収との比較や、過去からの薬剤師の平均年収の推移、都道府県や年代ごとの平均年収の違いを見てみましょう。
リクナビ薬剤師のキャリアアドバイザーに、最近の企業からの評価アップのポイントもインタビューしましたので、チェックしてみてください。
1.薬剤師の年収は上がっている?
2015年以降の薬剤師の平均年収の推移を見てみましょう。
新型コロナウイルス感染症が始まった2020年は前年より下がっていますが、ほとんどの年で上がっているのが分かります。2020年から2021年では15.4万円のアップになっています。
また、全職種の2021年の平均年収が489.4万円なので、全職種平均より90万円ほど多い薬剤師の年収は高めと言えます。
【薬剤師平均年収推移】
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
---|---|---|---|---|---|---|
536.2万円 | 518.7万円 | 548.1万円 | 549.2万円 | 568.1万円 | 565.1万円 | 580.5万円 |
- 出典:厚生労働省 平成28年~令和3年 賃金構造基本統計調査 「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 並びに、「職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」を参照して作成
- https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429
- 年収の算出方法は以下の通り
年収=きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額
2.都道府県別の平均年収は山口県が1位で667.1万円
続いて、2021年の都道府県/エリア別の薬剤師の平均年収を見てみましょう。
都道府県によっては、477.7万円~667.1万円と189.4万円の差があることが分かります。
年収の高い県は、1位は山口県の667.1万円、2位は香川県の652.9万円、3位は茨城県の649.2万円でした。
年収の低い県は、45位は岡山県の500.2万円、46位は宮崎県の493.6万円、47位は山形県の477.7万円という結果になりました。
【都道府県別薬剤師平均年収】
【平均年収ランキング】
順位 | 都道府県 | 平均年収 |
---|---|---|
1位 | 山口 | 667.1万円 |
2位 | 香川 | 652.9万円 |
3位 | 茨城 | 649.2万円 |
4位 | 滋賀 | 639.6万円 |
5位 | 石川 | 638.2万円 |
6位 | 埼玉 | 619.6万円 |
7位 | 富山 | 617.7万円 |
8位 | 島根 | 612.9万円 |
9位 | 山梨 | 608.1万円 |
10位 | 栃木 | 607.4万円 |
11位 | 愛知 | 606.6万円 |
12位 | 岐阜 | 606.3万円 |
13位 | 千葉 | 605.5万円 |
14位 | 群馬 | 605.2万円 |
15位 | 高知 | 603.1万円 |
16位 | 福岡 | 600.9万円 |
17位 | 神奈川 | 599.8万円 |
18位 | 青森 | 599.5万円 |
19位 | 静岡 | 597.0万円 |
20位 | 東京 | 594.3万円 |
21位 | 福井 | 590.5万円 |
22位 | 沖縄 | 587.6万円 |
23位 | 三重 | 587.5万円 |
24位 | 広島 | 587.4万円 |
順位 | 都道府県 | 平均年収 |
---|---|---|
25位 | 岩手 | 586.0万円 |
26位 | 北海道 | 582.5万円 |
27位 | 奈良 | 576.3万円 |
28位 | 宮城 | 564.0万円 |
29位 | 鳥取 | 560.2万円 |
30位 | 京都 | 559.2万円 |
31位 | 秋田 | 547.9万円 |
32位 | 新潟 | 545.9万円 |
33位 | 鹿児島 | 543.6万円 |
34位 | 愛媛 | 541.5万円 |
35位 | 兵庫 | 541.2万円 |
36位 | 和歌山 | 537.8万円 |
37位 | 大阪 | 537.1万円 |
38位 | 長野 | 527.5万円 |
39位 | 熊本 | 525.9万円 |
40位 | 福島 | 525.2万円 |
41位 | 大分 | 521.8万円 |
42位 | 長崎 | 514.4万円 |
43位 | 徳島 | 504.4万円 |
44位 | 佐賀 | 502.7万円 |
45位 | 岡山 | 500.2万円 |
46位 | 宮崎 | 493.6万円 |
47位 | 山形 | 477.7万円 |
- 出典:厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査 「都道府県、職種(特掲)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)(役職者を除く)」を参照して作成
- https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001164106&tclass2=000001164107&tclass3=000001164117&tclass4val=0
- 年収の算出方法は以下の通り
年収=きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額 - 小数点第2位を四捨五入
3.年代別の平均年収は50~54歳がピーク!
年代別の平均年収の推移を見ると、おおよそ年齢が上がる毎に年収が上がっていき、50~54歳がピークとなっています。
年齢が上がるにつれて、スキルが上がる方や、資格や役職を持つ方が増えていくため、平均年収が上がっていくと推定できます。
年収差は、20~30歳代での上がり幅が大きいため、キャリアの早い段階に、どんな職場でどんな経験を積むかが重要になりそうです。
【年齢階級別薬剤師平均年収】
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
20~24歳 | 316.5万円 | 332.9万円 | 355.9万円 | 354.2万円 | 376.0万円 | 352.7万円 | 378.4万円 |
25~29歳 | 437.4万円 | 439.4万円 | 472.4万円 | 465.2万円 | 476.3万円 | 456.7万円 | 473.3万円 |
30~34歳 | 528.3万円 | 512.6万円 | 524.8万円 | 542.5万円 | 539.5万円 | 526.2万円 | 547.0万円 |
35~39歳 | 587.1万円 | 556.5万円 | 585.6万円 | 601.9万円 | 595.6万円 | 588.5万円 | 613.6万円 |
40~44歳 | 603.3万円 | 599.6万円 | 615.6万円 | 614.1万円 | 604.3万円 | 609.5万円 | 640.7万円 |
45~49歳 | 630.5万円 | 630.8万円 | 627.0万円 | 621.0万円 | 647.1万円 | 657.8万円 | 635.4万円 |
50~54歳 | 616.9万円 | 604.6万円 | 613.0万円 | 604.5万円 | 683.8万円 | 656.1万円 | 683.2万円 |
55~59歳 | 591.5万円 | 624.7万円 | 609.4万円 | 610.6万円 | 656.4万円 | 640.8万円 | 642.2万円 |
60歳~ | 557.4万円 | 527.2万円 | 575.1万円 | 543.4万円 | 559.3万円 | 601.9万円 | 589.3万円 |
- 出典:厚生労働省 平成28年~令和3年 賃金構造基本統計調査 「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」並びに、「職種・性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」を加工して作成
- https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429
- 年収の算出方法は以下の通り
年収=きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額 - 小数点第2位を四捨五入
4.企業規模別の平均年収はほとんど差がない結果に
5年前は企業規模別での年収差が100万円以上ありましたが、徐々に差が縮まり、2021年では20万円以内の差に収まってます。
そのため今後年収を上げたい方は、「どこで」働くかではなく、「何をして」働くかがポイントになるでしょう。
【企業規模別薬剤師平均年収】
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1000人以上 | 502.4万円 | 491.4万円 | 528.4万円 | 530.9万円 | 535.6万円 | 540.5万円 | 584.2万円 |
100~999人 | 502.5万円 | 503.0万円 | 537.6万円 | 531.2万円 | 548.6万円 | 567.9万円 | 572.0万円 |
10~99人 | 611.8万円 | 591.5万円 | 575.3万円 | 608.8万円 | 618.0万円 | 610.0万円 | 586.3万円 |
- 出典:厚生労働省 平成28年~令和3年 賃金構造基本統計調査 「職種別(小分類)きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」並びに、「職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」を加工して作成
- https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429
- 年収の算出方法は以下の通り
年収=きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額 - 小数点第2位を四捨五入
5.どんな薬剤師が評価高く、年収を上げやすいのか?
リクナビ薬剤師のキャリアアドバイザーに聞いてみた
実際に薬剤師の転職支援に携わってきたキャリアアドバイザーにインタビューをしてみました。
ぜひ現場の生の声を参考にしてみてください。
- 関西エリア担当
キャリアアドバイザー 現職で加算を取っているか、どのような取り組みをして薬局の売上に貢献しているかをご自身で理解し、転職後どのように薬局や地域に貢献できるか?をしっかり言語化してアピールできる方が評価が高い傾向です。
在宅医療は今後もますます需要が高まっていくため、転職市場においても評価されやすい経験になる見込みです。他にも、管理薬剤師の経験や、店舗の掛け持ちやラウンダーができる方だと、年収アップの交渉がしやすくなります。
また、規模の小さい企業へは、年収交渉がしやすい傾向にありましたが、年々有効求人倍率が下がっているため、交渉することが難しくなっているのも事実です。そういった転職市場の状況もお伝えしながら、納得できる転職ができるようサポートしています。
- ローカルエリア担当
キャリアアドバイザー 調剤経験豊富で複数の科目に対応いただける方が評価されやすい傾向です。認定薬剤師の資格を有している方で、さらに在宅や往診同行のできる方、かかりつけ薬剤師の実績がある方なども年収交渉が成功しやすいです。国の方針で薬局数を減らす傾向にあり、薬価改定や調剤報酬改定などで薬局の経営が少しずつ厳しくなっているため、数年前と比較すると年収交渉ができる幅も狭まっています。面接で在宅への積極的な姿勢のアピールや、管理薬剤師候補での応募など、転職先での意欲的な働き方を示すことが重要です。
また、都市部ほどではないですが、私の担当するローカルエリアでも確実に需給バランスが変わってきています。
転職の情報が得ずらいケースもあるため、効率的に転職活動を進めるためにも、まずはエージェントを利用して情報収集から始めることを推奨しています。
これまでの薬剤師の業務に、+αで経験や資格が求められる傾向があります。今後転職を検討している方は、自分がどのような経験をしてきたか、じっくりとキャリアの棚卸しをすることをおすすめします。
「自分にどんな強みがあるのか分からない…」「どのようにアピールすればいいか分からない…」など不安なことがございましたら、ぜひリクナビ薬剤師にご相談ください。
キャリアアドバイザー
関東エリアはほかのエリアと比較し転職の競争率が高いため、これまでのご経験や資格がポイントになります。実務実習認定薬剤師の資格を取得している、在宅医療やかかりつけ薬剤師、管理薬剤師の経験や取り組む意欲がある等、薬局の利益に繋がる資格や経験を持っている方は、評価が高く、年収にもその評価が反映される傾向にあります。
このような結果を面接で伝えた結果、100万円ほどの年収アップに成功した方もいらっしゃいます。
また、関東エリアの中でも薬剤師が少ないエリアでは、世代交代を見据えて、次の世代の薬剤師を採用するために高い年収を提示している薬局もあります。
限られた時間でご納得いただける転職活動を行っていただけるよう、最新の転職市場についての情報提供や、企業への年収交渉を行うことで、サポートいたします。