薬剤師の転職をサポートするリクナビ薬剤師×東京大学×慶應義塾大学共同研究

研究実績

平成29年度8月
平成29年7月8日(土)〜9日(日)に開催された「第20回日本医薬品情報学会総会・学術大会」において研究発表の報告を行いました

リクナビ薬剤師では、東京大学大学院薬学系研究所と、薬剤師の転職時・復職時・新入社員時に、どの様な不安が惹起し、転職に影響するかなどに関する共同研究を行っている。2016年8~9月、中途採用者の教育・育成の現状と課題を明らかにすることを目的とし、多様な規模の企業にアンケートを実施した。
なお、本研究は、東大・薬学部「ヒトを対象とする研究倫理審査委員会」の承認を得て実施し、平成29年7月8日(土)〜9日(日)に開催された「第20回日本医薬品情報学会総会・学術大会」において研究発表の報告をを行った。調査結果は、以下の通りである。

演題名

薬剤師を雇用する企業が感じる中途採用者の教育・育成の現状と課題

発表者

十河美香1、堀本佳歩1、三木晶子2、堀 里子2、佐藤宏樹2,3、
澤田康文21(株)リクルートメディカルキャリア、2東大院薬、3東大院情報学環1東大院薬 2株)リクルートメディカルキャリア

目的

転職・再就職時に薬剤師が抱く不安・悩みとその要因を明らかにし、対応策を講じることは重要である。我々は、これまでに転職・再就職時に薬剤師自身が抱いている不安等やキャリアプランに対する意識を調査してきた。本研究では、薬剤師を雇用する企業を対象として、中途採用者の教育・育成の現状と課題を明らかにすることを目的とした。

方法

2016年8~9月に薬剤師を雇用する多様な規模の企業(1342社)を対象に、無記名自記式のアンケートを郵送方式で実施した。調査項目は、企業の薬剤師採用状況、中途採用者への教育研修実施の有無・内容等、中途採用時の不安要素、不安解消のための取り組み、薬剤師のキャリアプランに対する考え等とした。

結果

179社(回収率13.3%)から回答を得た。70%の企業が中途採用者に対する教育研修を実施しており、企業の規模による教育研修の実施率の差は小さかった。研修内容は調剤業務全般(54%)から接遇(37%)、会社の経営方針・収益構造(35%)に至るまで多様であった(複数回答)。企業側が受け入れる際の最大の不安要素は、スキル(7%)よりも人間関係(51%)であった。これは、我々の先行調査において、薬剤師が転職・再就職時に感じる最大の不安要素が人間関係(44%)であったことと一致した。こういった不安に対し、65%の企業は人間関係に関する不安解消の取り組みを実施しており、定期面談や業務外行事等を含む社内コミュニケーションによる風通しの良い環境作りに努めていた。薬剤師のキャリアプランについては、48%の企業が“薬局及び地域で必要不可欠な存在”となることを求めていた(複数回答)。また、86%の企業が薬剤師に長く働いてもらいたいと回答した。薬剤師定着のための対策としても、コミュニケーションによる働きやすい環境作りが挙がった。既に75%の企業が在宅業務等を実施しているが、今後、地域に密着した業務のさらなる増加が見込まれるため、企業は中途採用者に対して、コミュニケーション能力・対人スキル等の社会性を重視する採用方針や育成方針に変更・変更予定(各々23%、45%)と回答した。また、企業側からは、転職・再就職する薬剤師に対して、売り手市場であることによる雇用に対する考え方の甘さや、学びに対する自主性や積極性の欠如に関する不満、一般的な社会常識や教養の向上を求める声等も挙げられた。

考察

企業は、薬剤師に自立した医療人としての成長を期待し、職場での定着を望んでいた。しかし実際は、これまでのスキルに関する調剤研修等とは異なる教育に苦戦していた。そして薬剤師は、今求める薬剤師像になるための意識に欠けている状況にあると考えられた。

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